【12月19日号】 前神戸市長の笹山幸俊氏が亡くなった。市長在任中の1995年1月17日に阪神大震災が発生し、その復旧・復興に尽力したことで知られている。今年3月11日に発生した東日本大震災の復旧・復興作業を見ていると、阪神大震災の経験が生かされていることがよく分かる。当時、笹山氏らが必死になって誕生させた多くの新制度が、遺産として引き継がれている。例えば、阪神大震災では当初、住宅倒壊によるがれきを処理するのは被災者の責任とされていた。また、被災者が単身であろうと大家族であろうと、仮設住宅は2Kタイプしかなかった。仮設住宅へのエアコン設置も認められなかった。これでは被災者はたまったものではない。被災してぼうぜんとなっている中、がれきを自分で処理することなど不可能だ。笹山氏をはじめとする被災自治体首長らは、粘り強く国と交渉した。がれき処理を例に挙げれば、笹山氏は、私有地内に入った土砂を災害廃棄物として処理したことが過去の水害であった前例などを指摘し、公費負担を国に強く訴えた。そうしたかいあって、がれき処理は公費負担となった。以降、東日本大震災も含めて、がれき処理や仮設住宅のエアコン設置、家族構成に適合した数タイプの仮設住宅建設などについては心配する必要がなくなった。(「追悼 笹山幸俊前神戸市長」)
【12月20日号】 奨学金を返さない人が増えている。2005年に日本学生支援機構(旧日本育英会)から都道府県に奨学金制度が移管されたが、奨学金を返さない人が増え、その回収事務に自治体職員が追われることになった。返済滞納が増えれば、奨学金制度の維持ができるかどうかという問題に直結する。会計検査院の見通しでは、11府県が将来的に維持できなくなる恐れがあるとされている。熊本県もその一つ。しかし、法的措置を背景にした熱心な取り組みが功を奏し、たった1年間で滞納者を6割減させた。その密着リポートを届けます。
【12月20日号】 「バイオフィリアリハビリテーション報告」と題し、9月にポーランドで開催された国際バイオフィリアリハビリテーション学会の模様を、理事長の滝沢茂男氏にリポートしてもらった。文部科学省科学研究基盤(A)「在宅リハ推進のためのネットワーク構築研究」による研究発表などがなされ、多くの参加者から興味深く意義深いものと評されたという。〝絶滅危惧種〟とも揶揄された産科医の数が回復傾向にある。厚生労働省の調査結果に基づき、その理由や背景も含めて報告する。「進言」は鳥取県三朝町長の吉田秀光氏。三朝温泉をはじめ健康づくりに適した環境に恵まれた同町で、「100歳元気な町づくり」を目指す取り組みについて語っている。温泉ではもう一つ、ユニークな話を「地域を支える」で紹介。全国各地で人工乳房を温泉に漬け、品質が変わらないことを確認する「おっぱいリレー」だ。乳がんの手術で人工乳房になった人に安心して温泉を楽しんでもらうと同時に、温浴施設に人工乳房への理解を広めることを目的としている。
【12月20日号】 「私の苦心」欄では、「意識改革への道」と題して、2007年に政令市に移行した浜松市の取り組みを紹介。先進政令市との比較で滞納整理の実態が低いレベルにあることが分かった同市は、同年6月に「市税滞納削減アクションプラン」を策定。現年分収入率の向上策として、早期差し押さえ処分の実施、口座振替の推進や特別徴収事業所の拡大、職員のモチベーション対策としての表彰制度や研修の強化などを掲げた。まず力を入れたのは、職員が前向きに取り組む気持ちの醸成。電算システムから各種データを取り出し、担当者ごとの徴収目標、差し押さえ件数や換価の実績、達成率、昨年度実績比などあらゆる指標を取り出し、それを分かりやすい表やグラフにして全員に回覧するということを徹底した。最初は抵抗を示す職員もいたが、次第に端的に表れる数値を意識し始め、その成果が全体として少しでも向上することが確認されるようになると、職員の意識、職場の雰囲気にも変化が出てきて、10年度決算ではプランの総合的な取り組みによる成果が表れたとしている。
【12月19日号】 「クライマックス迎えるユーロ危機」と題して、単一通貨ユーロ誕生の歴史から今後の動向まで解説した記事を掲載した。同記事は「ユーロは国際金融の歴史上、稀にみる政治的な実験だが、ギリシャやイタリアなど周縁国政府の指導力が弱まり、破綻しかけている。市場の論理がエリート政治家や欧州連合(EU)の官僚の意図を転覆させる可能性が高まる中、財政統合や政治統合を進めるのか、それともユーロ体制を解体するのか、いよいよクライマックスを迎える」としている。
また、「来年の投資戦略を展望する」と題して、世界の投資家が来年に向けて注意すべきリスクなどについて分析した記事を載せた。同記事は「2008年のリーマン・ショックから始まった国際金融市場での波乱は、ますます混迷の度を深めている。ユーロ問題が片付かないうちに12年を迎えようとしている現在、投資の世界では、この不安を機に戦略を転じさせる動きも見えてきた。主要国では、米国の大統領選挙など首脳選挙の年を迎える。市場の混乱に政治が追い付けるか、新指導者が市場から信認を得ることができるか。そして、08年から続いている景気後退局面は終わるのか、そのきっかけはどこから現れるのか。そこで、来年の『キーワード』を決め、それに基づいて変化の中での投資の『機会』を探し、『リスク』を意識しながら、『投資戦略』について、辰年にちなんだ言葉『DRAGON』を使って整理した。まとめると『ニューノーマル(New Normal)時代に政治の信認』が試され、『リスクオフ(リスク回避)が長期化』「」している中で『ソブリンリスク』を意識しての『目的別分散への転換』が求められる」としている。