【11月28日号】 地域防災には多数の課題があるが、大きく言えば「十分性」と「実効性」の有無となる。超巨大な災害や、複合災害に対応できる十分で実効性ある地域防災力があるのか、ということだ。この観点から見ると、ほとんどの自治体で地域防災力は足りない、いや圧倒的に足りないというのが実情ではないか。地域防災は自助、共助、公助で進めるといわれる。そして、私たちは自助、共助、公助の主な主体を、それぞれ住民、コミュニティー、行政と捉えてきた。現状はどうか。住民の防災意識は東日本大震災で高まったものの、自宅の耐震化や家具固定、必要物資の備蓄などが目に見えて前進しているわけではない。共助の核となるコミュニティーは都市の匿名化や地方の高齢化などにより、以前に比べてやせてしまった。公助を担う自治体は、財政難と人手不足により十分な防災施策を打つことができずにいる。(月曜連載「自治体の防災危機管理」)
【12月1日号】 静岡県磐田市は、若手・中堅職員の政策形成能力向上を目指し、6月から約8カ月に及ぶ研修を行っている。研修は「草莽塾(そうもうじゅく)」と命名され、地方再生や自治体の政策能力強化に向けて実践的な取り組みを続ける地域開発研究所の牧瀬稔主任研究員が講師を務める。草莽塾として2期目を迎えた今年度、牧瀬氏は「いかに1期生を超えていけるかという思いで講師を担当した。そのため、昨年度よりも研修生に『自問自習』を求めた」と言う。研修生は本来の担務をこなしながら、自分たちで政策課題を見つけ、解決のための政策取りまとめに汗を流している。人口減少社会の到来を受け、住民自身が自治体を選択する傾向が強まる中、自治体の「基礎力」そのものである政策形成能力の強化は極めて重要な課題だ。草莽塾が取り組む実践的な研修は、研修生を鍛え上げるだけでなく、研修を受講していない他の職員にとっても刺激となり、職員全体のレベルアップにつながる効果も期待されている。(特集「静岡県磐田市の研修『草莽塾』」)
【11月29日号】 新聞を教室で活用するNIE。「NIEここがポイント」13回は、「ファミリーフォーカスのすすめ」を説いている。ファミリーフォーカスという言葉は聞き慣れないかもしれないが、米国のマイノリティーの家庭に新聞に掲載される時事ネタを持ち込み、家族とともに社会事象を語りことによって、言語の壁を乗り越え、学力向上にもつなげるという手法を指している。その実践報告が徳島県鳴門市の鳴門教育大学で開かれたNIE全国大会で報告された。家庭に持ち込まれたテーマは東日本大震災。親子で語り合うテーマとしては、これ以上のものは確かにないかもしれない。学校と家庭の連携はここでも必要とされている。
【12月2日号】 巻頭のインタビューシリーズ「教育長はこう考える」に登場したのは、元立命館大学の職員の三木逸郎滋賀県草津市教育長。大阪維新の会が府議会に提出した大阪府教育基本条例案について、「首長が代わるたびに教育方針が変わるのはだめ」と切り捨てながらも「教育委員会が形骸化しているという言い分も分かる」とした。活性化していない教育委員会の在り方を問題視する研究者は多いが、そのソリューションに踏み込む提案はほとんどない。三木教育長は「教育委員公募」の効果を強調した。滋賀で、小さく何かが起き始めているのかもしれない。
【11月29日号】 11月に開催された医療の質・安全学会学術集会で「医療者とマスメディアの対話」をテーマとするワークショップが行われた。医療をより良くするという共通目的のためには相互の理解と協働が必要であるとの観点に基づき、活発に意見が交わされた。その様子を紹介する。「地域を支える」は、緑茶の健康機能を研究する静岡県掛川市の取り組み。住民の健康維持と地元産業の振興を兼ねた興味深い内容だ。新子ども手当をめぐる国と地方との協議が難航している。政府主催の全国知事会議でのやりとりの状況を掲載した。
【12月2日号】 これからの漢方薬のあり方を考える日中共催のシンポジウムが、薬草栽培の伝統を持つ奈良県で開かれた。漢方薬は近年、欧州でも注目され、需要の高まりから品薄や価格高騰が問題になっているという。日本での原料栽培の可能性など、多岐にわたった議論のもようを掲載。「インタビュールーム」は、長野県須坂市からスタートしたボランティア職「保健補導員」の女性。県内各地に広がった補導員制度は、地道な活動で地域住民の健康を守るのに貢献しているという。11月前期の「社説拝見」は「主婦年金『過払い求めず』に批判」と題し、主婦年金問題で二転三転する政府対応や、生活保護世帯の急増などをめぐる各紙の論調を紹介する。
【11月29日号】 シリーズ「ビギナーのための中小企業会計指針の基礎」は、「引当金」を取り上げた。指針は、「要点」を示した上で「引当金の設定要件」「引当金の区分」「「賞与引当金の計上額」などについて記述。本稿では引当金について概観し、指針が定める内容について、順次、項を追って、企業会計原則および法人税法の取り扱いなどを交えながら解説している。最終ページ掲載の「私の苦心」欄では、「税務事務の改善について」と題して、2010年度から16区5支所で行っていた税務事務を集約し、3市税事務所・3出張所体制にした名古屋市の取り組みを紹介。
【12月2日号】 「私の苦心」欄では、「説明責任と適正な課税」と題して、三重県亀山市の取り組みを紹介。同市では2010年度、固定資産税に関し、土地について未整備だった地域の地番現況図を作成し、山間部を除く市内全域のデジタル化を行い、課税客体の的確な把握と迅速・適正な評価につなげている。家屋についても管理図の管理・運営手法を紙ベースからデジタル化への移行を検討中。また、税収確保のために潜在的な税収とも考えられる償却資産について、国税の協力を得ながら調査を開始。償却資産には申告義務が課されているため、未申告者対策に苦心しているという。
【11月28日号】 「売上高横ばい、2桁減益」と題して、東証1部上場企業の2011年9月中間決算について解説した記事を掲載した。同記事は「時事通信社が集計したところによると、連結売上高は前年同期比マイナス0.8%とほぼ横ばい、経常利益は同マイナス22.7%と2桁の減益となった。東日本大震災による電力不足やサプライチェーン(部品供給網)の寸断などで生産減に追い込まれ、円高も影響した。当初、下期は震災からの復興とともに業績が回復するシナリオだったが、ここに来て戦後最高値まで騰勢を強める円高や、多くのメーカーが工場を構えるタイの洪水被害が大きな影響を与え始めている。混乱が続く欧州の金融情勢や、不透明感の強い米国経済、アジア経済の成長の足踏みなども懸念材料として挙げられており、今後も厳しい状況が続きそうだ」としている。
【12月1日号】 「年代別マーケティングに注力」と題して、米国の金融機関が取り組んでいるリテール(個人向け取引)戦略についてまとめた記事を載せた。同記事は「マーケティングにおける顧客層のセグメンテーションのうち、重要な切り口の一つが顧客の年代である。金融機関の場合、一般的な商品やサービスのターゲットは中高年層であることが多い。『ベビーブーマー』とも呼ばれる40〜50歳代中心の中高年世代は層が厚く、預金やクレジットカードだけでなく住宅ローンや教育ローンのニーズも高いため、金融機関にとってはターゲットにしやすい。かといって、中高年層ばかり相手にしていると、高齢層や若年層が手薄になり、収益機会を失ったり、顧客数が減少してしまう。年代によって金融に対するニーズも志向も異なることから、年代別のマーケティング戦略が必要になっている。米国においては、日本と比較すると年代別の人口の偏りが極端ではないため、その分各世代とも重要な顧客層として認識する必要性が高いことも背景にある」としている。