【9月24日号】 「想定外」という言葉が昨年、東日本大震災および原発事故後の「言い訳」に乱用されました。「地震も津波も〝想定外〟の大きさだった」です。「想定外という言い訳」に対し、マスコミでは「今後は厳しいリスク管理が問われる」という受動的表現の甘い論調が主流でした。この教訓(マスコミ論調)から、自治体など行政機関は安全対策以外の分野でも次の傾向を強めています。(1)想定する数値を、かなり大きめに見積もる(2)失敗した時は「想定外」と「言い訳」する 例えば、改正「中心市街地活性化法」は、旧法が何ら成果を上げられなかった反省を踏まえて、自治体は数年後に達成すべき数値目標を掲げることを要求されるようになりました。今年は法改正から6年、多くの自治体が3〜5年前に掲げた数値目標を達成できていません。ここで自治体は数値目標を達成できない理由を「想定外の不況」等と外的要因だけを挙げ、非常に見苦しい「言い訳」をする姿が散見されました。ここで問題提起です。想定項目の追加等を含む「想定外を想定する発想」の強化と、市民行動の「想定外を許容する思考」の柔軟性が、自治体に求められているのではないでしょうか?(月曜連載「施策や施設をつくる前に『顧客を創る』地域再生」)
【9月27日号】 業務をしていると必要になるクレーマー対策を例にとって、危機管理について説明する。クレーマーはどんな業務を行っていても必ず存在するものであり、クレーマー対策における危機としては、次のものが予想される。▽クレーマーが指摘するように、業務そのものが適正に行われていないこと▽クレームをうまく処理できない結果、業務の信用が失墜すること(会社の信用が失墜すること)▽クレーム対応に多くの時間や金を費やしてしまい、日常業務ができなくなるなどの悪影響がでること。クレームそのものをなくすことはできないが、放置しておくとさまざまな被害が生じる可能性があるので、クレームにはきっちりと対応しなければならない。クレーマー対策は重要な業務である。その際、具体的にどのような被害がどの程度の確率で起こり、その影響はどの程度あるのかなどについて、業務の種類やクレームの具体的な内容などを吟味して、個々に評価していかなければならない。また、良いクレーム(業務改善につながるもの)と悪いクレーム(単なる言いがかり的なもの)があるが、クレームの外見だけでは簡単には評価できないので、その評価に当たっては細心の注意を払う必要がある。(連載「組織の中を生き抜く」)
【9月25日号】 学校教育における「言語活動」とは、科目で言うと「国語」に限られなくなっている。コミュニケーション能力というキーワードが据えられ、国語に限らず算数・数学、社会、理科もその視野に入れられている。文部科学省の教育課程調査官を執筆者とする連載「ここが授業のポイント」21回は、中学・数学での分かりやすい教え方を詳述する。題して「実感を伴う理解、数学科の特質を踏まえた言語活動」。言語活動と数学教育というのは、実は距離が非常に近い。近いどころか、言語活動と表裏一体を成していると言えるのだ。今回の連載は、そんな見方を実感させてくれる。
【9月28日号】 震災によってもたらされた子どもの心の傷は、時間とともにどのような変化をしているのか。文部科学省は今年5月、東日本大震災の被災地を対象にしたアンケート「非常災害時の子どもの心のケアに関する調査」を実施した。その詳細が掲載されているので、お読み頂きたいが、問題はこの調査を継続することだ。子どもの心の傷は直後には現れなくとも、数年を経過した後に出てくることが多い、というのが通説という。ピークは2、3年後とされる。これは阪神大震災の時にも同様の調査で判明している。心の変化に時間をかけてつき合う—。震災後の心のケアは、これからが本番だ。
【9月28日号】 新特集「多様化する保育所と経営」がスタートした。少子化対策の柱として注目されている保育所について、最近の政策の動向も含め、営利法人やNPOなどの参入状況、今後の課題などを検証する。第1回「認可保育所と認可外保育施設はどう違うのか」は、少子化の現状や保育施設の種類など、全体像を概観した。9月前期の「社説拝見」は「出生前の妊婦血液診断をどうみるか」と題し、簡便に高精度で胎児の異常を調べられる新たな出生前診断法をめぐる倫理問題をはじめ、認知症患者の増加、胃ろう問題、原発ゼロ政策、自然エネルギーなどに関する各紙の論調を取り上げた。
【9月28日号】 「私の苦心」欄は「事務を変えるタイミング」と題して、埼玉県幸手市の取り組みを紹介。同市では、県平均以下の収納率を上げ、収入未済額を圧縮するため、2010年度に(1)差し押さえ件数を増やす(2)処分停止要領を改正する(3)事務決裁規則を見直し、部長や課長の専決分野を広げるーことなどに取り組んだ。2011年度には、滞納管理システムが新しくなって納付誓約、財産照会、差し押さえ関係の書類などが簡単に発行できるようになり、またコンビニ収納も実施される中で、事務のやり方を変更。税の収納は、会計課で受領する体制に切り替えた。納税相談の現場では、(1)少額分納は断る(2)延滞金を完全に徴収するため延滞金だけになっても差し押さえをする(3)滞納税は一括で納付するよう相手を説得する(4)やむを得ず分納になる場合は完納までの計画を立てる(5)計画ができたら必ず納付誓約書を受理し、分納管理をするーといった対応に変えた。収納率の良い自治体の事例、県や協議会の研修で学んだことをとにかく取り入れた。窓口では「今までと言うことが違う」などといった苦情が多くなり、集団で抗議に来るケースもあった。しかし、「一つ一つの事案を解決しながら、整理が付いてくると収納率が良くなり、それにつれ、職員の意欲も上がってきた。結果として、昨年度の滞納繰り越しの収納率は、その前年の数字の倍になり、収入未済額が減少できた」としている。
【9月24日】 「キャピタルゲインで稼ぐ米国」と題して、日米の対外投資ポジションについて比較・分析した記事を掲載した。同記事は「2010年末から11年末にかけての内外の株式相場の動向を見ると、非対称な変化(米国の株高、他の先進諸国の株安)を主因に、米国の純対外負債(対外資産と負債の差額)が急拡大した。しかし、長期的な趨勢では、米国は、株式と直接投資に傾斜した対外投資ポジションから莫大なキャピタルゲイン(有価証券評価益)を得ている。一方、日本の対外資産は債券投資への偏りが目立ち、キャピタルゲインの発生余地が少ないため、円高による為替損失を埋め合わせることができていない。日本においては、対外資産に占める株式や直接投資の比率を上げることで国富の増進に寄与する余地が大きいと言える」としている。
【9月27日号】 「税制改革が大きな論点に」と題して、大統領選後の米国の税制について解説した記事を載せた。同記事は「米国では、年末に迫った『ブッシュ減税』の失効や財政再建の必要性など、税制改革のきっかけとなる要件が揃ってきている。終盤に入った大統領選挙運動での論戦を見る限り、税制の簡素化など、党派を超えて方向性が一致する部分がある一方、目指す税収の水準や所得再配分機能の在り方など、意見の分かれる部分も少なくない。選挙後の米国では、税制改革が大きな論点になりそうだ」としている。