【7月23日号】 子どもが遊べるキッズコーナーや託児室を併設する商業施設が増えています。これは主要な客層が「既婚女性、とりわけ子どものいる既婚女性」を意識した取り組みの一つです。さて、商店(街)は子どものいる既婚女性を意識した取り組みをしているでしょうか? こう私が商店街向けの講演で問い掛けると、すぐさま「キッズコーナーや託児室の併設は効果が高いのはわかるが、設置にはスペースもコストもかかる」という言い訳が返ってきます。私は講演していて、商店街の中高年男性幹部と自治体の中高年男性幹部は「できない言い訳を探す名人」だと痛感します。キッズコーナーや託児室を併設した「成功事例はそのまま模倣してはいけない」と私が言った直後で、その言い訳を即答するのです。私の問い掛けの本質は「子どものいる既婚女性は重要な顧客で、彼女たちが子どもを連れて来られる仕組みを商店(街)に創りましょう」です。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)
【7月26日号】 信用保証制度は、自治体の財務的な支援抜きには運営できない。しかも、損失補償、預託金もしくは利子補給などの支援額は決して半端な水準ではない。しかし、経営が困難な局面を迎えている中小企業を支援することこそ自治体の重要使命として受け止め、また政治的な要請もあって、十分なレビューサイクルを回すことなく、運営されてきた。私は2009年より大阪府特別参与として、また12年からは大阪府市統合本部の特別参与として、それぞれ域内の信用保証制度の運営やあり方に関わる機会を持つことになった。域内の信用保証制度の調査や分析を進めるにつけ、各地で運営されている信用保証制度についても同様の課題が内在するのではないかと思うようになった。また、少なくとも制度の実態を客観的にレビューし、評価する方法においては、大阪で適用したものと同じ方法論を当てはめることができるはずであると確信している。(木曜連載「信用保証制度の点検のすすめ」)
7月24日号 東大大学院でも保護者会。ついにそんな時代になったかと、取材記者を走らせた。夏の暑い土曜日の午後。本郷キャンパスの大学院工学系研究科・工学部では、「ご父母のためのオープンキャンパス」が開かれていた。25人程のグループ単位で研究室を訪問。教授陣から説明を受けた。研究室訪問の後は安田講堂に場所を移し、研究科長・工学部長からの講演を聞いた。「博士課程までいくと就職がないのではないか」という親の懸念を払拭して、内部進学率を高め国際競争にさらされる大学院を強化する狙いが保護者説明会の背景にある。問題は学費を支える親の経済力。高等教育に公的な支援が少な過ぎると言われる日本の課題だ。
【7月27日号】 スマートフォンの使用が急激に拡大しています、と言えば、「何を今さら」かもしれないが。情報セキュリティーメーカーのデジタルアーツの調査によると、2011年11月にスマホを使用する子どもの割合が14.44%だったのが、半年後の12年6月には30.6%と倍増している。「スマホなしでは生活できなくなる」というスマホ中毒現象も女子を中心に出始めている。心配なのは、携帯電話に比べて、フィルタリング機能の普及が低いこと。ネットの闇が子どもたちの手の中に渦巻いている。詳細分析をどうぞお読みください。寒気がします。
【7月24日号】 特集「特定看護師」が今号からスタートした。特定看護師とは、専門の医学的教育を受け、従来医師が担ってきた医行為の一部を実践できる看護師のことで、海外ではナースプラクティショナー(NP、診療看護師)と呼ばれる。政府が「看護師特定能力認証制度」として法制化に向けて動いている。今特集は、国立病院機構と東京医療保健大学によるクリティカル領域の特定看護師養成を中心に、教育内容や現場での活躍の状況を伝えていく。初回は、大分県で国内初のNP養成に乗り出した草間朋子氏による「特定看護師が誕生するまで」。導入的な総論として、なぜこの制度が必要であり、どのような活躍が期待されるのかがよく分かる内容だ。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」20回目は、繰入金の算定方法や課題などにスポットを当てた。
【7月27日号】 巻頭言で、NPO子ども相談センター診察医の竹下研三氏が「大津の悲しみ」と題し、大津市のいじめ自殺問題への思いをつづっている。何度も繰り返される悲劇を断ち切ることはできないのか。むなしい思いを禁じ得ない事件である。特集「特定看護師」2回目は、東京医療保健大学大学院のカリキュラム内容を紹介した。米国の医療保健改革法の違憲訴訟で最終的な司法判断が下され、オバマ政権は薄氷の勝利を収めた。日本が誇る「国民皆保険」に近い制度が米国で初めて導入されることになるが、先行きは予断を許さないようだ。解説記事「『オバマ・ケア』に合憲判断」を掲載。「地域を支える」は、引きこもりの子を持つ親をネットワーク型の活動で支える岐阜県の民間組織「こもれびぎふ」を紹介する。7月前期の「社説拝見」は「企業・公務員年金の在り方を問う」と題し、年金・社会保障制度や男女共同参画などをめぐる各紙の論調を取り上げた。
【7月24日号】 私の苦心は、「機を逸しない滞納処分の着手」と題して、愛知県の取り組みを紹介。それによると、同県名古屋東部県税事務所に設置されている特別滞納整理室は、現在7グループ38人で構成。高額、広域、悪質滞納事案の滞納整理の促進と各県税事務所への支援、指導による徴収職員のレベルアップを目的としている。2003年4月に起きた軽油引取税の高額滞納事案(本税額約7億7000万円)では、2週間ほどの間に35件の差し押さえを迅速に行った成果として、1億4000万円を確保した。同事案を通して「高額滞納案件の滞納処分を行うに当たってはチームワークが非常に重要で、いかに役割分担を徹底し、組織で対応できるか否かによって債権確保の額は大きく左右される。また、徴収職員には知識、経験、行動力が求められるが、それ以上に徴収職員一人ひとりが、直面している事案に対してどこまで真剣になれるか。この気持ちこそが、徴収職員に最も必要とされる」としている。
7月27日号 私の苦心は、「租税教室の充実に向けて」と題して、福岡国税局久留米税務署の取り組みを紹介。3市1町(管内人口40万人)を管轄する同税務署は、小学校に出向いて「租税教室」を実施する回数が福岡国税局で一番多い。2012年度は小学校71校のうち8割以上の61校で租税教室を行う計画だ。教育関係者・国・県・市町の税務関係者が協力して設立した久留米地区租税教育推進協議会が大きな役割を担っているが、年々増加する租税教室の開催に対応するため、署内では若手職員で構成したプロジェクトチームメンバーもスキルアップを目的として、租税教室の講師を担当している。今後は「将来、社会人として活躍する大学生らも対象に租税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解し、社会の構成員として、社会のあり方を主体的に考えていく健全な納税者意識を養っていくことを目的として、税に関する講演などを積極的に開催していきたい」としている。
【7月23日号】 「金正恩体制が名実共にスタート」と題し、最近の北朝鮮情勢について分析した記事を掲載した。同記事によると、「今年4月、金正恩新体制が名実共にスタートした。北京五輪が開催された2008年に金正日総書記の健康悪化説が現実味を帯びるようになり、それから4年で北朝鮮の国内政治は大きく動いた。金正日が金日成主席の後継者として内定してから公にされるまでに6年、金日成死去までにさらに14年、すなわち少なくとも20年の準備期間があったのに対し、金正恩の権力継承作業はわずか4年という短い時間でなされたのである。わが国では『準備期間としてはあまりに短い』という論調が目立ったが、1948年の建国以来、長年にわたって構築されてきた金日成・金正日体制が盤石だったからこそ成し得た力業だ、とも解釈できる」としている。
【7月26日号】 「世界の経常収支不均衡是正を」と題し、経常収支の不均衡に焦点を当てて世界経済の現状と問題点を指摘した記事を載せた。同記事は「現在の世界経済を俯瞰すると、先進諸国は景気低迷を続け、新興・開発途上諸国にも景気減速の兆しが見られる。しかし、新興・開発途上諸国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は概ね良好であり、外的ショックへの耐性も高まっている。従って、先進諸国と新興・開発途上諸国が貯蓄・投資バランスの調整によって『グローバル・リバランス』(世界の経常収支不均衡の是正)を進めれば、世界経済が持続的な成長軌道に復帰することは可能である。もっとも、先進諸国が陥った罠から教訓を得て、過剰な金融化の弊害を踏まえ、グローバルな金融の在り方を再考する必要もある。先進諸国が家計、企業、政府の債務圧縮(デレバレッジ)に伴う需要抑制から景気低迷を長期化させると予想される中、新興・開発途上諸国のダイナミズムを取り込む、内需と外需を区別しないグローバルな経済活動が求められる。グローバル経済の負の連鎖を回避するには、先進諸国がグローバル・リバランスに取り組む新興・開発途上諸国の経済にリンクすることで、それらの国々に世界経済を牽引してもらう『リカップリング』に活路を見いだすべきだと考える」としている。