早読み行政誌

「顧客を創る」地域再生  (2012年7月2日〜7月6日号)

地方行政

【7月2日号】 衰退する地方都市の再生をテーマに今回から連載「コミュニティの場として商業施設を再生」を始めます。(中略)地方都市衰退の現象として「大型商業施設の撤退、商店街のシャッター化」にフォーカスします。この背景には「商業施設の供給過剰、物の飽和(物消費の減退)」があり、商業施設は「物を売る機能だけでは存続が困難」な事情があります。要するに、これからの商業施設は「物を売る機能だけでは存続が困難」なわけで、新たな機能を付加する必要に迫られています。その機能として「市民のコミュニティを育む、憩いの場」創りを提案します。「大型商業施設の撤退、商店街のシャッター化」現象に悩む地方都市は非常に多く、ほとんどの都市は今もなお衰退し続けています。(中略)衰退する地方都市再生計画のほとんどは、「衰退した地方都市の表面的な現象」を見て、それを昔の状態に「復活=再生」しようと考えています。すなわち、大型商業施設が相次ぎ撤退したから、別の大型店を誘致しようと考えます。商店街の過半がシャッターを閉じたら、空き店舗を埋めればよいと考えます。いずれの思考も「元の状態に再生」する表面的な着想です。この表面的な思考が、地域再生で結果を出せていないのはご存じの通りです。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」より抜粋)

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内外教育

【7月3日号】 3割以上の大学が、保護者を対象にした説明会や講演会等の就職関係イベントを実施していることが日本生産性本部(松川昌義理事長)の調査で判明した。この調査は大学の就職担当者らを対象にしたもので、東京大学が提唱する秋入学の是非については、就職担当者の5割以上が「どちらとも言えない」と回答している。秋入学が就職活動にどのような影響を及ぼすかの見通しを、就職担当者として持てずに様子見となっているようだ。大学生の就職に「親は関与せず」は古い感覚なのだろうか、と考え込んでしまう調査結果だ。

【7月6日号】 グローバル人材の輩出で教育界、産業界から注目を集める秋田市にある国際教養大学(AIU)。どうしてこんなに関心を集めるのか。その秘密を中嶋嶺雄理事長・学長に詳しく聞いた。「秋入学」は東大の濱田純一総長の提案で話題を呼んでいるが、AIUでは既に導入している。9月入学者の割合は、AIUでもまだ35%。高校と連携しないと全てを秋に移行させるのは難しいだろう、とみている。入学後の英語授業に特色があるが、中嶋氏は日本の英語教育に根本的な間違いがある、と言い切った。

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厚生福祉

【7月3日号】 疲労や睡眠不足が事故につながるということは、何も交通事故に限った話ではない。日本看護協会の小川忍常任理事が巻頭言で「健康と安全を守る」と題し、同協会が作成を進めている「看護師の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」について紹介。夜勤と長時間労働は看護師の離職の主な原因となっており、本人の健康を損なうばかりか医療事故のリスクも高まるとし、健康と安全を守る取り組みの必要性を訴えている。社会保障と税の一体改革関連法案が、衆院を通過。自民、公明とは何とか合意にこぎ着けたものの、民主党内から大量の造反者が出て同党は事実上分裂。社会保障改革は待ったなしだが、政局の不安定さも相まって先行きは予断を許さない。増加が見込まれる認知症の対策として、厚生労働省が来年度、早期対応を強化するためのモデル事業を始める。認知症の早期対応や地域での一体的なケアについては各地で独自の取り組みも始まっているが、今後の社会に必要不可欠であり、要注目だ。連載「ワンコイン健診の現場から」4回目は、ケアプロをこれまで利用した1万8000人余の健康状態についてまとめている。血糖値が異常に高い値を示して即入院となり、病院で「ワンコインさん」の愛称で呼ばれた利用者のケースが印象的だ。

【7月6日号】 今国会での成立が濃厚となった社会保障と税の一体改革関連法案。今後は、生活保護を中心に社会保障の削減圧力が高まりそうだという。経緯を振り返りつつ、今後の課題を探った(「解説・ポスト一体改革の課題」)。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」18回目は、前回に続き個別の自治体の繰入金を見ていく。今回取り上げたのは、埼玉県、広島県、岩手県など。AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚生労働省の有識者会議が報告書をまとめた。しかし、厚生年金基金制度の存廃など重要な制度改革については意見集約を行わず、秋以降に先送り。やはり、ここでも不安定な政局が陰を落としている。6月前期の「社説拝見」は、「大詰めの社会保障制度改革」と題し、一体改革の修正協議のほか、人口減少、大飯原発再稼働などをめぐる各紙の論調を紹介する。

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税務経理

【7月3日号】 私の苦心は、「地道に組織を挙げて」と題して、北海道の取り組みを紹介。岐阜県とほぼ同じ広さを持つ十勝地方全域(19市町村、人口約35万2000人)を管轄する十勝総合振興局は、調定総額の約7割を占める個人道民税と自動車税を徴税対策の重点に置いている。個人道民税の徴収率向上に向けては、「市町村へのサポートをいかに行うかに尽き、押し付け感を与えないよう注意しながら、地域のニーズに合わせて協働という形で行うことを心掛けている」。自動車税については、全国順位で例年40位前後と下位に位置する納期内納税率の向上に腐心しているが、「他県の取り組みなどを参考に地道に取り組んでいくしかない」とし、職員が高齢化していく中で、「与えられた体制で業務を全うすることは当然だが、組織はバランスが必要。後に続くべき世代の職員が少ないことに管理職として危機意識を持ち、人事や徴税吏員の育成などについても取り組んでいかなければならない」と結んでいる。

【7月6日号】 巻頭の「フォーラム」は、財団法人地方自治研究機構会長の石原信雄氏が「日本の将来と国会の役割」と題して寄稿。民主、自民、公明3党の合意が成立し、消費税率引き上げが実現する見通しとなったとした上で、「わが国の財政が文字通り危機的な状態に陥っており、国債や地方債の残高が国内総生産(GDP)の2倍を超える水準に達し、中央政府も地方自治体も毎年度綱渡りのような財政運営を余儀なくされている」と指摘。さらに「もうこれ以上事態を悪化させることは許されない。政権を預かる民主党も、かつて政権を担当していた自民党も、当面の危機を乗り切るため増税法案を成立させてほしい。それが、国会が国民の期待に応える途(みち)である」としている。基礎講座「固定資産税(償却資産)の課税と調査実務」は、本号から償却資産の調査実務を取り上げ、各種実地調査の具体的方法などについて詳説。私の苦心は、「区市町村訪問と仲間づくり」と題して、東京都の取り組みを紹介している。(田中)

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金融財政ビジネス

【7月5日号】 戦後日本の経済政策に関与した当局者を対象に、その生い立ちから活躍していた当時の状況などについて聞く連続インタビュー『私の来た道_政策当局者の証言』。第1弾の緒方四十郎氏(元日銀理事)、第2弾の塩飽二郎氏(元農林水産審議官)に続き、第3弾として元大蔵省(財務省)財務官で現日本格付研究所社長の内海孚氏に登場していただき、話を聞いた。1回目は「禅宗との出会いが人生変える」。

 また、「底堅い国内景気の動き」と題して、身近な社会現象で今後の景気動向を予測した記事を掲載した。同記事は「日本の景気は、内需を中心に緩やかな拡大局面にあるとみられる。しかし、外部環境を見ると、中国経済が足元で減速しており、欧州債務危機などのリスクは一段と高まっている。株式市場などは、こうした外部要因に反応している可能性が大きいと言えそうだ。日経平均株価は最近、米ダウ工業株30種平均や同国の10年債利回り、ユーロ・円相場などと相関している。また、各種経済指標は2008年に起きたリーマン・ショック後の季節調整の癖などで前月比の判断が難しく、うるう年や11年の東日本大震災の反動の影響で、前年同月比のプラスマイナスについても評価しづらい。そこで、景気と関連が深い身近な社会現象を見てみると、日本経済の底堅さを示唆するものが多い」としている。

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