早読み行政誌

公務員人材の流動化とは?(2012年6月11日〜6月15日号)

地方行政

【6月11日号】 人材の流動化は、公務員の場合、特に重要であると考える。主として、以下の二つの理由による。第一に、公務員は市場にさらされていないので、人材流動化という点で外部との競争にさらす必要があると考える。例えば、トヨタ自動車では、仮にトヨタ出身の内部昇格であっても、会社自体は厳しい市場競争にさらされている。そのため、問題がある社員が内部論理だけで昇格することは役所に比べると少なく、そもそも内部論理のみで昇格した場合はすぐに淘汰されるであろう。第二に、役所の政策立案で不可欠な民間的な経営感覚を取り入れるためである。多くの自治体職員は、民間的な経営感覚を取り入れること自体に反対はしないであろう。しかし、この民間的な経営「感覚」は、まさに「感覚」であるが故に、頭で理解しようとしても理解できない面がある。筆者は、自治体職員と民間人との話し合いをファシリテーションするような機会を多く経験している。経営的な感覚が必要なテーマにおいて、自治体職員と民間人で考え方や感じ方が二つに分かれることは、少なくない。(月曜連載「激変時代の自治体幹部育成法を探る」より)

【6月14日号】 今年に入って北海道から鹿児島県まで30カ所以上の地域を訪ねた。多くの所で求められたのは、食をテーマにした地域振興策や6次産業化へのアドバイスである。最近の例では、長野県上田市で、温泉地の若い人たちが、耕作放棄地を使った田植え体験で旅館にお客を呼び込みたいという相談があった。しかし、田植え体験だけならどこでも行っている。そこに体験学習プログラムがあり、宿泊しながら学び、憩い、景観を含めて田舎を満喫することができれば、旅行会社にツアーの企画を提案できる。(中略)また、北海道上士幌町は、国立公園と地域の食、温泉で客を呼びたいとのことだった。すでに、牛やヤギが放牧された牧場に喫茶店を併設した「十勝しんむら牧場」や、団体客向けの旅館を手作業で改装し、地場産の食材で料理を提供している「中村屋」など、観光客誘致に努めているところもある。ここなどは、景観と手づくり、優雅な牧場を組み合わせれば、洒落た体験プログラムができる。そして、そこから発展させれば、金をかけずに今の若い女性にうける旅行プランも生まれる。今回は、現地に行ってアドバイスするときに必ず話していることをまとめて紹介する。(木曜連載「地域力と地域創造」より)

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内外教育

【6月12日号】 文部科学省は2017年度までの6年間に実施する大学の改革策をまとめた「大学の実行プラン」を発表し、大学の教育力向上を後押しする。大学改革については、01年当時、遠山敦子文科相が「遠山プラン」を打ち出した。現況について、文科省幹部は「遠山プランの時と違い待ったナシの状況」と漏らす。高校、大学でのグローバル化対応が減速しているのは間違いない。東大の秋入学提案も利用しながらの高等教育改革は進展を見せるのか。18年には18歳年齢が11年の3分の2まで減る。「大学倒産」まで時間はない。実行プランの背景がよく分かる解説が掲載されている。

【6月15日号】 グローバル化などへの対応として、東大が構想する秋入学。春に高校を卒業し、秋に大学入学する。その半年間をギャップタームとして、海外留学など受験勉強だけでは得られなかったさまざまな体験活動に充てることが予定されている。英国では貴族の子弟が見聞を広げるために世界旅行をしたのを起源として、高校卒業後に1年半程度の猶予期間をとる大学入学者がいる。ギャップイヤーをテーマとした日英シンポが明治大学でこのほど開催され、そのやりとりを紹介している。ギャップイヤーの本家といわれる英国でも実際に活用しているのは、大学入学者全体の7%程度。入学後に取る学生を含めても2割程度。英国は任意、東大方式では結果的に強制になる。大丈夫なのか。少し心配になる。

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厚生福祉

【6月12日号】 特集「新型インフルエンザ」(下)は、厚生労働省新型インフルエンザ対策推進室長の神ノ田昌博氏のインタビュー。新型インフルをめぐる現状のほか、私権制限などに反対論もある特別措置法の意義や必要性について説明している。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」15回目は、診療報酬改定幅の抑制と、公立病院の経営難との関連を検証する。改定幅がマイナスになると経営収入もマイナスになるという一定の関連性は認められるものの、経営難の「主因」ではないとしている。「インタビュールーム」は、24時間電話相談など総合的な子育て支援に取り組む大分県の永松悟福祉保健部長。さまざまな分野の担当者が協力し合って虐待防止に取り組める環境づくりを進めている。

【6月15日号】 特集「赤ちゃんポスト運用5年 『こうのとりのゆりかご』からの警鐘」は、熊本市の慈恵病院に設置されたポスト運用5年間の結果を整理。この間、年1〜2人という当初の想定を大幅に上回る83人が預けられた。当初想定していた特別養子縁組に至ったケースはわずか1割強で、約3割の子は施設で育っているという。熊本市の専門部会が「匿名性」を問題視するのに対し、病院側は匿名であることの重要性を強調。子どもを助ける・守るためには、またその育ちを支えるにはどうすればいいのか。運用5年で見えてきたものは深い問いを投げ掛けている。「地域を支える」は、松山市の摂食障害の女性の自助グループ「リボンの会」(松山市)。親や友達にも話せず苦しんでいる当事者同士だからこそ話せる、分かり合えるというこうした場は貴重だ。県外から訪れる人もいるという。

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税務経理

【6月15日号】 「私の苦心」欄は、「たゆみなき税収確保の歩み」と題し、福岡県の取り組みを紹介。それによると、同県では2005年度に県税事務所を再編し、賦課徴収体制の強化と事務の効率化を図るとともに、徴収対策の強化に力を入れてきた。再編当時、自動車税の収入未済額が個人県民税に次いで多かったことから、県税事務所に現年度自動車税を専任する係を設置し、職員が一丸となって差し押さえを実施してきた。博多県税事務所では2011年度、従来にも増して差し押さえを強化、組織的・計画的に滞納整理に取り組んでいる。課税客体の捕捉など適正課税に努め、課税前通知や説明責任を果たして、納税の促進を図る。滞納になったら早期の接触や文書などの催告を実施し、徹底して財産を調査して差し押さえる。案件によっては、粘り強い納税折衝や捜索・公売などを効果的に実施する。この地道な積み重ねが、公平性の確保と税収確保につながるとしている。

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金融財政ビジネス

【6月11日号】 「日米の景気の勢いは先細り」と題して、6月の景気動向と金融情勢について解説した記事を掲載した。同記事は「2012年1〜3月期の米経済は専ら個人消費、住宅投資という家計部門に支えられ、企業部門の寄与はわずかなものにとどまった。企業業績には陰りが広がっており、それが雇用情勢の弱含みにつながっている。今後、個人消費、設備投資は軟化が見込まれ、米国の成長率はさらに鈍化する可能性がある。一方、1〜3月期の日本経済は個人消費と公的需要に支えられ、同期の国内総生産(GDP)は高い伸び率を達成した。ただし、エコカー補助金の効果が薄れること、海外景気の減速等を背景に輸出の伸びが期待できないこと等から、日本経済の先行きも尻すぼみとなる可能性が高い」としている。

【6月14日号】 「オランド政権誕生で変化は起きるか」と題して今年5月に行われたフランス大統領選後の同国の内政・外交についてまとめた記事を掲載した。同記事は「5月15日にエリゼ宮(仏大統領府)で、新大統領フランソワ・オランド氏への引き継ぎと就任の式典が行われた。ニコラ・サルコジ前大統領夫妻を見送ったオランド大統領は、就任の挨拶で『団結』という言葉を繰り返した。今のところ、オランド大統領は温厚篤実の好イメージを国民に与えている。筆者は1980年代からずっとフランス大統領選挙を現地で取材してきた。フランソワ・ミッテラン大統領の再選、ジャック・シラク大統領の再選、サルコジ大統領の登場、そして今回のオランド新大統領の選出である。この中で、勝利宣言を地元の有権者の前でまず行ったのは、オランド氏が初めてだった。オランド氏はそぼ降る雨の中、市長を務めていた地元コレーズ県の県庁所在地チュール市のカテドラル前広場で、支持者に感謝の気持ちをまず伝えた。その後、パリに戻り、フランス革命の象徴であるバスチーユ広場で行われた勝利集会に同氏が到着した時は深夜となっていた。約7万5000人が埋め尽くした広場で、オランド氏は『私は全ての人の大統領です』と断言、選挙で二分した国論を一つにまとめたいとの意思を表明した」としている。

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