早読み行政誌

「低所得ほど不健康」は本当だった—厚労省調査(2012年2月20日〜2月24日号)

地方行政

【2月20日号】 公務員の「組織的な起業、ビジネス」は、地方にも国にも前例が豊富にあります。その多くは失敗しています。リゾート施設や箱物施設を造り、運営会社をつくり出資する第三セクタービジネスはその典型です。第三セクタービジネスが失敗した最大の要因は、建設や投資の大きさが「身の丈を超えた」ことにあると指摘されています。この指摘は間違ってはいませんが、重要な視点が欠落しています。真の失敗理由は「身銭を切っていない」からです。自分のお金という意識が欠落した公務員の「組織的な起業、ビジネス」は、かなり小規模な投資・建設でも失敗しています。逆説的に言えば「税金を無駄遣いする公務員、議員」は一度「身銭を切る個人的な起業を体験」すれば、税金を使う(徴収する)重みが皮膚感覚として理解できるでしょう。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)

【2月23日号】 全国各地に行くと、観光客の流れが変わっていると感じることがある。団体旅行や修学旅行を大量に受け入れ、宴会付きで品数の多い料理などを出していたホテルや旅館が立ち並ぶ温泉街。沿道には土産物店がずらり。ホテルなどは思い思いに建っていて、自然景観への配慮は見られない。こういった所は客が激減している。代わって、これまで観光地でも何でもなかった所にたくさんの人が流れている。いくつか挙げてみると──。愛媛県内子町。地域住民と行政が一体となって美しい街並みや農村風景の保存に努めており、人口1万9000人の町に毎年100万人が訪れる。商店街には戦前の建造物が残り、周辺の図書館や集会所なども街並みに合った色調に統一している。農村部では古い建造物が宿泊施設や集会場に使われている。(中略)大分県日田市では、山の中にある大山農協直営の農家レストランに年16万人がやってくる。建物はドイツスタイルの木造建築。眼下に渓流が流れる。対面の建物が見えないように木々が植えられ、周辺の森林に溶け込んだ美しい景観がつくられた。レストラン周辺の道路も壁面に大きな石がはめ込まれており、森林と調和している。(中略)こうした地域に共通しているのは、山村風景をうまく生かしていることだ。(木曜連載「地域力と地域創造」)

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【2月21日号】 知事、市長選挙を挟んで大きな議論を教育界に巻き起こした大阪府教育基本条例案が2月議会に再び登場する。最終局面なのか、それとも今後も長期の塹壕戦が繰り広げられるのか。教育界からは、反対する声が聞こえて来る。連載「モンスターペアレント論を超えて」の執筆者小野田正利大阪大学大学院教授は、信頼の構築ではなく教員と保護者が仲たがいすることになる、として反対する。教員評価は相対評価から絶対評価に変わったが、実質5%をあぶりだそうとする方針は貫かれているとみる。ハシズムに対し、小野田教授は4回の緊急連載で厳しく反撃する。

【2月24日号】 自民党政権下で制度化された教員免許更新制に代わって、教員の質向上のために教員の修士化(6年生)の方向を打ち出していた。しかし、ねじれ国会がこの改革の方向性を頓挫させた。教員の資質・能力向上策について検討している中教審特別部会の「基本制度ワーキンググループ」は教員の修士化に向けた受け皿を整備する方策を示した骨子案を示したが、「新たな制度づくりは困難。既存制度の活用」を理由に、教育委員会の研修などに協力を求めるメッセージとなった。解散含みの国会情勢で一律修士化は微妙な情勢である。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【2月21日号】 米国では所得が低いほど食生活などに問題があり肥満が多いと言われるが、似たような事実が日本でも明らかになった。厚生労働省が毎年実施している国民健康・栄養調査で、所得との関係を初めて分析したところ、所得が少ないほど喫煙率が高く運動不足であるなど、経済格差が健康格差に結びついている実態が浮かび上がったのだ。地域格差の実態と併せて掲載した。連載「好転したのか、公立病院の経営状況」3回目は、個別の地域や病院の経営状況にスポットを当て、まず長野県、岩手県、千葉県、沖縄県の県立病院を取り上げた。

【2月24日号】 連載「『中之条研究』10年の成果」最終回は、高齢者の日常身体活動による医療費削減の可能性について、表を用いてシミュレーションを展開する。分析方法の限界はあるものの、住民集団のほんの一部の人がわずかに日常の身体活動を増やすことによって、医療費が削減できる可能性が示されている。臓器移植法が改正されても圧倒的なドナー(臓器提供者)不足の現状は変わらず、お金を払って海外に移植を受けに行く例が後を絶たない。こうした中、中国で闇の生体移植が増えているという。かつて死刑囚の臓器を使って倫理上の国際的批判を浴び、外国人への移植が厳しく制限されたが、死刑囚の代わりに貧困者から買った臓器を使う例が増えているというのだ。北京発の記事を掲載。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【2月20日号】 「消費増税に向け突き進む野田内閣」と題し、今年世界各国で予定されている首相や大統領の選挙に絡んで、野田政権の行方に関する見通しについてまとめた記事を掲載した。同記事は「『2012年問題』。今年は世界中で地殻変動が起きる可能性がある。先般の台湾総統選に始まり、世界193カ国(国連加盟)中59カ国で選挙が実施され、多くの国でリーダーが代わることが予想される。『今年はさまざまな国においてリーダーが交代をする権力の移行の時期です。外交・安全保障における危機管理を含めて、緊張感を持って今年1年間、対応していきたい』。1月6日、各府省の事務次官を中心とする連絡会議でこう述べた首相・野田佳彦。永田町に解散風が吹き始める中、この問題は野田にとっても他所の国の話ではなくなってきている」としている。

【2月23日号】 「『サルコジVSオランド』がほぼ確定」と題して、4〜5月に行われるフランスの大統領選挙についての分析記事を載せた。同記事は「フランスの大統領選挙に向けた動きがようやく本格化してきた。選挙は4月22日に第1回投票、5月6日に決選投票がそれぞれ行われる。現職のニコラ・サルコジ大統領(国民運動連合〈UMP〉)は、1月29日のテレビのインタビューで『私はフランス人とランデブーの約束をします。逃げるつもりはありません。その時は近づいています』とフランス国民に語り、2月15日にテレビで『私には全てのフランス人が必要だ』と立候補を表明。対立する社会党のフランソワ・オランド前第1書記の公約については、『理にかなっていない』と厳しく批判した。サルコジ大統領は3月に立候補表明を行うと予想されていたが、ここに来て立候補宣言を早めた。当初は、立候補声明をせずに、マスメディアに登場する回数を多くして存在感を示そうというのがサルコジ陣営の作戦だった。立候補者はメディアに登場する時間を制約されるからだ。しかし、支持率が伸び悩んでいるため、一転して立候補表明を行い、政策を明確にして有権者に訴えていこうという選挙戦略に切り替えたようだ」としている。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【2月16日号】 「欧州債務危機が世界経済に影」と題して、欧州債務危機が世界経済に及ぼす影響を分析した記事を掲載した。同記事は「2011年のクリスマスから年末にかけて金融市場での取引が薄商いにとどまる中、ユーロ圏は小康状態を保っていたが、年が明けると、米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がフランスを含むユーロ圏9カ国の国債の信用格付けを引き下げたため、危機的状況が再び表面化してきた。債務危機に揺れるイタリアやスペイン、そして国債の最上位格付けを失ったフランスなどでは、今年第1四半期に大量の国債の借り換えが予定されており、欧州連合(EU)やユーロ圏主要国の関係者にとっては緊張の日々が続いている。加えて、欧州債務危機は日本や米国など他の先進国だけでなく、中国やインドをはじめとする新興国の経済に影を落とし始めている。08年のリーマン・ショックが端緒となった世界経済の構造変化は、今回の危機によって加速されつつある」としている。

 また、「デリバティブ取引には正しい認識必要」と題して、デリバティブ(金融派生商品)取引に関する問題点や今後の対応策について解説した記事を載せた。同記事は「主要先進国のゼロ金利政策が長期化する一方、『リスクオフ』選好で、いわゆる『Cash is King(現金は王様)』の動きが広がってきた。しかし、運用担当者にとっては、現金比率を高めることが仕事ではない。リスクを的確に把握して運用利回りを高めること、いわゆるリスク・リターンを最適化することこそが使命である。その一方で、短期的に利回りを高めることだけに目を奪われ、運用商品の特性を吟味することなく、安易な投資を行っているケースが多いことも事実だ。その結果、資産価値が大幅に毀損していることが、円高の進行とともに顕在化してきた。これがデリバティブ取引による損失拡大の問題となり、中堅・中小企業が経営不安に陥り、倒産するケースも発生している。代表的なデリバティブは、為替オプション取引、通貨選択型投資信託、仕組み債などである。損失拡大の背景には、商品内容を検証することなしに投資している運用者と、高い販売手数料を得るため十分な説明もしない商品販売者の両方の節度なき収益追求姿勢がある」としている。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは