早読み行政誌

天照大神も引きこもり?(2012年7月17日〜7月20日号)

地方行政

【7月19日号】 「地方の時代」の提唱者は、経済学者で神奈川県知事であった故長洲一二氏である。保守合同による、いわゆる55年体制は日本の高度経済成長を後押しすることとなり、我が国は世界に冠たる経済大国となった。一方、高度経済成長の裏では、人口の都市集中、経済至上主義による乱開発や公害・環境問題、そして平和と人権といった問題が惹起されていた。そんな中で昭和38(1963)年の第5回統一地方選挙以降、革新を標榜する首長が続々と誕生。後に「政権交代なき政策転換」といわれるように、政権与党の自治体政策にも大きな影響を及ぼした。もう一つ、自治体政策にさらに大きな影響を及ぼすことになったのが、地方の時代の提唱であった。革新自治体→革新よりも新しい保守→地方の時代→地方分権→地域主権への流れを予見した画期的提唱であったと評価している。地方の時代は、自民党所属の市議会議員だった私にも、新鮮で印象的な言葉として胸を打った。「地方の時代。それを本当のものにするのに政党も何も関係ない。必要なのはFor the peopleの精神だ」。私は自分自身にそのように言い聞かせたものだ。(地域分権制度から考える「国のかたちとコミュ二ティ」)

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内外教育

【7月17日号】 天照大神も引きこもる、だったら引きこもりは悪い事ではないのではないか。そんな講演会を取材したリポートが掲載されている。講演者は臨済宗妙心寺派の僧侶で、引きこもりの生徒が多く在籍する八洲学園大学国際高等学校の岩井貴生校長。天岩戸の前での踊りを「周囲の環境を変えるアプローチ」と位置付ける。岩井校長が強調するポイントはもう一つある。_啄同時(そったくどうじ)。天照大神を引き出す時のタイミングの問題を指摘する。「自発的に出てきた子どもを受け入れる姿勢」を整えておくことを強調した。短いリポートだが、中身は濃い。

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厚生福祉

【7月20日号】 新シリーズ「メディカル・マネジメント最前線」が今号からスタートした。筆者は、先駆的な取り組みで知られる亀田総合病院の経営企画室員、小松俊平氏。現場の実態・実感をふまえつつ、医療経営や地域医療をめぐるさまざまな問題に切り込んでいく。初回は「日本社会の変化と医療・介護」と題し、導入的に日本の状況とこれからどうすべきかを概観した。大阪市の校正印刷会社元従業員の胆管がん問題は、宮城、東京、静岡、石川と全国的な広がりを見せ、第二のアスベスト(石綿)問題とも言える様相を呈して来た。関連記事をまとめた。「インタビュールーム」は、地域医療を支える家庭医の育成や、支援体制の整備に取り組む三重大大学院教授の竹村洋典氏。6月後期の「社説拝見」は、「6歳未満児の臓器提供をめぐって」とし、日本初の幼児の脳死臓器提供や国連持続可能開発会議(リオ+20)、認知症患者のケアなどをめぐる各紙の論調を取り上げた。

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税務経理

【7月20日号】 私の苦心は、「明るく 楽しく 前向きに」と題して、長崎県の取り組みを紹介。それによると、同県では、2009年4月に地方機関の再編成を実施。諫早市にある県央振興局税務部は、諫早市、大村市から成る「県央地域」と、島原市、雲仙市、南島原市から成る「島原半島地域」を管轄し、県面積の22%を占めている。一方、県内全市町と県が連携・協働して市町村税の収入未済額縮減に当たるため、「長崎県地方税回収機構」が設立されており、2012年度からは地方税法第48条の特例徴収を機構のブロックごとに実施し、個人住民税の徴収強化に努めている。同振興局税務部納税課では「職員間で何でも話せる風通しの良さが自慢。ラインの班長が不在のときには隣の班長が指示を出すなど、日頃からスピーディーな滞納整理を心掛けている。市町と県とが『滞納は許さない』という熱い思いを重ね合い、高い理念を持って収入未済額縮減に努力していくことが重要」とし、「明るく(A)、楽しく(T)、前向きに(M)」との姿勢を大切にして、市町と共に「明日も(A)滞納整理に(T)まい進(M)」していくとしている。

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金融財政ビジネス

【7月19日号】 「『ネット法』の制定が必要」と題し、日本最大の法律事務所である西村あさひ法律事務所に所属し、企業の合併・買収(M&A)などを手掛ける岩倉正和弁護士へのインタビュー記事を掲載した。同記事によると、「岩倉弁護士は、日本の著作権法はインターネット時代に対応できる枠組みにはなっていない、と指摘。その上で、米国で既に導入されているフェアユース(公正利用)規定などを著作権法に早急に盛り込むことや、ネットに関連した著作物の取り扱いについて著作権法と完全に切り離すための特別法として『ネット法』を制定することなどが必要だと強く訴え、そうしなければ日本経済の成長や企業のイノベーションは期待できない、と危機感をあらわにした」としている。

 また、「急成長するモバイルペイメント」と題し、米国で広がっているモバイルペイメントの現状とその方向性について考察した記事を掲載した。同記事は「日本では『おサイフケータイ』など携帯電話を利用した決済(モバイルペイメント)が普及しているが、世界的に見てもモバイルペイメントは急激に成長している有望な市場の一つである。米調査会社ガートナーが5月に発表したところによると、世界のモバイルペイメントによる2012年の取引高は1715億ドルと、11年に比べ61.9%も上昇すると予測している。同社はさらに、取引高は16年までに6170億ドルまで成長するとしている。このように、年率40%近くの割合で急成長する市場を目当てに、米国でも金融機関やIT企業などさまざまな企業が既に覇権争いを開始している。また、これは同時に、かつて家庭用ビデオをめぐって起きた『VHS対ベータ』のような規格争いの様相も呈している。日本では、独自のモバイルペイメントの方法が既にある程度普及しており、成熟した感もあるが、日本的な携帯電話(いわゆる『ガラケー』)があっという間に米国式のスマートフォン(多機能携帯電話)に駆逐されてしまったように、日本式のモバイルペイメントについても国際化の波にさらされる可能性がないわけではない」としている。

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