【11月24日号】 高知県の「農業創造人材育成事業総合アドバイザー」として、農業関係者の加工品開発、直売所や道の駅などでの農産物販売、地域産物を使った農家レストラン運営など、新しい地域づくりを手伝っている。人材育成に関わってみて、農家のレストラン運営や加工品・特産物づくりなどについて講習会や研修で話し合っても、実際に料理を作って食べてみないと、地域の食の可能性や豊かさはなかなか実感できないと思った。また、こちらからアイデアやイメージを伝えようにも、みんなが料理して食べているとは限らないから、うまくこちらの意図も伝わらない。そこで、参加型の料理会を開催した。10月20、21の両日に県立春野高校の調理室で行い、参加希望者の5組14人が集まった。県関係者や普及指導員など20人も参加した。今回の食材は、本山町の「土佐あかうし」(土佐褐毛牛)、マコモダケ、津野町のこんにゃく、梼原町のシイタケ・米ナス、佐川町黒岩の新高梨、土佐清水市のメジカ(魚)の六つ。参加者には、メーンとなる産物はどんなもので、地域のどこで栽培されているのか、いつ取れるのかなど、食材の背景や特徴などを紹介する資料を作成してもらい、料理会で発表してもらうようにした。こうすれば、食材の特徴と成り立ちから料理までを参加者全員に理解してもらうことができる。(木曜連載「地域力と地域創造」)
【11月22日号】 東京学芸大附属大泉小学校には、1980年から30年以上も続く取り組みがある。生活団。縦割りによる異学年グループの集団である。一つのグループに1年生から6年生までの児童が4、5人ずつ配属され、人数は全員で約25人。全校児童が600人の学校だから、24個の生活団が編制される。少子化や核家族化の進行する現代社会では、自分と違う年齢の子と接する機会は減り、上級生や下級生との交流は貴重なものになっている。生活団の中で、子どもたちはどう変化し、成長するのか。長年の観察と成果をベテラン教師が、詳しくリポートしてくれた。
【11月25日号】 臓器移植を受けた人は、健康を取り戻し、程度の差こそあれスポーツもできるようになる。そんな移植者らが集う「全国移植者スポーツ大会」は今年で20回目。昨年7月に改正臓器移植法が施行され、家族の承諾による脳死移植の増加、子どもの脳死移植の解禁と環境が変化する中、運営に携わるNPO法人「日本移植者協議会」の下野浩理事に課題などについて尋ねた。連載「12年度介護報酬改定の焦点」7回目は、10月の社会保障審議会給付費分科会で案が示された地域区分の見直しについて詳説する。「インタビュールーム」は、児童虐待を未然に防ぐための福岡県糸島市子育て支援センターの取り組みを紹介。
【11月22日号】 総務省の「地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会」が10月にまとめた中間報告に関する解説記事を掲載。中間報告は、国が法律で全国一律に定めている地方税の政策減税について、各自治体が減額の程度や期間を法律の範囲内で自主的に定められるようにする「地域決定型地方税制特例措置(通称・わがまち特例)」を創設すべきだとしている。これを受け同省は、2012年度税制改正大綱の決定に向け審議している政府税制調査会に、「わがまち特例」を12年度から導入するよう検討を要請した。最終ページの「私の苦心」欄では、「明日の県を担う税務職員の育成」と題して、熊本県税務課の取り組みを紹介している。
【11月21日号】 「脚光浴び始めたバンドル商品」と題して、米国や日本の金融機関がリテール(小口取引)分野で進めている商品戦略について解説した記事を掲載した。同記事は「昨今のインターネットの普及は、金融機関が提供する商品やサービスを瞬時に比較・選択する機会を顧客に与えた。また、金融機関が取り組んできた事務の効率化は結果として、顧客が金融機関の間で商品を乗り換えるスイッチングコストを著しく低下させることになった。米国におけるアクセンチュアの過去の調査では、米国の金融業界において、1行当たり年間16%の顧客が、他の金融機関との間で商品の乗り換えを実施している。さらに、50%強の顧客が『価格』を乗り換え理由にしている。『商品の品質』や『提案力』を乗り換え理由にしている顧客は全体の10%以下となっている。住宅ローンの低金利乗り換えの『消耗戦』に代表されるように、単品の価格インセンティブだけではもはや顧客を囲い込めなくなってきているのが現状だ。そこで、顧客に提供する複数の商品やサービスをパッケージ化し、各種金利、手数料等を顧客に対して包括的に優遇するプロダクト・バンドリング(Product Bundling=バンドル商品)が脚光を浴びるようになった」としている。
また、「自己資本規制は有効か」と題し、大手銀行が主な対象の国際決済銀行(BIS)の自己資本規制が及ぼす金融機関や経済への影響などについて分析した記事を載せた。同記事は「国際業務を行う大手銀行を主な対象とする国際決済銀行(BIS)の新たな自己資本規制(バーゼルⅢ)が、2013年から段階的に実施される見通しとなっている。バーゼルⅢは、銀行に対して普通株を中心に構成される『狭義の中核的自己資本(コアTier1)比率』を最終的に7%に保つよう要請。さらに、金融システムに大きな影響を与える29の世界的な大手金融機関は7%に1〜2・5%上乗せして8・0〜9・5%にすると伝えられている。『世界的な大手金融機関』としてわが国でその対象となるのは、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクだが、これらはわが国の大企業、中堅企業の多くを取引先として持つため、その営業行動が国内の金融全体に及ぼす影響は大きい。銀行経営を安定強化する政策として、なぜ自己資本規制だけが取り上げられるのか。果たしてこの政策が有効なのか。これらの問題は、数年前にBISの自己資本規制が実施された頃から提起されてきた疑問だった。しかし、これに関する議論も不十分なまま、今回も規制の強化が繰り返されようとしている」としている。