早読み行政誌

「男女共同参画」の欺まん(2012年4月23日〜4月27日号)

地方行政

【4月23日号】 日本で「働く土俵」は昔、男性が有利になるようにつくられた側面が強い。男性が有利な土俵の本質を変えないまま、男女共同参画の施策・条例で、その上っ面だけ塗り替える現状は、ほとんど効果が出ていないと思います。誤解を恐れずに言えば、今の男女共同参画に関する施策・条例は「男性に有利な土俵のまま(女性参加枠を設けて)女性に参加を呼び掛けている」にすぎません。(中略)男性に有利な土俵の本質とは何か。それは男性が昔から今も当たり前のように使い続ける「言葉」に表れます。男が女を口説くとき、よく「幸せにする」と言います。一見、格好いい台詞ですが、「女の幸せは男次第」というニュアンスが暗に含まれています。次に男女が別れるとき、男は別れ話を切り出されて初めて、女を「管理、支配」したがっていたことに気がつきます。男は自分では対等な共同関係を心掛けていたつもりでしたが、女は「男が管理・支配する男女共同」と感じて嫌悪していたと別れた後に悟ります。自治体が推進する「男女共同参画、官民協働」は、男女の別れ話に似ています。すなわち「男が管理・支配する男女共同」「官が管理・支配する官民協働」という意識が、男性中心の役所の根底にあります。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」より)

 総務省自治財政局のランニング愛好者や、これから走ってみようという職員有志の計62人が会員の「ジョギング・ラバーズZ(ZAISEIの頭文字)」が発足した。名称はメンバーによる投票で決定し、略称は「ジョグラバ」。12日夜には発足を記念して皇居1周ランニングを行い、約50人が課ごとに分かれて走った。皇居ランの経験者は15人程度で、初体験のメンバーも多かったが、30分程度で全員が完走。皆、余裕の表情だった。(中略)、2月末の東京マラソンで4時間22分48秒と自己ベストタイムを約20分縮めた椎川忍局長は2周走った。橋本嘉一前公営企業課長も、ゴール後に公営企業課のメンバーがまだ走っていることを知ると、「こりゃ追い付けるぞ」とやはり2周目に。ハイスピードでメンバーの後を追った。「マラソンは初心者」と語っていた末宗徹郎地方債課長。軽々と1周してきたかに見えたが、実は「皇居の周りは坂があって結構きつかった」と打ち明けた。(「トピックス」より)

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内外教育

【4月24日号】 ドイツの思想家ルドルフ・シュタイナー(1861〜1925年)の教育思想を実践するシュタイナー学校は世界で1000校を超え、欧米を中心に公教育の一つとして認められている。日本ではまだ異端視されがちだが、学校法人の認可を受けた2校を含め8校が開校、約1000人が学んでいる。「何のために学ぶのか」。この問いにきちんと答えられる日本の大人はどれだけいるのだろうか。シュタイナー学校で学ぶ意味は、その原点を見詰め直すことなのか。生きる力を持った人材育成に本当に成功しているのか。横浜シュタイナー学園を舞台にした、1年間にわたる長期連載で、日本の公教育の強さと弱さを浮かび上がらせる試みだ。

【4月27日号】 2011年度から小学校は新学習指導要領が全面実施されている。学力向上のための教育内容の増加、実験・実習などの体験的学習の重視に伴って、これまで以上に新しい教材・教具が必要となるにもかかわらず、依然として5割以上の公立小学校で教材整備などの経費が予算化されていない。全国連合小学校長会の2011年度研究紀要は、学校現場が財政難の中で厳しい対応を余儀なくされている実情をリポートしている。厳しい事実の指摘を、まずは読み取っていただきたい。

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厚生福祉

【4月17日号】 公立病院に限らず、病院経営に大きな影響を与えるのが診療報酬改定。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」9回目からは、3回にわたり2012年度診療報酬改定に焦点を当てる。初回は改定のポイントについてまとめた。今後の影響が注目される。強制わいせつ事件で、富山地裁が10歳少女の告訴を「幼い」ことを理由に無効と判断したという。子どもの人権、被害回復をめぐり物議をかもしそうだ。児童福祉専門家のコメントも交えて掲載した。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」13回目は長野県、広島市、岡山市。

【4月20日号】 障害者自立支援法の改正案が閣議決定され、国会に提出された。難病患者を障害福祉サービスの対象に加えることなどが主なポイント。民主党は同法の「廃止」を掲げていたが、事実上の存続ともいえる内容に当事者らから批判が高まっている。障害者福祉のあるべき姿について政府の部会がまとめた「提言」との落差も問題視された。こうした経緯など詳報を掲載。京都府の繁華街で、てんかんの持病のある運転手による軽ワゴン車が暴走し、歩行者7人が死亡する惨事が起きた。約1年前に、小学生6人が死亡した栃木県鹿沼市のクレーン車事故があったばかり。今回、病気と事故との関係はまだ明らかになっていないものの、てんかん患者への偏見・差別の問題もからみ、問題は深刻だ。「進言」は、総合就業支援施設とハローワークを一体化させた全国初という京都府の取り組みについて紹介する。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」14回目はさいたま市、静岡市、堺市。

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税務経理

【4月24日号】 「私の苦心」欄は、「人材育成は全員参加で」と題し、神奈川県の取り組みを紹介。県内で三つの市町村を管轄する厚木県税事務所では、リーマン・ショック後、法人関係税の落ち込みから、2008年度335億円あった県税収入は10年度には170億円に半減した。同事務所は、こういう時は「ピンチをチャンスに」との発想で、組織の活性化と人材育成に取り組む仕掛けを考え、「滞納管理システム」を活用し、目標値として収入未済件数の10%削減を設定した。収入未済の多くは、県全体でも1000億円近くあり貴重な自主財源となっている自動車税。「チーム担当責任者を決め、進行管理することにより、新規発生の2000件のうち8割近くが納入される結果となっている」とし、最後に「全員参加による業務を行うことで、新入職員が自分の役割や責任を考え、改めて業務に取り組む姿勢を見ることができる。納税者との交渉で思わず下を向くことがしばしばあった職員が、相手から目をそらさず話し合っている姿を、ようやく見られるようになった」としている。

【4月27日号】 「私の苦心」欄は、「税収確保への取り組み」と題し、福井県の取り組みを紹介。小浜市、敦賀市、高浜町など嶺南地域2市4町を管轄区域とする嶺南振興局税務部の徴収部門の特徴は、文書、電話や臨戸により粘り強く滞納者に働き掛け、自主納付に結び付ける割合が高いこと。「徴収部門が成果を上げることができるかどうかは、管理職員(所属長、担当課長および担当グループ長)次第」とした上で、「職員の能力を引き出すためには、管理職員が率先し身をもって徴収に対する姿勢を行動で示すことが重要。思うような成果を上げられない場合は、管理職員に原因があると考えてよい」。さらに「明るい職場づくりのためには、成果を上げ職場の目標を達成することが基本。それができれば自然に明るい職場になっていく」とし、滞納整理業務に従事している職員に対しては、研修や書籍で教わった滞納整理の手法について自分なりの工夫を加えてみることを勧めた上で、「それによって成果を上げることができれば、仕事が面白くなり、意欲も湧いてくる」と結んでいる。

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金融財政ビジネス

【4月23日号】 「デフレの背景に相互扶助的な資金循環」と題し、バブル崩壊後の日本型デフレについて解説した記事を掲載した。同記事は「『失われた20年』と呼ばれてきた日本型デフレは、バブル崩壊後の経済の衰退を意味する。日本は、ギリシャのような混乱に陥ることなく、経済の衰退を巧みに管理してきた。その背景には、家計、企業、銀行、政府の間の相互扶助的な資金循環が存在した。それは、鎌倉時代から日本に存在した頼母子講や無尽にも似ている。頼母子講や無尽では、同一共同体内のメンバーが債権者であると同時に債務者でもある。しかし、最後には一揆や徳政令によって債権債務を解消することが多かった。このことは、森嘉兵衛の『無尽金融史論』(法政大学出版局)で述べられているが、これまで日本経済を支えてきた相互扶助的な資金循環がいつまで続くか問題である。一つのめどは、家計の貯蓄率がゼロないしマイナスになり、家計金融資産が減り始める時期だろう。それまでに若者の目線に合わせた政策を実施しないと、日本経済の『成長遺伝子』が凍り付きかねない」としている。

【4月26日号】 「アラビア半島の通貨史を概観」と題して、湾岸協力会議(GCC)で準備作業が進められている通貨統合に関連して、アラビア半島の通貨史を概観した記事を載せた。同記事は「湾岸協力会議(GCC)は、政治、経済、安全保障など多面的な協力関係の強化を目的として、1981年5月にサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)など主にアラビア半島に位置する6カ国の加盟により発足した地域共同体である。GCCは域内の経済的連携強化の一環として、通貨統合を目指している。GCCの通貨統合は、ユーロ圏諸国を手本にしていることもあって、単一通貨ユーロと似た部分が多い。もっとも、通貨統合に対するGCCの考え方にはこの地域の特性が色濃く反映されている。通貨は国家の主権やアイデンティティーを象徴するとも言われ、他国の通貨の受容や統合は容易なことではない。そうした中、アラビア半島では多くの外国通貨が流通していた経緯がある。これには、当該外国通貨自身の属性に加え、アラビア半島の歴史、宗教、国民性なども密接に関係している。通貨統合計画の背景を理解する一助として、アラビア半島においてそもそもどのように通貨が利用されてきたのかについて歴史的な見地から概観したい」としている。

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