早読み行政誌

「中央省庁不滅」という安全神話(2012年3月19日〜3月23日号)

地方行政

【3月19日号】 首都直下地震が迫る中、大きな気がかりは、安全神話として、中央省庁の不滅神話が根強く残っていることです。自治体職員や防災関係者の多くは、首都直下地震が発生しても、中央省庁が機能不全・崩壊することを想像しません。首都直下地震を含めてすべての地震災害で、中央省庁がほぼ正常に機能していることを前提に災害対策を考えています。大震災となれば、被災地の行政機能は崩壊します。各省庁も同様です。首都直下地震が起これば、省庁だけが機能不全を起こさない、ということはありえません。そして、どうしても信じられないのですが、何よりも想像力の欠如の結果、財源不足などを理由にして防災を後回しにしている自治体があります。避難所となる学校などの耐震化を実行していない所さえあります。被災するという当然の想像力を働かせず、思考を停止して無視しているのです。市民の安全を守るという自治体の使命を忘れており、自治体失格だと思います。こうした思考停止から抜け出し、想像力を駆使して減災に取り組まないと、災害大国日本では生き残れません。減災に取り組むためには、すべての自治体が思考停止から覚醒する必要があります。(連載「東日本大震災1年」より)

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内外教育

【3月23日号】 世界一の学力水準の地域として認定された中国・上海。2010年12月に新聞発表された国際的な学習到達度調査(PISA)で読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーいずれの分野でも平均得点が最も高く、しかも成績下位層が少ない、理想的な学力を示した。初参加で見事な実力を示したのだが、「成績のいい都市部だけの参加」とか「途上国型の詰め込み教育の成果」などという見方が大勢を占めた。われわれは当時、事実を見極めようとはしていなかったのではないか。上海に実態調査に行った、新潟県教育総合センターのメンバーの報告が3回連載の予定で始まった。実は、30年前から始まったカリキュラム改革の成果だった、と言説のいい加減さを証明した。

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厚生福祉

【3月23日号】 「ゆにぼう」という、優しい響きを持った耳慣れない言葉がある。「ユニバーサルボール」の愛称で、障害があってもなくても共に生きるユニバーサル社会を目指すシンボルマークのことだ。巻頭言で社会福祉法人京都太陽の園副理事長の徳川輝尚氏が紹介している。東日本大震災特集は、福島第1原発事故による避難住民のうち帰還を望む人が4割にとどまるとのニュースと、関連記事をまとめた。先の見えない原子力災害に対する絶望感がにじむ。「地域を支える」は、松江市のドクターカー試験導入の話題。限られた人的資源の中での見切り発車的な導入だが、救急患者の社会復帰にかける関係者の強い思いがうかがえる。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」6回目は、岐阜県、三重県、鳥取県。

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税務経理

【3月23日号】 2回連載「地方都市の行財政改革─前橋市税務部門の挑戦」の最終回は、改革への取り組みを「組織的業務には価値の共有化が必要」「差押処分の実行」「目的と手段」「延滞金は現年度対策の基本」「班体制は上下一体の体制づくりの要」「研修は自主的な人材の育成」「電算システム、委託業務について」「納税環境の整備、収納嘱託員改革」などポイント別に解説。そして最後に「自治体の経営健全化を推し進めるためには職員一人ひとりの努力が必要である。徴収は、納税者である市民に支えられた仕事であり、結果を出して初めて税務行政に対する市民の信頼を得ることができる。税務職員として要求され培われるノウハウは、行政に携わる職員として別の部門においても生かし得るものである。前橋市において、税務部門は、豊かな地域社会づくりに貢献できる自治体職員の一つの育成機関であると考えている。前橋市が中核市レベルの自治体の税務行政の一つの継続的な典型となり得れば、自治体の公平、合法、効率的な税務行政の確立と継続に資すものと考える」などと結んでいる。

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金融財政ビジネス

【3月19日号】 「米国に追随した物価目標導入」と題し、米連邦準備制度理事会(FRB)と日銀が打ち出した金融政策に関する解説記事を掲載した。同記事は「FRBは、1月25日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、超低金利の『時間軸』を強化するとともに、2%のインフレ目標の導入を決定した。金融市場は利上げの先送りをいったん織り込んだが、雇用統計が強い数字になると、流れは変わった。米国流の『市場との対話』は、日銀のそれよりも不安定である。だが、皮肉なことに、米国のインフレ目標導入を受けて政治サイドから日銀への圧力がにわかに強まると、日銀はこれに屈した形での決定を下すことになった」としている。

 また、「強弱併せ持つ韓国経済」と題して、最近の韓国経済についてまとめた記事を載せた。同記事は「日本の貿易収支は2011年、31年ぶりに赤字に転落した。歴史的な円高や東日本大震災、東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響が大きいが、このままでは国全体の『稼ぐ力』を表す経常収支も赤字となる恐れがあるとされ、日本経済の先行きに暗雲が立ち込めている。これとは対照的に、輸出を伸ばし勢いに乗っているのが、サムスン電子や現代自動車などの財閥系大企業を有する韓国だ。ただ韓国も、貧富の格差の広がりや、増え続ける家計の負債など、深刻な問題を多く抱えている。日本経済は克服すべき課題を抱えているが、韓国にはない『強み』もあり、悲観的になり過ぎる必要はない」としている。

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