【4月16日号】 小学生の時、学校のベランダや校庭に仲間と共に花壇をつくったり花の世話をしたりした経験、そういう空間で気持ち良く過ごせた経験が読者にもあると思います。あるいは現在、自宅のベランダや庭で家族と共にガーデニングを楽しみ、その空間で気持ち良く過ごしている方もいるでしょう。ところが、同じことを「地域全体、まちづくり」に広げようとすると、全く違う反応を示す人が少なくありません。特に、中高年男性の多くは「そんな経済効果のない作業に時間と金を投資しないで、もっと経済効果が大きいこと、しかもすぐ効果の出ることをやろう」と言います。こうして、中高年男性の声が大きい地域のまちづくりは「経済効果が大きいこと、すぐ効果の出ること」が優先されるようになります。今回は「経済効果が小さい、しかも効果が出るのに時間を要する」まちづくり・地域再生の価値と、その進め方を考察します。進め方は「共感、承認欲求、子どもの反応」に注目します。考察対象は「花のまちづくり」です。北海道全域で花のまちづくりを推進する「ブレインズ種まく私たち」代表の「内倉真裕美(うちくら・まゆみ)さん」にフォーカスを当てます。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」より)
【4月17日号】 恒例の、と言うと、マンネリの、と反論されそうな「東京私大教連の新入生家計調査」の結果が紹介されている。昨年、首都圏の大学や短大に入学した新入生の保護者を対象に家計負担を調査した。約5500人が回答した。下宿生の1日の生活費は1010円と16年連続で過去最低を更新。調査主体の東京私大教連は「アルバイトなしには大学に行けなくなっている」と指摘した。家計に頼る高等教育は、限界かもしれない。「国からの補助」を求める声は切実だ。
【4月20日号】 内外教育の面白さは、最終ページにぎゅっと濃縮されたコラムがあることかもしれない。匿名のコラムで、政策中枢のレベルから断罪しているから、切れ味が鋭くなる。第三者的なジャーナリストたちの空虚で軽い批判とはひと味も、ふた味も違う本物の味わいが漂うことがある。今回がまさしく本物の味わいを醸し出している。3・11をきっかけとした防災教育の盛り上がりを受け、「防災科」として一気に教科への格上げが検討され始めている。本当にそれでいいのか。過去の「教科」になった実例を挙げながら、慎重な審議を望むのは現場の先生のためだけではない。日本人が時と流れとその場の空気を超えて真に正しい構造的判断ができるかどうか、という問題なのかもしれない。
【4月17日号】 公立病院に限らず、病院経営に大きな影響を与えるのが診療報酬改定。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」9回目からは、3回にわたり2012年度診療報酬改定に焦点を当てる。初回は改定のポイントについてまとめた。今後の影響が注目される。強制わいせつ事件で、富山地裁が10歳少女の告訴を「幼い」ことを理由に無効と判断したという。子どもの人権、被害回復をめぐり物議をかもしそうだ。児童福祉専門家のコメントも交えて掲載した。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」13回目は長野県、広島市、岡山市。
【4月20日号】 障害者自立支援法の改正案が閣議決定され、国会に提出された。難病患者を障害福祉サービスの対象に加えることなどが主なポイント。民主党は同法の「廃止」を掲げていたが、事実上の存続ともいえる内容に当事者らから批判が高まっている。障害者福祉のあるべき姿について政府の部会がまとめた「提言」との落差も問題視された。こうした経緯など詳報を掲載。京都府の繁華街で、てんかんの持病のある運転手による軽ワゴン車が暴走し、歩行者7人が死亡する惨事が起きた。約1年前に、小学生6人が死亡した栃木県鹿沼市のクレーン車事故があったばかり。今回、病気と事故との関係はまだ明らかになっていないものの、てんかん患者への偏見・差別の問題もからみ、問題は深刻だ。「進言」は、総合就業支援施設とハローワークを一体化させた全国初という京都府の取り組みについて紹介する。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」14回目はさいたま市、静岡市、堺市。
【4月17日号】 「私の苦心」欄は、「課税事務の広域連携による取り組み」と題し、北海道の取り組みを紹介。地方税の徴収対策について、道内でも6地域で滞納整理機構等が大きな成果を上げている。しかし、自治体数が179市町村と全国一多く、人口1万人未満の小規模市町村が65%を占め、全国を上回るスピードで少子高齢化や人口減少が進み、市町村を取り巻く行財政環境は非常に厳しい状況にある。道内に14カ所ある総合出先機関の一つである渡島総合振興局は課税業務について、一部事務組合設立による徴収対策と同じような、広域連携による組織づくりについて調査、検討。その結果、不動産取得税と固定資産税における「家屋評価事務」について、「家屋評価を一元的に実施することにより、効率的な評価体制を整えるとともに、派遣される市町村職員の評価スキルの習得や市町村の評価ノウハウの向上が図られるなど、共同化に向けた取り組みが有効」との提案が行われた。今後、税務関係会議などで協議を重ねていくが、「組織運営(人員配置や負担金等)のあり方、市町村間における評価の均衡を図る難しさや納税通知書送付後の課税(評価)内容の照会対応などの課題、問題点をクリアするとともに、管内全市町の賛同(参加)が前提とされており、実現までには時間を要しそうだ」としている。
【4月20日号】 「私の苦心」欄は、「個人県民税納税率向上を目指して」と題し、埼玉県の取り組みを紹介。同県の税収構造は、個人県民税の納税率が低い上、同税の県税調定額に占める比率が全国的にも高く、県税納税率の全国順位が2年連続最下位と低迷している。このため、収入未済額の約80%を占める個人県民税未済額の圧縮を2011年度の最重点課題と位置付け、県と県内全市町村による「県・市町村個人住民税税収確保対策協議会」を設置、重点実施事項として、給与からの特別徴収への切り替え促進、「県税・市町村税滞納整理強化期間」の設定、高額滞納事案の共同進行管理などの取り組みを実施。さらに、県総務部長を本部長とする「税収確保対策推進本部」を発足させ、「チームによる短期集中派遣」を柱とする緊急対策に取り組んでいる。具体的には、個人住民税の未済額が大きく、納税率が全国平均以下の8市に複数の県職員を派遣し、市職員とのプロジェクトチームにより、高額滞納事案の集中整理と徴収体制や徴収対策の強化を図っている。東松山県税事務所では「管内市町の規模が小さく、自治体数も多いことから、それぞれの市町の考え方やスキルレベルの差異もあり、さまざまな困難もあるが、県・市町一体となって乗り越えたい」としている。
【4月19日号】 「金利リスク分散の議論を」と題し、日米の債券市場の動向に関する分析記事を掲載した。同記事は「欧州の債務危機はいったん収束に向かいつつあるが、構造的な問題は依然として残っている。各国は金融緩和を続けざるを得ず、各国の債券市場の安定化は中央銀行の舵取りに大きく影響を受ける。債券ポートフォリオについては、デフレ対応から平時への移行を進めつつ、金利リスクの分散を議論すべき時期にある。欧州債務危機が取りあえず避けられたことによる不確実性の後退や米経済の回復を受け、過度のリスク回避志向は後退した。欧州中央銀行(ECB)が2011年末と12年2月に長期資金供給オペ(LTRO)を実施したことで、欧州の金融市場は安定を取り戻している。その後のギリシャ支援に関する合意や欧州金融安定化基金(EFSF)の融資能力の引き上げにより、同地域への懸念は大きく後退する状況にある。これまで質への逃避から大幅に金利が低下してきた日米の債券市場では、このような環境変化を受けて水準調整が始まっている。投資マインドの改善に対する期待は株価上昇につながり、資産効果を生む期待を強めている」としている。
また、「財政危機の再発防止策強化が必要」と題して、欧州債務危機の今後の動向に関する解説記事を載せた。同記事は「ギリシャ向けの第2次支援協議がようやく決着し、第1弾の融資が実行された。追加支援により債務の削減や金利の引き下げなどが実現し、ギリシャの公的債務の持続可能性確保に向けて大きく前進した。しかし、長引く国内景気の低迷や総選挙後の政治情勢の不透明感、支援側の不信感の高まりなどから、第3次支援やユーロ圏離脱の懸念も拭い切れない。足元では、スペインが財政赤字の目標を緩和したことを機に、改革の遅れを懸念して同国国債の利回りに上昇の兆しが見え始めた。ポルトガル、イタリアなど財政再建に取り組む他のユーロ周縁国もそれぞれリスク要因を抱えている。3月末のユーロ圏財務相会合においてファイアウオール(債務危機対策の金融安全網)の拡充が合意されたが、新規支援に活用可能な『真水』部分は5000億ユーロにとどまり、力不足の感は否めない。欧州連合(EU)は、近い将来予想される新たなリスクの顕在化に備え、危機対応策のさらなる強化と財政危機の再発防止に向けた取り組みを強化していくことが求められている」としている。