【8月27日号】 人の生活空間(特に子どもの通学路)が、自動車の抜け道と化してしまった地域が全国各地にあります。人の生活空間を我がもの顔で暴走する自動車は、いつも人に危ない思いをさせ、不幸にも死亡事故に至る事件も増えています。最近では、京都府亀岡市で4月23日に起きた凄惨な事件は、まさに「人の生活空間(子どもの通学路)を自動車が暴走」したことで起きています。こういう「車両優先空間と化した人の生活空間(街中)」に、人は危ないから寄りつかなくなります。こうして街中は衰退していきます。同様に、自動車の抜け道と化してしまった「商店街」が全国各地にあります。こういう「車両優先空間と化した商店街」に、人は危ないから寄りつかなくなります。こうして商店街は衰退していきます。街中再生(中心市街地活性化)、商店街再生には「人優先の空間を創る」施策が絶対に必要です。(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)
【8月30日号】 日本語は「高コンテクスト文化」であるといわれている。「ハッキリものを言う」ことに対して、品がない、あつかましい、思いやりがないなどと感じてしまう。このような高コンテクスト文化においては、ことばで表現されていないことでも、周りの状況から情報を読み取った上で、相手が話していることを理解することが求められる。しかし、文学作品とは異なり、自治体が情報を伝える文章においては、「行間を読んでもらう」ことは期待できない。読み手に意図が伝わるかどうかは読み手次第であり、読み手の文化的・社会的・歴史的背景によって判断が異なるような情報の伝え方は適切ではない。誰が読んでも解釈が同じになるような客観的な表現が、読み手の正確な理解を助ける。そのため、「Who」という主語を省略しないだけでなく、「Whom」といった目的語も具体的に書く必要がある。さらに、「高い・安い」「多い・少ない」といった形容詞ではなく、「How much」「How many」と数値で示すことが、正確な理解につながる。また、「Message」が欠けている文章が多いことも問題である。「募集します」「受け付けます」といった「間接的言語行為」では伝わらない恐れがあり、「応募してください」「申し込みをしてください」といった「直接的言語行為」を明示すべきである。(木曜隔週連載「文章表現の適切さが自治体サイトに与える影響」)
【8月28日号】 「理科の勉強は好き」と答える小学校6年生は82%、中学校3年生になると62%に落ちる。「授業の内容がよく分かる」もほぼ同様の減少幅を示し、小6で86%なのに中3になると65%となる。4月に実施された全国学力テストとともに行われた質問紙調査の結果だ。2割幅の減少を理科離れと捉えて、文部科学省は「人的・物的支援を行っていきたい」としている。文系人間からすると、半分以上が「理科が好き、よく分かる」と答えているからいいのでは、と考えてしまう。どう評価するかは、2012年度全国学力テスト結果(下)をお読みください。
【8月31日号】 理不尽な要求を学校に突き付ける保護者の問題を考えてきた連載「モンスターペアレント論を超えて—普通の教師が生きる学校—」は、保護者対応が多様な局面を見せているのではないか、という視点で分析を始めている。今年の夏は、大津市で起きた中学生いじめ自殺事件の学校や教育委員会の無様な対応ぶりが大きな話題となったが、8月8日に金沢簡裁で、いじめられていた女児の親が教室に乱入し、いじめていた男の子を殴り、けがを負わせたとして傷害罪で罰金30万円の略式命令が下された。校内暴力と言えば、生徒が加害者というのが常識だったが、保護者が校内暴力の加害者になった事例である。学校の対応に納得できず、暴力に走った保護者。「教師は理屈、保護者は思い」。そのズレをどう埋めるかだ。
【8月28日号】 社会福祉法人新生会名誉理事長・石原美智子氏の巻頭言「蜂蜜屋のおっちゃん」はちょっと良い話だ。岩手県宮古市の中心地から車で1時間ほどのところにある養蜂場のおじさんは、わざわざ1時間かけて蜂蜜を買いに来た客を叱るような頑固者。そのプロとしてのこだわりに、地元の人たちは敬意を込めておじさんのことを語る。筆者は「このような、小さいけれど本物にこだわってコツコツと質を追求する人々が国造りの根底には必要なのだ」と説いている。政府が、介護職員の知識・技術水準を7段階で認定する段位制度を導入するという。客観的な指標として処遇改善に反映させることなどが目的。うまく機能するのかは未知数だが、人手不足と低処遇が問題となっている介護現場の改善につながってほしいものだ(「段位認定制度を導入」)。「地域を支える」は、医師不足でいったん休止に追い込まれた産科が、住民や行政による地域ぐるみの活動で復活した長野県立須坂病院。特集「好転したのか、公立病院の経営状況」23回目は、医師の給与比率や給与水準などをめぐる現状と課題を、北海道、大阪府、兵庫県の三つの病院を例にとって点検する。
【8月31日号】 今年6月に国内で初めて実施された6歳未満児からの脳死臓器移植では、小児救急医療の外部専門家2人がアドバイザーを務めた。その1人、静岡県立こども病院の植田育也小児集中治療センター長に、当日の状況や、小児救急医療の現状と課題を語ってもらった。重症の小児救急患者は、人も物も充実し、脳死を含む重症患者対応の経験が豊富な施設に集中させるべきだとしている(インタビュー「重症小児救急、集約化を」)。特集「特定看護師」は今回から「活動現場レポート」として、実際に現場に出たクリティカル領域の特定看護師たちの生の声を連載で伝えていく。1回目は国立病院機構九州医療センターの石原夕子さん。8月前期の「社説拝見」は「発達障害者への厳刑判決を考える」と題し、アスペルガー症候群の被告に「社会的受け皿がない」などの理由で求刑を上回る懲役20年を言い渡した大阪地裁判決や、介護保険制度、再生可能エネルギー買い取り制度などをめぐる各紙の論調を紹介する。
【8月28日号】 「私の苦心」欄は「係の壁を乗り越えて」と題して、堺市の取り組みを紹介。同市の2011年度市税決算は、臨海部への企業立地による固定資産税(償却資産)の増収や、製造業を中心とした業績改善による法人市民税の増収などで2年連続の増収となった。収入率は市税全体で95.0%だが、現年課税分は98.5%と21年ぶりに歴代2位の成績を達成。今年度の現年課税分の徴収目標は、歴代1位の収入率を上回る98.6%に設定している。行財政改革による職員削減や団塊世代の大量退職の影響を受けながらも、マンパワーが求められる徴収対策の取り組みは、これまで以上に前例にとらわれない工夫が必要となっている。徴収担当職員だけが徴収を担うのでなく、課税担当も含めた全職員が徴収を意識して日々行動しなければ目標達成はあり得ない、という思いから、税務部の職場には「税務職員が一丸となって 係・業務の壁を越えて業務支援をしましょう!」というスローガン入りのポスターを掲示し、今年度の徴収対策に取り組んでいる。
【8月31日号】 「わたしの苦心」欄は、「負担の公平性の確保のために」と題して、香川県の取り組みを紹介。同県では、個人住民税の滞納防止効果が高い特別徴収制度の運用拡大に市町と連携して取り組むとともに、市町を支援するため、全国で初めて、土木の入札参加資格登録などを受ける際に特別徴収実施の義務付けを行い、小規模事業所への特別徴収の拡大についても市町と一体となって進めている。一方、歳入確保に向けて、税外債権の適正な管理を行うことが、県民負担の公平性を確保するためにも極めて重要な課題となっている。債権所管課の職員に対し、債権管理の基礎知識の習得や強制徴収の実施に関する研修を行うとともに、都道府県で初めてとなる私債権を含んだ「県の債権に係る延滞金の徴収等に関する条例」を制定し、公平性の確保に取り組んでいる。この結果、税外未収金は2011年度決算見込みで7億円余と2008年度決算と比べて約6000万円減少した。「行政は予算や支出行為と比較して債権管理には甘い体質がある。債権も重要な資産であり、公金であり、これを適正に管理することは、県民負担の公平性確保には重要なことであると意識する必要がある」としている。
【8月16・20日合併号】 「円高が再燃、ドルは堅調か」と題し、外国為替市場に関する分析記事を掲載した。同記事は「欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が『(単一通貨)ユーロを守るためなら何でもする』と発言し、ユーロはいったん落ち着きを取り戻したが、それでも円はじり高気味となっている。世界経済の不安を背景に、『日本マネー』がリスクを嫌って、投資した資金を回収していることが円高の大きな要因になっているのだ。それは、かつての円キャリー取引がそのくらい大規模だった、ということでもある。米国は量的緩和の代わりにドル高を利用している面があるが、危機モードを背景に今後世界の金融が萎縮するようになると、円の巻き戻しによる円高と流動性の潤沢なドルとの綱引きになる。米経済が金融規制改革法や『財政の崖』でつまずくと、ドル高が崩れて円の独歩高が再燃する可能性がある」としている。
【8月23・27日合併号】 「規制の強化でバブルの抑制も」と題し、バブルの発生から崩壊までの過程で日米欧の金融機関が果たした役割について解説した記事を載せた。同記事は「過去のバブル発生と崩壊のプロセスを振り返ると、金融機関はそこに大きく関わってきた。金融機関の基本的な役割として期待されるのは金融仲介である。バブルの発生期には資金需要が高まるため、金融機関は積極的に貸出金を増やすことになりやすい。その結果、レバレッジ(てこ)効果を通してバブルの拡大を加速させる傾向がある。一方、バブルが崩壊する過程では、金融機関は不良債権の発生を恐れて貸し出しを消極化させ、それが信用収縮という現象を起こす可能性が高い。そして、バブル崩壊後の経済の低迷を長期化させる。また、バブル崩壊後の不良債権処理によって金融機関自身の経営が悪化することがあり、最悪のケースでは破綻に追い込まれる。このことによる経済活動の低下を防ぐため、国が多額の公的資金を注入し、金融機関を救済せざるを得ない状況になることが多い。当該国の財政がその重みに耐えられないと、ギリシャやアイルランドのように国自身が財政的な破綻を余儀なくされる。ただ、業務の展開の仕方次第では、金融機関自身がバブルの拡大を抑えることもできるはずだ。また、政策当局が金融機関の監督を通じてバブルのプロセスを管理することも可能になると思われる。その一例が、米国の金融規制改革法だろう」としている。
【8月30日号】 「うるう年効果の_落を上回る減速」と題して、内閣府が発表した今年4〜6月期の国内総生産(GDP)に関する分析記事を掲載した。それによると、「物価変動の影響を除いた実質は前期比0・3%増(年率換算1・4%増)で、1〜3月期の前期比1・3%増(年率5・5%増)から大きく低下した。「うるう年効果は単純計算では0・8%程度だが、それが_落する4〜6月期は1%以上低下する例が多い」との過去の経験からすれば、驚くには当たらない。エコカー補助金と東日本大震災からの復興を目的とする公共事業が下支えしているが、こうした政策効果も間もなく消滅する見込みだ。外需に期待したいところだが、『海外経済のさらなる下振れに留意する必要がある』(古川元久経済財政担当相)というのが、現時点での見通しのようだ」としている。