早読み行政誌

「自分はダメ人間」、日本の高校生8割が思う(2012年5月21日〜5月25日号)

地方行政

【5月14日号】 東日本大震災という近代では未曽有の天災をはじめ、財政悪化や雇用危機など自治体を取り巻く環境は厳しさを増している。まさに激変の時代である。その中で自治体幹部は、地域とそこに居住する人々を守る最前線にいて重責を担っている。求められる人材の要件とはどんなものだろうか。幹部となる人材を育成する必要性について異論のある人はいないだろう。しかし、そのための方法論となると百論百出である。各自治体では、幹部の選抜や育成のために人材育成基本方針を策定し、職場での指導や研修などに相当の時間をかけてきた。実際、自治体で実施される研修は、同規模の民間企業の研修に比べて充実していると言える。しかし、多くの時間や予算をかけている割に、時代の動きに合致した優秀な幹部がどんどん輩出されているという話は、残念ながらあまり聞かない。激変する時代に、地域の重責を担っている自治体幹部には、これまでの延長線にはない大局観や知見が必要であり、大きな改革については「荒野を切り開く」リーダーシップが不可欠であり、そのための新たな、大胆な方法論が必要となるのではないか。(月曜連載「激変時代の自治体幹部育成法を探る」より)

【5月17日号】 最近、元気な地域に行って、こんな方法があったのかと驚くことがたびたびある。それは、価値観とチャンネル(販路)の転換であり、それまでの手法に新しい道筋をつけることである。例えば、福島県会津地方の伝統工芸である会津漆器の木地(素地)を作る丸祐製作所(同県会津若松市)は、インターネットでつながりが生まれた県外の業者からの注文が増え、もともと取引があった地元業者の注文額を上回ったという。会津漆器の製作は分業化されている。素地を作る工房と漆を塗る工房に分かれ、素地に漆を何度も塗り重ねて漆器が作られる。それを地元業者が販売してきた。ところが、インターネットでつながった県外の業者は、従来の漆工芸ではなく、木の生地を活かしたナチュラルな器を販売した。それが売れ始めたのである。消費者の購入傾向が変化してきたことの表れだろう。(木曜連載「地域力と地域創造」より)

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【5月22日号】 「自分はダメな人間だと思うことがある」と答えた日本の高校生は83.6%。同じ質問に対する同様回答の割合は、米国の高校生が52.8%、中国39.1%、韓国31.9%。やはり、日本の高校生の自己評価の低さ、自信の無さが際立って高い。財団法人「日本青少年研究所」が1980年から毎年実施している日米中韓の高校生の意識調査比較で判明した。積極性や人前で意見を言う、といった項目でも他国との開きは大きい。毎年同じような結果になるが、日本の高校生の自己評価の低さは改善の傾向を示していない。自己肯定感を持つ人が少ない集団に、真のリーダーは出現しにくいだろうと類推される。政治がうまく機能しないのは、ここに原因があるとでも言うような結果だ。20〜30年後の日本は自信のない国なのだろうか。

【5月25日号】 私立大学関係3団体で校正する日本私立大学団体連合会が5月19日、シンポジウム「21世紀社会の持続的発展と次世代の育成を支える私立大学」を都内で開いた。なぜ今か? 4月9日の国家戦略会議で民間議員から大学の統廃合を含む高等教育の抜本改革を提言され、5月末の同会議に今後の方針を報告するよう野田首相が平野文科相に求めた。私立大学の重要性と存在意義をアピールする急きょの企画でもあった。戦後の大学教育は私立で支え、拡大してきたのが事実だ。大学進学率50%を超え、一方で少子化の局面で厳しい経営にさらされる私立大学。その存立基盤が改めて問われているのだが、シンポジウムで明確な主張展開はされたと言えるのか。議論の詳細をお届けする。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【5月22日号】 経済連携協定(EPA)に基づきインドネシア、フィリピンから看護師候補者を受け入れたものの、「言葉の壁」などによる国家試験合格率の低さが問題となっており、厚生労働省が改善策を検討中だ。今年の合格率は、まだ低いとはいえ昨年の4%から11.3%に上昇。この難関を突破したフィリピン人看護師3人が、千葉県の亀田総合病院で働いている。彼女らのインタビューから合格までの道のりをたどり、制度の課題などを探った(特集「EPA外国人看護師 受け入れ病院のサポート必須」)。社会保障と税の一体改革は国会での審議が始まったが、政局が混迷する中で審議が深まる兆しはなく、先行きは不透明だ。解説記事を掲載(「視界開けぬ一体改革審議」)。「インタビュールーム」は、ALS患者が24時間介護を求めた訴訟で、〝満額〟ではないものの「21時間以上の介護」を勝ち取った長岡健太郎弁護士。判決が持つ社会的意義などについて語っている。特集「都道府県・政令都市2012年度厚生・労働・環境関係予算」最終回は浜松市、北九州市。

【5月25日号】 いじめは英語でbullyingと訳されるが、「迫害」「圧迫」という意味を持つこの単語とはニュアンスが異なり、「除外」の意味合いが強いという。巻頭言でNPO子ども相談センター診察医の竹下研三氏が、「除外に耐え、自分を知る勇気をどう育てるのかが、わが国に問われている」と指摘。いじめをなくす、減らすというだけでない新たな視点だ。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」13回目は、公立病院の数の動向や、1病院あたりの患者数、医業収益などにスポットを当てる。病院数・患者数は減少、単価は増加傾向にあり、1病院あたりの収益は増えているが他の開設主体よりは伸びが低いことをデータでひも解いた上で、大阪市や群馬県など具体的な事例を見ていく。全国でも急速な人口減少に見舞われている和歌山県。眠っている女性の力を生かすことで地域を活性化し、人口減に歯止めをかけようという取り組みを、「進言」で県男女共同参画センター所長の上西令子氏が紹介している。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【5月22日号】 「私の苦心」欄は、「『組織』による財源確保」と題し、群馬県沼田市の取り組みを紹介。それによると、景気の影響で課税客体が縮小する中で、少しでも多く税収を確保するためには、徴税吏員が法律に従って職務を適切に遂行することにつきるが、これが簡単なようで簡単ではなく、クレームを付けてくる滞納者も増えてくる。「誰が来ても絶対に逃げない」を常に念頭に置き対応している。市は、副市長を本部長とする特別徴収対策本部会議を設置して、毎年、目標徴収率や5年計画を決めている。2011年度は年間事業計画の中に「捜索の実施」を盛り込み、市の方針として決定することで、実施することができた。最後に、「徴税吏員一人一人は孤独なものだが、組織として対応することで安心して職務を遂行できるようになり、相乗効果も望める。課題も多いが、一歩も止まることのできない税収の確保に向け、力を合わせて常に前向きに取り組みたい」としている。

【5月25日号】 「私の苦心」欄は、山口県宇部県税事務所長が「県税事務所長2年目に当たって」と題して寄稿。それによると、思うことの一つ目は、来所者への接客のスキルアップ。「不愉快な思いをさせないように」から一歩進めて、来所者にプラス評価を頂けるよう、事務所全体として接客のスキルアップに努めていきたい。二点目は、職員の育成、職員力のパワーアップ。多くの職員にとって、宇部県税事務所は長い県庁生活の一つの通過点にすぎない。しっかりと仕事をして経験と実績を積み、また、職員研修を積極的に受講するなど自己研さんに努めてもらいたい。三点目は、チームワークと組織力のパワーアップ。平素からの取り組み、特に職場のコミュニケーションや雰囲気づくりが大切だが、職員一人ひとり、性格や個性は皆違う。「みんなちがって、みんないい」のだが、困難な状況に一丸となって立ち向かっていくことのできるチームワークや組織力をどのように培っていくのか、最も苦心しなければならないところだと思う、としている。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【5月21日号】 「インド、トルコなど6カ国が有望」と題して、少子高齢化が進む日本からの投資先について解説した記事を掲載した。同記事は「日本の少子高齢化は世界でも群を抜いて深刻であり、今後は老年人口が増加するとともに貯蓄率が高い30〜44歳人口の割合が低下することで経常黒字が消滅するリスクがある。対外証券投資という形で海外の高成長を取り込み、国内の人口動態要因に伴うリスクに対処することが一段と必要になってくるだろう。今後の人口動態が有望で、しかも日本の直接投資の出遅れをカバーするために有用な投資対象として、インド、インドネシア、マレーシア、トルコ、南アフリカ、メキシコの6カ国を推奨したい」としている。

【5月24日号】 「政治の矮小化が進行?」と題して、11月の米大統領選挙について分析した記事を掲載した。同記事は「米国の大統領選挙は、共和党の大統領候補がミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事でまとまり、再選を目指す民主党のバラク・オバマ大統領との対決の構図が整った。もっとも、両候補が目指す政策の具体像は必ずしも鮮明ではない。2000年代の米国では『政府』の存在感が格段に高まったが、このまま大統領選挙が互いの批判に終始するようでは、『政治』の矮小化が進みかねない」としている。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは