【5月28日号】 日本の自治体や多くの企業においても、研修は昇格後の階層別研修が主流と言ってよいだろう。しかし、激変の時代においては、幹部育成を念頭において重点的な投資を行うことが極めて重要である。そのため、横並びではなく、幹部を育成するための選抜型の研修を実施するべきである。先進企業を中心に民間では選抜型の次世代リーダー育成研修が盛んになりつつある。ところが自治体では、次世代のリーダーを選抜して育成するための研修というのはあまり聞かない。階層別の研修を全面否定するわけではない。例えば人事評価研修など、評価者という一定の職位に昇格することで必要となるスキルもある。しかし、同期や同職位であれば横並び的に受講する研修のみではなく、将来有望な職員を選抜して重点投資型の研修を受講させることは、自治体にとっても必要な時代である。(月曜連載「激変時代の自治体幹部育成法を探る」より)
【5月31日号】 我が国が大きな時代の転機を迎える中で、未来に対して悲観的な意見も少なくない。私は、この転換点は、この国の人々がより幸福になる、また、楽しく生きる大きなチャンスと考えている。というより、チャンスにしなければならない。お客さまが、仲間が、そしてライバルが世界の70億人に広がっている。国連経済社会局人口部の予測では、世界の人口は増え続け、2050年に93億人になる。時代の転換期を、人々がより幸福になるための転換期にするためには、一人ひとりの人間が持っている個性や能力を、そして、各地域固有の個性を、世界の人々やモノとの出会いの中で磨き、さまざまな付加価値を生み出していくことが必要である。それは、人々が自分らしさを存分に発揮し、生き生きと輝くことでもある。真にゆとりと豊かさを実感できる社会でもあろう。そうした社会にするために、政府と自治体には、国民の、そして、住民の幸福プロデューサーの役割を期待したい。一方、住民はそうした自治体をプロデュースしなければならない。住民は自治体のプロデューサーであり、国民は政府のプロデューサーである。(木曜連載「個性輝く自治を目指して」より)
【5月29日号】 小学校1、2年生の生活科。1990年代前半に創設されたが、社会と理科を廃して設置された経緯から、この両科目の内容を教えるものと解されることもある。が、実は違う。小学校1、2年生の段階では、周囲で起きた現象が自然現象か、社会現象かを識別する能力は低いとされる。各学校の置かれた状況によって、その授業内容は全く異なることになる。このため、教師としての力量が正面から問われることになる。連載「ここが授業のポイント」7回目は、生活科を担当する文科省の教育課程専門官が「イメージ力こそ教師力」と説いている。
【6月1日号】 5月は、全国の小・中・高校の校長先生が集まり、都内でそれぞれの総会を開く教育界の総会シーズンだ。内外教育もそれぞれの総会の模様を順に掲載している。全国高等学校長協会(全高長)の新会長は高校教育の「質の保証」に取り組む意欲を表明した。及川良一都立三田高校長は会長就任のあいさつの中で、高校の質保証について「大学入試の選抜機能の低下によって、高校自身の問題としてスポットライトを浴びている」との認識を示した。北海道大学の研究グループが2010年秋に提案した「高大接続テスト」が、にわかに注目を浴びることになるのだろうか。現行のセンター試験との兼ね合いも問題になるところだ。
【5月29日号】 年々深刻化する児童虐待。早期発見・防止には、学校などと並び医師も大きな役割を果たすとみられる。奈良県が医師を対象に「児童虐待防止ビジュアルガイド」を作成し、研修会を開いた。ガイド作成に携わった専門家らは、積極的に通告するよう呼び掛けている(特集「児童虐待 ためらわずに通告を」)。内閣府の調査で、結婚経験のある女性3人に1人が夫からDV被害を受けたことがあるとの結果が出た。3年前の前回調査から横ばい状態。誰にも相談しなかった人は4割に上り、相談しやすい公的機関などの窓口整備が課題として浮かび上がった(「3人に1人がDV被害」。「進言」では、福島県郡山市の植田公雄保健福祉部長が、地域のさまざまな人たちの地道な支援活動に触れ、災害時に「人が人を救うその力の偉大さ」を感じたと述べている。政治やシステムがどうこうではなく、足もとの大切なことに気付かせてくれる。
【6月1日号】 巻頭言はさわやか福祉財団理事長・堀田力氏の「ソフトのない復興」。津波で流された被災地において、さまざまな事情から生活実感を反映しない町づくりが進んでいることを懸念し、担当者は「高齢者が車なしで日常生活ができる町」「ケアが自宅に届く町」というソフトのイメージを保ってほしいと訴えている。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」14回目は、中長期的な患者数の動向がテーマ。全国的な動向を見た上で、個別の都道府県のケースを紹介する。連載「ワンコイン健診の現場から」3回目は、ゴールデンウイークに行われた中国人観光客向けの健診の状況から、医療観光の新たな試みを探る。
【5月29日号】 「私の苦心」欄は、「目指すは収入未済額の縮減」と題し、愛知県の取り組みを紹介。同県は2011年4月、県内6ブロックから成る地方税滞納整理機構を設立した。県と参加市町村職員が協働して個人住民税をはじめとした市町村税の滞納整理を推進するとともに、参加市町村の税務職員の徴収技術向上を図ることを目的とした任意組織。このうち、県と東三河6市町で組織する「東三河地方税滞納整理機構」は、管理者である東三河県税事務所徴収課長の下、県職員と各市町から派遣された計10人の職員で構成。2011年度は、機構へは移管件数548件、移管滞納額5億3800万円の引き継ぎを受け、2012年2月末での徴収額は目標の3億円を上回る4億5670万円(収入率84.9%)で、当初見込んだ以上の成果を上げた。機構2年目の2012年度はさらにステップアップを図り、職員一丸となり厳正かつ組織的な滞納整理に取り組んでいきたいとしている。
【6月1日号】 「私の苦心」欄は、「徴税吏員に与えられた仕事」と題し、熊本県菊池市の取り組みを紹介。それによると、2009年12月から毎月、月末の5日間に「夜間窓口」を開設し、(1)支払いやすい環境の場にする(2)納税者を追い詰めない(3)納税者と親しくなる──をモットーに、徴税課スタッフ9人が、午後8時まで勤め帰りや仕事で昼間は来庁できない納税者と相談等を行っている。徴税の基本は、「とる」か「押さえる」か「整理する」。ひるまずに粛々と執行していくのが徴税吏員に与えられた仕事だと認識し、スタッフ全員が「滞納は許さない」という思いで「分納者への連絡調整」「財産調査」「滞納処分」に取り組んでいる。今後も、「収納率は、2番目。みんなの日頃の努力の結晶が1番目」であることを基本に、当たり前の仕事(催告状の発送、財産の調査、捜索、差し押さえ等)をやっていきたいとしている。
【5月28日号】 「一時的要因で年率4・1%の高成長」と題して、2012年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報について解説した記事を掲載した。同記事は「内閣府が5月17日に発表した12年1〜3月期のGDP1次速報値によると、物価変動の影響を除いた実質は前期比1.0%増、年率換算では4.1%増だった。「これで景気は回復軌道に乗った」との見方もあるが、うるう年効果に加え、昨年のタイ洪水からの復旧、エコカー補助金、巨額の補正予算などの要因が揃った割には、伸び率には物足りなさが否めない。次の4〜6月期がどの程度の反動減で収まるかが注目されよう。11年度の成長率は結局前年度比マイナス0・0%で、政府の当初見通しを大きく下回った。内外の自然災害に見舞われた上に、海外経済が予想に反して減速局面に入ったことが影響した」としている。
【5月31日号】 「米国のイノベーションに迫る」と題して、同国で進められてきたイノベーションの背景について分析した記事を掲載した。同記事は「米国はイノベーションを重視する国である。スマートフォン(多機能携帯電話)にしても、ソーシャルメディアにしても、ほんの6年前までは実質的に存在していなかったと言える程度のものだったが、今やそれらは多くの雇用を支える『産業』にまで成長している。5月8〜9日、サンフランシスコで『Finovate』(FinanceとInnovateの合成語)という金融イノベーション企業のお披露目会が開かれ、約1200人が参加、63社の『革新的』なアイデアやサービスを体感した。このように、保守的と言われる金融機関ですら、ベンチャー企業等による金融サービスに敏感になっており、『Chief Innovation Officer』(最高イノベーション責任者)という役職を設けたり、『イノベーションラボ』と呼ばれる新しい機器やサービス等の実験室を設置するなど、革新的なサービスや商品の開発に余念がない。米経済は、まだ世界の誰も手をつけていない革新的なビジネスを開拓してこそ、トップの座を維持できるとも言える。米国のイノベーションを支えている要因は幾つかあると思われるが、その中でも同国の国是とも言える『自由主義』の理念や教育制度、競争社会、雇用形態および制度面のサポートが鍵になっていると思われる」としている。