【3月26日号】 今回のビジネスモデルは「物を売りたいなら、それが必要な文化を先に創る」です。このビジネスモデルは自治体の箱物建設にも適用できます。つまり「箱物を造りたいなら、それが必要な文化を先に創る」ビジネスモデルが自治体に求められています。文化のまちづくりを標榜する自治体は多く、豪華な美術館や音楽ホール等の箱物を建設しましたが、利用率が非常に低い事例が少なくありません。なぜそうなったのでしょうか? 芸術の演奏・展示・鑑賞が必要とされる文化が地域に希薄だからです。欧米は、文化のまちづくりに関する着想が日本とは正反対です。欧米人の多くは、芸術を心の底から愛していて、芸術は彼らのライフスタイルに必要不可欠な存在です。地域によっては、ソウルやジャズなど特定の音楽が地域アイデンティティーとして根付いています。そういう地域は、立派な箱物(美術館や音楽ホール)を造る予算に恵まれない場合も少なくありません。人々はストリートなど公共空間で歌い踊ることを楽しみます。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」より)
【3月29日号】 静岡市は、地域に根差した神楽などと共に、踊りや唄、三味線などを披露する芸者の活動を、「地域に育まれている伝統芸能分野」と位置付け、積極的に支援していく方針だ。地元観光振興策の一環で、2012年度当初予算に具体的な助成措置を講じた。間接的な形ながらも、行政が芸者の活動を支援するユニークな取り組みと受け止められる。こうした市の動きに連動する形で、地元経済界も静岡商工会議所(会頭・後藤康雄はごろもフーズ会長)が中心になって、静岡伝統芸能振興会を設立。存続すら危ぶまれる「粋」な伝統芸能を再び興隆させようと、オール経済界で積極的に応援していく構え。同振興会では、芸者が踊りなど芸事を披露する機会づくりや、後継者発掘などに直接携わることにしている。市と経済界は12年度から二人三脚で、「芸者文化」(後藤会頭)のサポートに向けた具体的な取り組みに着手する。(特集「官民で「芸者文化」支援─静岡市」より)
【3月27日号】 いよいよ最終回となった火曜日定期連載「東京学芸大附属の実践」の執筆は、特別支援学校主事が担当した。一人ひとりの教育的ニーズに応じるため、幼児期から高等部卒業後にいたる「個別教育計画」を長年つくってきた。その個別教育計画の歴史と、基本的な理念と構造について詳述している。先端研究校が目指す「個に応じる仕組みのユニバーサルデザイン」が提示されている。4月以降の新年度は、火曜日号には新連載企画「視学官・教育課程調査官の講義ノート—授業ここがポイント」が始まります。どう教えれば子どもたちは分かるのか。保護者にも必要なその実践的ポイントを伝授します。ご期待ください。
【3月30日号】 年度替わりを知らせる教科書検定の報告が、5ページにわたって特集されている。13年度から新学習指導要領で始まる高校低学年の教科書が対象となった。高校教科書にも「脱ゆとり」の動きが読み取れる。平均ページ数で数学が27%、外国語が25%増加した。東日本大震災と原発事故については、各教科書とも事実関係だけの記載にとどまっている。震災発生から検定申請まで2、3カ月と準備期間が短かったことが影響したとみられるが、戦後の転換点に位置付けられるであろう歴史的災害にもう少し柔軟に対応できたのではないかと思うのは、素人考えに過ぎるのだろうか?
【3月27日号】 腎臓の機能が低下する慢性腎臓病(CKD)は、放置して悪化すると人工透析に至る可能性が高い。人工透析患者数の増大が医療費や生活の質(QOL)の面で問題となる中、CKD対策は重要な課題となっている。CKD悪化防止のための食事療法の現状や課題を伝える特集「慢性腎臓病」を2回にわたり掲載した。「インタビュールーム」は、岡山県医師会長に就任する丹羽国泰氏に、医師の地域偏在解消への取り組みなどについて尋ねた。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」7回目は、北海道、千葉市、鹿児島県。
【3月30日号】 高齢者の資産運用をめぐるトラブルが増えているという。年金不安を背景に、金融機関が扱うデリバティブ(金融派生商品)などハイリスク商品を十分な理解のないまま購入し、老後の資金を失う──といった事態だ。弁護士の佐野みゆき氏が、取り調べ可視化と同様に金融機関による商品説明を全件録音するよう、巻頭言で提案している。AIJ投資顧問の年金資金消失問題で、証券取引等監視委員会が強制捜査に乗り出した。東京地検特捜部も捜査するという。一基金の〝事件〟にとどまらず、厚生年金基金の財務悪化や、国家公務員OBの天下り問題なども浮き彫りになっており、政府の対応が注目される。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」8回目は、茨城県、奈良県、徳島県。
【3月27日号】 「私の苦心」欄は、「最も大切なこと」と題し、奈良県王寺町の取り組みを紹介。それによると、税務行政に携わるに当たり、「私たちの目標とは何か」「公平公正な徴収のために何をすべきか」を考える。「払わない」のと「払えない」のは違う。これをしっかりと調査で見極める。滞納整理を粛々と進めればいい。特別な手法は全く必要ない。法律に従ってやるべき仕事をきちんとする─これだけでいい。税金を納めてくれるのは住民。この住民への感謝の気持ちが職員に芽生えたことが大きな変化につながったと指摘。最後に「私たちの目標はともすれば、目先の数字に置かれてしまいがちだが、目標は『住民の皆さんが望まれる街づくりをしっかりと進める』」ことであり、そのため、住民意識と共に、将来のわが街づくりの財源確保策として税務行政に取り組むという職員の意識改革こそが最も大切であると確信している」と結んでいる。同町の町税徴収率は、2004年度は89%、滞納繰越額は約3億4000万円に上ったが、2010年度には徴収率98.1%、滞納繰越額は約4000万円に縮減している。
【3月30日号】 「私の苦心」欄は、「継続による徴収率アップ」と題し、高知県いの町の取り組みを紹介。同町では、「訪問徴収」から「滞納処分による徴収」に切り替え、併せて延滞金についても徴収する方針で取り組んでいる。差し押さえ件数は2003年度の16件から年々増加し、2010年度は453件に達している。その結果、町税および国民健康保険税、介護保険料、後期高齢者医療保険料を合わせた徴収率は、2002年度の91.64%が2010年度には96.0%に上昇。「特に国民健康保険税ほか2保険料については、非常に少ない収入で生活している方にも税・保険料が賦課されており、収入が少ない中、納期内に納付した納税者の立場に立って公平性を持った徴収をすることが私たちの責務であり、その人たちの目線に立って法令に基づく徴収を進めていくことが重要」とした上で、「市町村の職員は、大多数の納期内納税者の立場に立った公平な徴収に努めるという使命感と、滞納者の執拗な抗議に対しては、担当者個人へのプレッシャーとならないように組織一丸となって対応できれば、『滞納処分による徴収』が実現できる」としている。
【3月26日号】 「ユーロ圏の『ルーブル圏化』も」と題し、欧州債務危機に関する解説記事を掲載した。同記事は「3月9日、ギリシャが抱える債務の8割超について民間債権者が減免に応じた。その結果、2011年7月から持ち越されていた欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の『トロイカ』による第2次金融支援の実施にめどが立った。しかし、『民間部門関与(PSI)』の下で民間債権者が債権保全において劣後することが明らかになったため、今後、市場が求めるリスクプレミアムが低下しない事態も懸念される。他方、ECBの長期資金供給オペレーション(LTRO)により、金融市場は落ち着きを取り戻している。しかし、ユーロ圏内の弱い中銀による信用拡張が節度を失えば、ユーロ圏の『ルーブル圏化』リスクが高まるとの指摘もある。欧州債務危機への処方箋は、市場と政策の綱引きの中で、さまざまなリスクを孕んでいる。『時間を買う』施策により市場の安定が確保されている間に、財政再建に加え、成長志向の構造改革を進めなければ、負の連鎖からの脱出は困難だろう」としている。
【3月29日号】 「知的財産管理技能士の配置を」と題して、中小企業における知的財産権への取り組みについてまとめた記事を載せた。同記事は「中小企業に関して『優れた技術を有していながら、知的財産権に関する最低限のマネジメントが行われていないため、その技術が社外、特に国外に流出している』と言われる。中小企業で知財に対する取り組みが進まないのは、経営陣の間に誤解があることが原因だろう。例えば、『知財は気にしてこなかったが、これまで事業的に成功している。何か問題が起きたときに対処すればよいのではないか』などといった考え方が多くある。知財によって得られる成果は必ずしも『見える』ものというわけではない。そうした姿勢を経営陣が取ってきた結果、本来は取得できたはずの知的財産権を取り損ない、権利さえ確保していれば競争しなくてよかったような後発企業と価格競争をしている可能性がある。『外部の専門家を必要に応じて活用する』という企業方針であっても、社内での知財に関する判断は必要不可欠であり、少なくとも1人は、知財に関する最低限の知識を持ち、外部の専門家である弁理士や弁護士とのインターフェースとなれるような人材が必要である。例えば、各中小企業内に知的財産管理技能士の資格を保有する人間が最低1人はいる状況を実現することが、明確かつ検証可能な目標となるのではないだろうか」としている。