早読み行政誌

ランチ時間をクリエーティブに(2012年8月14日〜8月24日号)

地方行政

【8月20日号】 衰退している地方都市と、活性化している地方都市では、ランチ時間帯に「公務員を含む市民行動、街中賑わい」の差が顕著に表れます。衰退している地方都市では、役所内(オフィス内)の食堂や執務室でランチをとる人が多い。官庁街(オフィス街)のコンビニエンスストアは12時ごろにランチを買い求める人の行列ができます。購入後は、さっさと役所(オフィス)に戻ります。路面電車やバスなど公共交通を使ってランチ時に街中へ来る人も少ない。一方、活性化している地方都市では「ランチ時に友達と外食する姿」が目立ちます。路面電車やバスなど公共交通や自転車を使ってランチ時に街中へ来る人も少なくありません。これが三大都市圏になると、ランチ時間帯の街中はさらに活況を呈します。労働者の多くが「ランチョン・ミーティング(ランチ・ミーティングとも言う)」をビジネスに利用しています。家庭内労働者(主婦)が旧友のOLと街中でランチする「女子会」も盛んです。三大都市圏は人口そのものが多い側面もありますが、少なくともランチ時間帯は時間を自由に使うことができる「クリエーティブな組織、人」が多い背景に注目すべきです。もし、本気で衰退する地域を再生(変革)したいなら、役所や企業を「少なくともランチ時間帯は、時間を自由に使うことができるクリエーティブな風土」に変革しましょう。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)

【8月23日号】 組織の中で仕事をするには、構成員がお互いに理解し合うことが必要である。そのためには、まず相手がどのように感じているのか、また何を考えているのかなどをお互いに知る必要がある。そこで、コミュニケーション力が必要となる。さらに、コミュニケーションによって共有された情報をもとに、お互いが仲間として共感できれば仲間としての絆が深まり、仕事を進める上でも大きな効果が期待できる。コミュニケーションは生身の人間同士のやりとりであるので、同じ言葉と態度であっても、相手によりその受け取り方が変わってくるのは仕方がない。従って、自分の思いや考えを正確に相手方に伝えるのは案外難しく、行き違いや誤解などがよくある。つまり、コミュニケーションをしくじることが多い。このように、正確に伝えることが難しいのは、人間が各人各様に感じ、考えるからである。そもそも、バラエティーに富んでいる人間そのものを好きになれば、コミュニケーションの障害も面白いと感じることができ、苦にならなくなる。(連載「組織の中を生き抜く」)

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内外教育

【8月24日号】 2005年に施行された個人情報保護法。あれから7年が経過した。3・11以降、「絆」が特に強調されるようになる背景には、この法律の副作用があるのではないかとさえ思えてくる。学校で緊急連絡網の保護者名簿をつくるにつくれない状態になった、というのは珍しい話ではない。社会の公共性を分断し、それぞれの家庭の孤立を深める方向に動かしていることは間違いない。その中で、孤立した親がある日、モンスター化して学校に登場する。図式化が過ぎるかもしれないが、この法律がクラス名簿の存在すら危うくしている現実がある。どう対応するのか。連載「モンスターペアレント論を超えて」の中に、答えがある。

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厚生福祉

【8月14日号】 抗がん剤の副作用による脱毛は、女性のがん患者にとって深刻な悩みだ。山形県で7月、こうした悩みに寄り添い女性がん患者を支える「山形県薬剤性脱毛サポート協議会『ヘアサポートナビ』」が発足した。美容関係者と医療関係者、患者が連携した取り組みは全国でも初という(「女性がん患者の悩みサポート」)。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」22回目は、費用面からの分析として給与費の総額や比率を取り上げ、赤字病院の方が給与費比率が高いことなどをさまざまなデータで示している。障害者や高齢者が鉄道、バス、航空機などへの乗車・搭乗を拒否された事例について、国土交通省が調査に乗り出すという。ハード面でのバリアフリー化は進んでいるものの、ソフト面でどのような課題があるのかを把握し、サービス向上につなげたい構えだ(「障害者らの乗車拒否事例を調査」)。

【8月17日号】 今年6月、がん対策推進基本計画の変更案が閣議決定された。がん対策基本法に基づき、基本計画が策定されて5年。この間、わが国のがん対策にはどのような変化があり、どのような課題が残されているのか、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課のがん対策推進官を務めた鷲見学氏に、変更のポイントを含め解説してもらった(「がん対策推進基本計画の変更にあたって」)。「進言」は社会福祉法人シンフォニーの村上和子理事長。公共交通機関のバリアフリー化が進む中で、見落とされがちな知的障害者にとっての交通環境整備の必要性を提言している。「インタビュールーム」は、焼き肉チェーン店の集団食中毒事件で5人の死者を出した腸管出血性大腸菌O157の解明に取り組む富山県衛生研究所長、佐多徹太郎氏。

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税務経理

【8月21日号】 巻頭の「フォーラム」は、一橋大学名誉教授の石弘光氏が「消費税の地方税化を問う」と題して寄稿。「大阪維新の会」などが主張している消費税の地方税化について、現行消費税と、国税として徴収した消費税の一部を譲与している地方消費税の仕組みを紹介しながら、問題提起している。「日本も含めどこの国でも、消費税や付加価値税を国税あるいは連邦税として徴収しているのは、それなりの理由がある。現行の消費型では最終消費者が居住する地域に所属するものでなければならないから、消費税5%のうち1%分を府県別最終消費支出と市町村人口に応じ半分ずつ配分している。こんな面倒な作業をしてまで、付加価値税を『地方税』として無理に位置付けている国は、世界で日本ぐらいなもの」と指摘。その上で、「地方税にするなら、付加価値額と一致する小売売上額を課税ベースにし、米国の州税のように日本でも各府県あるいは各市町村で独自の小売売上税として徴収するべきである。地方分権を叫ぶなら、額に汗して自分たちの税金を徴収する税体系を主張すべきだ」としている。「私の苦心」は「モチベーション向上が収納率向上の鍵に!」と題して、栃木県佐野市の取り組みを紹介。

【8月24日号】 「わたしの苦心」欄は、「市町村税滞納整理機構発足」と題して、青森県の取り組みを紹介。それによると、同県市町村総合事務組合の内局として今年4月に発足した市町村税滞納整理機構は、県から派遣された機構長と9人の滞納整理課職員により、市町村税の滞納額の縮減と徴収率向上に努めている。滞納者との折衝は機構が一元的に行うこととし、滞納案件は原則として差し押さえ処分を前提に移管を受けることにした。組合の条例も整備し、組合が移管を受ける滞納案件の全ての事務は、組合管理者から機構長へ委任され、財産調査や差し押さえなどは機構長名で行っている。これらにより、滞納整理事務のフットワークは軽くなり、さらに滞納者へ与えるインパクトが強くなった。事務量は増加しているが、「ともかくも、県、市町村、機構が連携する徴収の新しいトライアングルは、一歩を踏み出した。今後は移管税額や波及効果額をホームページなどに公表し、さらなる弾みをつけ遅れを取り戻せるよう、果敢に滞納整理を進めたい。機構の滞納整理事務はこれから正念場を迎える」としている。

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