早読み行政誌

滞納市税回収「無からの挑戦」 (2012年7月30日〜8月3日号)

地方行政

【7月30日号】 就職難やリストラにより「雇用されることは諦めて」起業を志向する者が増えています。また、今の仕事や就職活動を継続しながら、とりあえず「週末だけ(特定曜日だけ)、あるいは1日数時間だけ」起業して様子をみたいというニーズも高い。私は、そういうニーズを以前から肌で感じて、商店街の空き店舗対策に「日替わりで、あるいは時間帯ごとに」出店できる制度を提案し続けています。しかし、自治体の空き店舗対策はいまだに「月決め契約で、毎日出店」を要求し続けています。その結果、空き店舗は埋まらず、商店街と街中はさらに衰退しています。前回(7月23日号)は「賑わう商店街七つの法則」を示し、第6法則「空き店舗は日替わりで1日単位でも貸す」の施策として「日替わり物販ショップ」を紹介しました。今回は、日替わり物販ショップの飲食店版である「日替わりシェフレストラン」を紹介し、その効果と導入留意点を考察します。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)

【8月2日号】 「ワースト2位からの脱却」「財政再建団体への転落回避」「ビルドのためのスクラップ」──などを掲げ、ときには財政非常事態宣言を出しながら進めてきた行財政改革や職員の意識改革についても、市長就任3期目になって何とかその成果が表れてきた。一方、ピーク時で195億円あった市税収入は160億円台へと減少。「さらに一歩進んだ行財政改革を!」と気持ちははやるが、「打つ手は全て打ってきた」中で、次なる決めの一手がそう簡単に見つかるものではない。地方分権改革、近接性の原則、補完性の原理、お任せ民主主義からの脱却、自分たちのまちは自分たちで……そんな言葉が頭の中でぐるぐると回っていた。「迷ったときは原点に戻る」が、私の基本的な考え、スタンスである。平成7年の市長就任時の原点に立ち返ってみた。倉田市政の原点は「CHANGE」であり、「For the people」ではなかったか。「国に何かを求める前にあなたは国のために何ができるかを問いたまえ」米国の第35代大統領、ジョン・F・ケネディの大統領就任演説の中で語られた、あまりにも有名なフレーズである。「倉田市政のCHANGEの最終、究極は『住民の意識改革』にあり」で、まさにケネディの名言に行き着いたのである。(木曜隔週連載「地域分権制度から考える『国のかたちとコミュ二ティ』」)

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内外教育

【7月31日号】 世界各地にあるシュタイナー学校には教科書はない。どういう風に教えるのか。学校外での体験学習を含めた理科の授業の様子が4ページにわたってリポートされている。結論を言おう。教室で豊かに膨らませたイメージを、実際に自分の手と足、頭と目に見えない心を使った体験学習が裏付ける。「大人になってから自分でどう学ぶかだ。必要なら大人になってもう一度学び直せばいい。自己教育できる人になってもらうのが教育の最終目標だ」という。あなたはこのシュタイナー教育の理念に共鳴しますか?

【8月3日号】 大津市の中学生の自殺をめぐって、いじめとの因果関係を大津市教育長は「特定できない」と答え続けた。一つの命が失われた後になっても、この頑なまでの否定を貫くその態度に対し、世間は「無責任」「責任逃れ」と受け止めた。賠償責任を法廷で追及された場合を考えて、子どもっぽい言い逃れをしているのだろうか。そんなことはあるまい。損害賠償を追及されても、裁判所が相当因果関係を認めることはほとんどない。従って、法廷対策のために因果関係を否定することはあまり意味のないことになる。考えたくはないが、緊急時の法的対応方法を「教育法規あらかると」欄が、冷静に説明している。

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厚生福祉

【8月3日号】 特集「特定看護師」3回目は、「修了生受け入れの立場から」。東京医療保健大学大学院の急性期NPコースを終了した20人中13人が国立病院機構で働いており、このうち3人を受け入れた同機構東京医療センターの山西文子副院長に、NPを迎えるにあたっての取り組みや、患者、スタッフらの反応についてまとめてもらった。「インタビュールーム」は、福岡県70歳現役応援センター長の山口美矢氏。高齢者の就職や社会参加を総合的に支援するユニークな施設だ。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」21回目は、費用面、中でも大きなウエートを占める職員給与について点検する。「ワンコイン健診の現場から」Vol.4は、新たな医療ビジネスを始めるにあたり、「ケアプロ」という社名に込めた思いをつづっている。

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税務経理

【8月3日号】 私の苦心は、「無からの挑戦」と題して、静岡県三島市の取り組みを紹介。それによると、三島市の収納率は2007年度当時、静岡県下35市町の中で23位に位置し、収納率はさらに下がることが見込まれたため、2009年度の機構改革で滞納市税回収室を新設したが、課長以下総入れ替えでの、まさに「無からの挑戦」となった。滞納整理業務を抜本的に見直し、攻めの徴収対策の実行(アクション収納)と効率的な滞納整理の実現へと方針を変更。差し押さえ件数は、2008年度の74件に対し、2011年度は2034件と増加している。滞納繰越額・滞納者数は減少傾向にあるものの、「ハードルは常に高く設定し、果敢に挑戦し乗り越えていかなければならないというプレッシャーとの戦いが続く」としている。

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金融財政ビジネス

【7月30日号】 「強い不信感漂う金融市場」と題し、欧州債務危機への当局の対策に対する金融市場の反応についてまとめた記事を掲載した。同記事は、「『リスクオフ』にここ数カ月傾斜している世界の金融市場が最も注視しているテーマは言うまでもなく、欧州の債務危機である。6月17日に行われたギリシャ議会の再選挙では緊縮派が勝利し、市場が恐れていた最悪の事態は避けられた。ところが、市場の反応は極めて冷淡なものだった。また、スペインの金融システム問題ではユーロ圏の財務相が珍しく迅速に動いたが、市場の不安が薄れることはなかった。それはなぜなのか。その理由について考えてみたい」としている。

【8月2日号】 「焦点は金融政策から財政政策へ」と題し、今後のマクロ政策の焦点について解説した記事を載せた。同記事は「景気が後退する際『三つの負のエネルギー』があると言われているが、日本では、こうしたエネルギーは蓄積しておらず、むしろ減少している。ただし、2013年前半には景気減速が視野に入ってくると筆者はみている。日本の金融政策は『実質政策金利>自然利子率』という由々しき不等式の状況に直面しており、単独で力を発揮するのは難しい。今後のマクロ政策の焦点は財政政策に当てられることになろう。今後予想される総選挙後の政権次第では、現代版『日本列島改造論』とも呼べるほどの公共事業の拡大も、今後の日本経済を見通したシナリオから排除できないと思われる」としている。

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