早読み行政誌

「モンスター」が育つ不機嫌な社会(2012年1月30日〜2月3日号)

地方行政

【2月6日号】 自治体の計画書は、どんな目的で誰のために作っているのか、原点に立ち返る必要があります。原点はもちろん「市民が豊かになる」ためです。しかし、現状の自治体計画書作りは「役所が仕事をしているように見える形(成果物)作り」に悪用されるケースが少なくありません。さらに問題なのは、たいそう仕事をしているように見せるための成果物の作成作業がコンサルタントなど外部に委託されることです。委託費用は数百万円から1000万円を超えることも少なくなく、財源はほとんどが税金です。目的を履き違えた自治体の計画書作りに「多くの税金と、自治体職員の労力」が浪費される現状は、早急に改善される必要があります。具体的に言えば、「計画書を作ること自体が目的化」した現状を「市民が豊かになる目的」に改める原点回帰が求められています。そこで今回は、市民に「共感されて、読んでもらえる計画書」の「創り方」を考察します。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)

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内外教育

【2月7日号】 小中一貫教育の先進地は呉市であることを、教育関係者以外にどれだけの人が知っているだろうか。「教育長はこう考える」のインタビューに登場するのは、全国に先駆けて小中一貫教育を推進してきた呉市の教育長、長谷川晃さん。そもそもの出発点は、自尊感情のない中学生を目にしたところが出発点だったと言う。「小中一貫教育は特別なことではなく普通の教育」とさらりと言うところにその秘訣が隠されているのかもしれない。公教育の原点を見る思いだ。地方都市よ頑張れ!

【2月10日号】 職員会議とは何なのか?学校運営の「最高議決機関」という説は法的に正しいのか?正確に調査したわけではないが、この問いにほとんどの一般市民は「イエス」と答えるであろう。正解は「NO」だ。法律の専門家でも、教育法などを専門としない法律家でももしかしたら間違うかもしれない。職員会議は学校経営の最高責任者である校長が校務を適切に処理するための「補助機関」である。いつからそうなったのか。毎週金曜号掲載の「教育法規あらかると」は「職員会議を考える」。どうぞお読みください。

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厚生福祉

【2月7日号】 4月から大きく変わる障害児の福祉サービスについて、宝山寺福祉事業団理事長の辻村泰範氏が巻頭言で、いまだ現場の事業者に具体的な説明がないことを嘆いている。障害児に限らず、中央と現場との密な意思疎通や情報提供は、医療・介護・福祉いずれにおいても重要なポイントだろう。公立病院の経営改善のニュースが目立つ。新連載「好転したのか、公立病院の経営状況」は、赤字が続いてきた公立病院の経営について、総務省の発表資料などのデータをひもとくとともに、実際の改善例などを見ていく。第1回は、公立病院の沿革をたどった上で、総務省のガイドラインで作製が求められた「経営改革プラン」に焦点を当てる。「主要省庁の2012年度予算詳報」3回目は経済産業省。注目の医療ツーリズムだけでなく、医療の技術革新やヘルスケア産業の育成などに一定の予算を割いている現状が分かる。

【2月10日号】 特集「院内感染防止で支援ネットワーク」は、院内感染対策に詳しい医師や看護師らが病院や介護施設を訪れて実地支援する石川県の取り組みを紹介。外部の人間が点検することで内部スタッフには気付かない点の改善につながったり、ガイドライン等では分からない経験に基づく具体的なアドバイスが聞けたりするメリットがあるという。国公立大学病院間で相互支援を行うシステムがモデルとなっており、こうしたノウハウが全国に広がることが期待される。連載「『中之条研究』10年の成果」6回目は、高齢者の日常身体活動に影響を及ぼす内的・外的要因がテーマ。例えば、年間を通じた身体活動量の変化は気温や天気と大きく関係しており、そうした点も考慮して活動目標を設定することが重要だという。「インタビュールーム」では、以前に特集記事で紹介した千葉県柏市、同市医師会、東大などによる高齢社会に向けた在宅医療のシステムづくりで、中心的な役割を担っている平野清医師に、取り組みの現状や課題、今後の展望等を尋ねた。

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税務経理

【2月7日号】 巻頭の「フォーラム」は、一橋大学名誉教授の石弘光氏が「個別消費税の役割」と題して寄稿。2012年度税制改正の焦点となった車体課税(自動車重量税、自動車税、自動車取得税)の見直しに関連し、問題となった消費税との二重課税の是非について考察している。車体課税について、①「有害になる行為」に対し、罰則的に税負担を課し、その抑制を図る②対象とされる個別の財・サービスに課税物件として特に担税力があり、税収確保の点で重要視されるーの二つの理由が認められるなら、個別消費税として存在しても不思議ではないと指摘した上で、「消費税が導入された折に、酒税やたばこ税などの個別消費税は、消費税と合わせ導入前と同じ負担になるよう軽減された経緯もある。二重課税は残しつつも、その不満を解消するためには、これも一つの解決法であろう」としている。連載の基礎講座「固定資産税(償却資産)の課税と調査実務」は、これまで4回の法人税償却資産制度の解説を受け、本号から帳簿調査に不可欠な減価償却資産の詳説に入った。

【2月10日号】 「私の苦心」欄は、「滞納整理のための二つのこと」と題し、愛媛県の取り組みを紹介。同県税収の約6割を所管している中与地方局は、他の地方局に比べて滞納整理が遅れ気味で、自動車税の徴収率が全国最下位県の数値を下回るという状況だったため、2009年度に税務管理課納税室に自動車税グループを新設し、大量の自動車税案件を集約して効率的に処理することで滞納整理を推進している。「当たり前のことを当たり前にやる」「捜索を実施する」の二つの考え方を取り組みの基本に据え、前者については、催告・財産調査・差し押さえ・執行停止の流れが円滑に進むよう業務の手順を見直し、滞納整理のために「望ましくない慣習」と思われるものは、室内で是非を議論して一つ一つ改善。後者に関しては、「国税犯則法のガサでブツが出なければ失敗だが、徴収の捜索で財産なしと判明したなら成功だ。とにかく1件を捜索しよう」との心構えで臨んでいる。同地方局の滞納整理は、徴収体制の強化によって、滞納件数も08年度の3万4000件から現在は2万件にまで減少している。

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金融財政ビジネス

【2月6日号】 「緩やかな景気回復を予想」と題して、身近な社会現象を基に今後の日本の景気について分析した記事を掲載した。同記事は「日本経済を取り巻く外部環境に目を向けると、相変わらず欧州の債務危機が景気の下振れ要因として存在する。しかし、米国では最近出てきた経済指標に明るい兆しが感じられるようになってきた。また、外国為替市場では、超円高の基調が継続しているものの、1㌦=70円台後半で推移し、落ち着いた動きになっている。一方国内景気は、復興需要などの下支えを受け底堅い動きとなっており、緩やかな回復が続くとみている。芸能、スポーツ、興業などの身近なデータの中にそうした状況を示すものが多く見受けられるからだ」としている。

【2月9日号】 「増大する景気減速懸念」と題して、日米の経済動向について解説した記事を載せた。同記事は「在庫の積み上がりが2011年10〜12月期の米国の国内総生産(GDP)を押し上げた。しかし、肝心の個人消費はゲタの影響を除けば伸びはほぼゼロで、設備投資は急減速し、輸出も伸びが鈍化している。先行き、GDPの伸びが減速することは不可避だ。一方、最近の景気回復期の原動力となってきた日本の輸出は、世界経済の減速を背景に伸びが期待できなくなっている。東日本大震災関連の復興予算の執行で公的需要が下支えになるとは思われるが、個人消費、設備投資も不振が続くことから、日本経済も低迷が続こう」としている。

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