早読み行政誌

「若者バカ者よそ者」が町を作る(2012年1月23日〜1月27日号)

地方行政

【1月23日号】 まちづくりは「若者バカ者よそ者が必要」とよくいわれます。この解釈は幾つかありますが、まちづくりに関わる者から最も支持される解釈を紹介しましょう。「若者バカ者よそ者」と正反対の気質の人たちに「まちづくり(公益活動)」を、もう任せることはできません。若者バカ者よそ者と正反対の気質は「オヤジのごとく上から目線で、自分の損得には機敏に動き、身内(組織)の論理が何より重要」な人のことで、別名「公務員(官僚)気質」と言います。世間で認められる「成功法則」と、自治体組織内で認められる「成功(出世)法則」は正反対です。成功基準が正反対であれば、成功(出世)する人の気質も正反対になります。一方、まちづくり(公益活動)の目的と、地方自治の目的「市民満足度の向上」は一致すべきです。従って、まちづくりなど世間で認められる成功法則と、自治体の成功法則も一致させる必要があります。すなわち、地方自治に関わる自治体職員には、公務員気質と正反対の特性が求められます。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)

【1月26日号】 現在、行政機関は、全国一律に市町村、都道府県、国の3層構造となっている。そして、市町村や都道府県は国が定めた政策を執行し、また、都道府県は市町村が定めた政策を、国は市町村や都道府県が定めた政策を支援している。当然のようであるが、A市の市民、B県の県民、過半数の国民と置き換えると、各行政機関は、一体誰のために誰に負担させ仕事をしているのか。自治体の役割やそれに応じた構成員のあり方を考えるに当たっては、もつれた糸を少し解きほぐす必要があると考える。基礎的自治体のほかに広域自治体は必ず必要なのであろうか。その場合、各層の自治体の役割と、その役割を果たすために最もふさわしいエリアや構成員の範囲はどうあるべきであろうか。私が、暮らしたことがある地域や、自治体職員として働いたことがある地域に関しては、個人的なイメージとして、この行政分野はこうした方がいい、この行政分野についてはああした方がいいなどと、地域ごとに思いつく。しかし、全地域に通用する一般論を導くのは難しい。(木曜連載「個性輝く自治を目指して」)

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内外教育

【1月24日号】 連載「東京学芸大附属の実践」第32回は、「科学の方法を学ぶ」。筆者は附属高校で物理を教える川角博教諭。川角教諭の持論は「科学の方法や科学的価値観を身につけ、社会との関係を理解して行動できる生徒を育てること」。このためには「生徒が学ぶ理科の授業を構築しなければならない」と考える。日本の物理教育に最も欠けているのがここだと言う。川角教諭が3ページにわたって授業のポイントを解説した。

【1月27日号】 保護者と教員がどう向き合かをテーマにした「モンスターペアレント論を超えて」は今年も快調に飛ばしています。連載68回は筆者の小野田正利・大阪大学大学院教授自身が、大阪府吹田市立片山小学校で作成に携わった「片小ナビ」の効能をリポートしている。効能は漢方薬のようにしか効いてこないという。しかし、学校の等身大の姿を関係当事者が確認し合う意味がある。必要を感じた人たちが楽しみながら作れば、「保護者との連携及び協力に資する」(学校教育法43条)効能がある。

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厚生福祉

【1月24日号】 特集「いつでも医療情報にアクセス」は、鹿児島大学病院の患者参加型「ITカルテ」の取り組みを紹介する記事だ。このカルテの最大の特徴は、インターネット環境さえあれば、患者自身やアクセス許可を受けた医師がいつでもどこでも医用データにアクセスできるという点。内容は、主治医の所見のほか、エックス線写真、薬剤処方の記録などで、患者が自らの医療情報を保有できるという意義にとどまらず、災害時のバックアップや疫学研究、遠隔医療にと活用が広がっている。「インタビュールーム」は、兵庫県明石市の「コミュニケーション麻雀協会」会長。特大の牌を使って2人1組でやるこのマージャンは、高齢者の脳トレや孤立防止に役立つといい、県内だけでなく他県からも呼ばれて体験してもらいに行っているそうだ。「第18回医療経済実態調査から(下)」は、診療所の損益や医師の給与水準などを取り上げる。

【1月27日号】 強毒性のH5N1型鳥インフルエンザ研究をめぐり、各国の科学者39人が、自主的に60日間研究を停止する異例の声明を発表。テロ悪用を恐れる米国の規制強化の動きに対処するためだ。世界的大流行が懸念される中、規制強化は研究の遅れにつながりかねず、科学研究に対する政治の介入がどこまで許されるのか、今後の動きが注目される。連載「中之条研究10年の成果」4回目は、高齢者の日常的身体活動と、うつ病やメタボリックシンドロームなど心身の健康との関連を解説する。「インタビュールーム」は、離婚や別居により子どもと会えなくなった親を支援する「親子交流を考える岐阜の会」事務局長。これまであまり表に出ていなかった問題だが、ハーグ条約締結に向けた国内法整備の動きの中で関心が高まりつつある。

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税務経理

【1月24日号】 「私の苦心」欄では、「個人住民税等整理回収チームの戦略」と題し、兵庫県の取り組みを紹介。同チームが現在特に力を入れているのは、「事案検討ミーティングによる進行管理」「原点回帰の現場主義」「連携事案の取り組み」。このうち、連携事案の取り組みでは、複数の市町にまたがる広域的事案や共通事案について、県税事務所も含めて合同での捜索や公売実施のコーディネートなど、関係市町間あるいは県・市町の連携強化のための調整機能としての役割も果たしており、さらに「これまでに職員を33市町に派遣してきたことで、チーム員が懸け橋となり、派遣した市町間で確固たる情報ネットワークができつつある」としている。特集として、本号から「主要省庁別にみた2012年度税制改正」(3期連載)を掲載。1回目は厚生労働省と農林水産省を取り上げた。

【1月27日号】 政府の2012年度税制改正大綱の決定を受けて、毎年恒例の「新春記者座談会」を掲載。年度改正を挟んで繰り広げられた、東日本大震災の復興財源確保のための臨時増税、社会保障と税の一体改革をめぐる政府、与党の攻防も織り込んで、一連の税制改正作業の舞台裏を担当記者に振り返ってもらった。「私の苦心」欄は、「システム導入に向けて」と題し、東京都小平市の取り組みを掲載。同市では、12年度の住民基本台帳法一部改正に伴う外国人登録者の住民票登録に合わせて住基システムを更新するため、各種システムの再構築を進めている。その一環として、収納課では12年11月に収納管理システムを更新するとともに、滞納管理システムを新規導入する計画だ。

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金融財政ビジネス

【1月23日号】 「底打ちの兆しあるがリスクは残存」と題して、今年の世界経済の見通しについてまとめた記事を掲載した。同記事は「2011年12月の企業景況感は世界の主要国で軒並み改善した。しかし、12年の世界経済には不透明感がなお非常に強く、幾つものリスクが残存していることは否定できない。特に重要なポイントは(1)欧州債務危機は解決に向かうか(2)米国の企業部門主導の回復は維持が可能か(3)中国経済はソフトランディングできるか──の3点であると筆者は考えており、いずれの地域でも金融緩和が重要な景気の下支え要因になると考えられる」としている。

【1月26日号】 「小切手からクレジットカードへ」と題して、米国のクレジットカード業界の動向について解説した記事を載せた。同記事は「米国における決済手段といえば伝統的には小切手であり、以前であればスーパーのレジで小切手帳を開いて悠長に小切手に支払金額を書き込む光景が見られたが、ここ数年でそうした小売現場での支払い手段はクレジットカードやデビットカードなどプラスチックのカードに取って代わられている。特に、デビットカードの躍進が著しい。米国のデビットカードは、銀行の現金自動預払機(ATM)カードを兼ねていることが普通で、商店などで支払った金額は銀行の当座預金口座からそのまま引き落とされる。つまり、実質的な効果でいえば小切手と変わらず、単に引き落としのスピードが早くなっただけとも言える。一方、クレジットカードにおいては、利用件数は最近さほど変わっていないが、今後数年でクレジットカードはデビットカードを逆転するとも予想されている。2010年7月に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)において、カード利用の際に商店がカード発行銀行に支払う手数料に関し、デビットカードの場合は手数料に上限が設定されたが、クレジットカードにはそうした制限がないため、銀行にとってはクレジットカードの方が収益性は高くなる。このため、銀行はクレジットカードを推進していくと考えられ、その結果同カードが躍進するとみられている。米国の各銀行はクレジットカードビジネスを推進するため、さまざまな知恵を絞っている」としている。

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