早読み行政誌

過疎地と市街地をつなぐ—若き起業家の挑戦(2012年5月7日〜5月11日号)

地方行政

【5月7日号】 雇用(仕事)の創出は今、日本全国に共通する課題です。世代的には「若者」の雇用、地域的には「地方都市」で雇用の創出が特に求められています。従来、地方都市の雇用創出施策は、大きな「工場、店舗」の誘致が中心でした。地方自治体は、大工場と大店舗の誘致に多額の補助金を投下してきました。しかし、ここ数年で誘致してから10年にも満たない大工場や大店舗が、閉鎖や撤退する事例が少なくありません。そういう現状では、新たな誘致も困難です。つまり、今後は工場にも店舗にも雇用を依存できなくなっています。そこで私は、日本に雇用(仕事)を創出するには、国・大企業への依存度を下げて「スモールサイズで、地域に密着した起業」を推進すべきと繰り返し主張しています。これに自治体が、どう関与(協働)すべきかを今回のテーマにします。ケーススタディーとして、過疎地と市街地を繋いで「両都市で雇用創出、産業とコミュニティの再生」に貢献する若き起業家の藤丸正明さん(28)に注目します。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」より)

 総務省の旧自治省系の山好きを中心につくる「山遊会」(会長・大石利雄官房総括審議官)が4月21日の土曜日、高尾山から景信山を経て陣馬の湯に至る縦走登山を実施した。高尾山行は新年恒例の行事だが、雨天で1月、3月と2度も延期され、ようやく実現した。ただ、春を迎えた高尾山は、ツツジや山桜が満開で「花見もできた」と参加者は大満足だった。そして何より今回は、27人が参加。顧問の滝野欣弥元事務次官によれば、「過去最大規模」で大盛況の会となった。4月に実施したため、2012年度の入省者5人のほか、自治体からの研修生も参加。特に会長や顧問を驚かせたのは、自治税務局固定資産税課から9人も参加したことだ。(「トピックス」より)

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内外教育

【5月11日号】 モンスター・ペアレントにどう対応するかという学校現場の深刻な問題に真正面から取り組んできた連載「モンスター・ペアレント論を超えて—普通の教師が生きる学校」が、間もなく3年目に突入する。現場の教師たちが最も困っている課題に少しでも役に立てば、という思いで続けてきた連載だったが、問題はさらに広がり、複雑な背景がそれぞれのケースに浮かび上がってきた。現場を元気づけるためのメッセージを発しながら、3年目も進みます。筆者の小野田正利大阪大学大学院教授は保護者対応力向上の研修用DVDを作成しました。内外教育読者には10%割引のサービス特典も付いている。

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厚生福祉

【5月8日号】 東日本大震災を機に、災害時に医療拠点の機能を担う「病院船」の議論が高まっている。それと直接は関係ないものの、国内唯一の「診療船」として瀬戸内海で半世紀に渡り活躍してきた「済生丸」の事業継続が決まった。厳しい財政事情という問題を抱えながら、災害対応や国際貢献など新たな役割に期待がかかる済生丸事業をリポートする(「特集・済生丸事業継続 新船建造へ、災害時にも対応」)。連載「ワンコイン健診の現場から」2回目は、高校時代に医療ビジネス起業を志した経緯をつづっている。普通のサラリーマン家庭に育った少年が、いかにして医療現場に問題意識を抱き、20代で会社を興すに至ったかが分かる。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」17回目は秋田県、岩手県、熊本市。

【5月11日号】 特集「好転したのか、公立病院の経営状況」11回目は、一般病棟の「15対1」入院基本料(患者15人に1人の看護師を配置)の問題を取り上げた。2010年度診療報酬改定で15対1は黒字という理由で唯一引き下げられたが、特に地方の自治体病院に15対1が多いことや、不採算地区・救急医療における役割などから、診療報酬で十分な評価がなされず公立病院の経営に打撃を与えている可能性に触れる。「インタビュールーム」では、山形大学の教職員・学生らによる震災復旧プロジェクトを紹介。とかく無関心と言われることの多い若者だが、自発的な活動が頼もしい。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」18回目は仙台市、横浜市、岡山県。

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税務経理

【5月8日号】 「私の苦心」欄は、「地方分権と債権管理」と題し、大津市の取り組みを紹介。同市は、中核市の中でも上位にある税徴収のノウハウを生かし、市の債権の管理を計画的・適正に行い、収納率の向上・滞納額の削減を図っている。その一環として、強制徴収公債権の回収事務の一元化を図るため、第一段階として、滞納者の多い市税と国民健康保険料の滞納者情報の名寄せシステムの構築を進めている。また、債権管理の体制整備と私債権の放棄、議会への報告等について規定した債権管理条例を本年4月から施行。また、債権管理の取り組みが全庁的に行われるよう指示・指導し、一元化された債権のうち高額案件を担当する債権管理室を新設した。「収納率の向上・滞納額の削減は、市財政の運営および市税等の公平性の確保にとって極めて重大な要素であり、今後とも全庁的な取り組みを推進していく」としている。

【5月11日号】 「私の苦心」欄は、「新公会計基準導入に向けての取り組み」と題し、日本公認会計士協会の活動を紹介。日本公認会計士協会では地方公会計の制度として、民間企業における財務会計と同様に、複式簿記・発生主義会計を採用した新公会計基準の導入を推進している。地方公会計に複式簿記と発生主義を導入することにより、地方自治体の財政状態の透明性が高まり、住民の納税意識が高まることが期待されるためだ。自治体の会計機能の強化に向け、自治体に関して専門性を有する日本公認会計士協会会員の充実などが課題であり、民間企業方式の会計に不慣れな自治体の会計担当者に対し、研修会を開催したり個別指導をしたりしていくためには、地方公会計という新しい専門分野に精通した公認会計士を養成する必要があるとしている。

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金融財政ビジネス

【5月10日号】 「収益減や自己資本の低下も」と題し、アジア太平洋地域の銀行の動向について解説した記事を掲載した。同記事は「アジア太平洋地域の銀行は、他の地域の銀行に比べて比較的安定した財務内容を維持しているが、2012年は経済成長率の低下や与信コストの上昇、収益の悪化など、より厳しい状況に直面するだろう。現時点では、アジア太平洋地域の銀行は健全な資産の質や自己資本に支えられ、信用力を維持できるとみているが、仮に欧州債務危機が一段と悪化した場合、各国の経済や金融市場にネガティブな影響が広がるため、今後の動向を注視する必要がある。近年、アジア太平洋地域との関係を深めている日本企業や邦銀にとっても、その影響は大きい」としている。

 また、「戦略的思考の復活に何が必要か」と題して連載記事「新・歴史夜話」を取り上げた。同記事は「『日本人に戦略的思考がない』と言われて久しい。人間は身近な世界から物事を判断する。その意味で、近い過去である第2次世界大戦の記憶は生々しく、第2次大戦では戦略の不在が敗北を招いたとし、勝利した日露戦争との比較から、昭和になって日本人の発想が貧困になったと論じる人や、日本人には元来戦略的思考などなかったという人もいる。『戦略不在』という不名誉な冠詞はいずれにせよ日本人にはついて回り、それに関わるテーマの議論も盛んである。しかし、昨今の戦国時代ブームで明らかになってきたように、戦国武将の戦略は世界的に見ても第一級のレベルである。では、日本から戦略が消えたのはいつか? それはなぜ消えたか、そして今後復活する可能性はないのだろうか?」としている。

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