早読み行政誌

教える神さま(2012年10月30日〜11月2日号)

地方行政

【10月29日号】 指定都市市長会、中核市市長会、全国特例市市長会は19日、東京都中央区の時事通信ホールで、地域主権の確立に向け都市間連携の在り方を検討するシンポジウムを開催した。北川正恭早稲田大大学院教授が、地域主権に求められる都市の在り方をテーマに講演。続いて鈴木康友浜松市長が、同市が取り組む都市間連携について報告し、政令市の権限を強化する「特別自治市制度」の必要性を強調した。その後のパネルディスカッションでは、「今後は広域自治体と基礎自治体の役割分担が必要となる」「中核市と特例市の連携が重要」などの意見が出された。シンポには、政令市、中核市、特例市をはじめ地方自治体の関係者ら約270人が集まった。冒頭、中核市市長会の大橋建一会長があいさつし、「基礎自治体の代表として、地域主権の実現に向け、都市制度、広域自治体の見直しなどを積極的に主張していかなければならないと考えている」と強調。その上で、「政令市、中核市、特例市が全国の自治体の先導役となって、国からの大幅な権限と財源の移譲による真に充実した地方自治の確立を目指し、その実現に向け連携して取り組んでいかなければならない。その連携を強化するとともに、地域主権を考える契機となるようにしたい」と述べ、今回のシンポ開催の狙いを紹介した。(特集「指定都市・中核・特例3市長会がシンポ(上)」)

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内外教育

【10月30日号】 文部科学省の教育課程調査官は、教育現場から「教える神さま」との称号も得ている。その神々が執筆する連載「ここが授業のポイント 視学官・教育課程調査官の講義ノート」。今回は中学校理科。中学理科の調査官が教え方をみっちり講義している。新しい学習指導要領で小・中学校の理科の授業時間数は増加した。観察や実験などを通して、科学的な思考力などの理科の能力を育てるための時間数の増加という。その時間数の増加を現場の教師がうまく生かせるのかどうか。冒頭で「生徒に問題を見いださせるために『比較』を意識した導入を行う」と強調している。秘技はその後、続々紹介されている。

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厚生福祉

【10月30日号】 国立がん研究センターの研究班が、全国のがん専門病院の診断5年後の生存率などのデータを公表。前回の発表より9施設多い28施設が病院名を明らかにした。5年生存率は治療成績の指標だが、進行がん患者を多く診る病院ほど低くなるなど、単純に数字だけで優劣は付けられない。そうした注意点を示した上で、できる限り情報を公開しようという試みで、各病院のデータと併せ掲載した(「診断5年後のがん生存率公表」)。「地域を支える」は、長崎市の障害者就労支援センター「アビリティ」。障害者の経済的自立を支えるため、一般の市場で通用する製品づくりを目指している。企業との連携ではボランティアにとどまらず利益の追求を図っている。てんかんなど運転に支障のある疾患を持つドライバーへの対応策を、警察庁の有識者会議がまとめた。クレーン車のドライバーがてんかん発作を起こし小学生6人を死亡させた事故を受けて設置された会議で、持病を申告せず運転免許を取得・更新した人に罰則を科すべきだとする内容。むしろ病状隠しにつながるのではとの懸念の声もあり、正直に申告して免許を失う人への支援強化が必須だ。特集「多様化する保育所と経営」5回目は、東京都、横浜市、宇都宮市など個別の自治体の保育事情や取り組みを取り上げた。

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税務経理

【10月30日号】 「わたしの苦心」欄は、「徴収職員の基本的な心構え」と題して、愛媛県の取り組みを紹介。松山市を含む3市3町を管轄区域とする中予地方局は、県税収入の約6割を所管し、同県の徴収率の全国順位を上げるためにも、自動車税や不動産取得税の徴収率向上が課題となっている。同局税務管理課では、新任徴収職員の研修時など機会があるごとに基本的な心構えを話している。心構えの第一は「滞納者の立場に立つのか、納期内納付者の立場に立つのか」。職員全員が同じ立場に立っていれば、滞納者に対する対応も大きな差は生まれないし、良い意味での仲間意識も強くなる。第二は、「接遇」。第三は、事故の防止(「失敗を隠す」から「失敗を積極的に明らかにする」)。納税者の公平性を確保するためには、滞納者に対しても「県税の逃げ得は絶対に許さない」という厳正な姿勢で対処する必要がある。同県は今年度から、これまで地方局・支局がそれぞれ担当していた滞納案件のうち、容易に財産を発見できない徴収困難案件と、煩雑な事務を伴う公売案件を、中予地方局に設置した「愛媛県特別滞納整理班」に集約し、効果的かつ効率的に滞納整理に取り組んでいる。

【11月2日号】 「わたしの苦心」欄は、「共に考え、共に汗をかくこと」と題して、岐阜県の取り組みを紹介。それによると、同県では2005年11月から、県独自の個人住民税対策(地方税法第48条による個人県民税の直接徴収)をスタートさせた。市町から滞納案件を引き継ぐだけでなく、その市町の徴税職員も派遣職員として併せて受け入れ、自分の市町引き受け案件に対して徹底した滞納処分(差し押さえ、捜索、公売)で臨むもので、派遣市町にとって(1)滞納額の圧縮(2)徴収技術の向上(3)県と市町、市町間の連携強化—などのメリットがある。現在は、差し押さえに日々赴く職員のモチベーションをいかにして高く、長く保つようにするかが環境づくりの課題。そのためには、県職員としてではなく、市町職員と同じ目線に立って共に考え、共に汗をかくようにすること、常に組織での対応を意識することなどを念頭に置き、実践する必要がある。派遣職員には、即効性・換価性の高い財産を繰り返し差し押さえることで市町に戻ってからその手法が自然と使え、徴収部門における中心的リーダーとしての役割を果たしてもらうように導き、県職員には、市町の他の滞納税目も視野に入れながら、徴収方法の検討を行うなど市町徴税職員の立場で物事を考えてもらうようにしている。

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金融財政ビジネス

【11月1日号】 「身近な出来事への置き換えがポイント」と題して、金融に関する講演の手法などを紹介した記事を掲載した。同記事は「筆者は、国際政治・金融動向や資産運用戦略を投資家やヘッジファンドなどにアドバイスする会社(キャノンバリーグループ、本社ロンドン)に関わっているが、ファイナンシャルプランナー(FP)でもあり、金融資産の運用について人前で話す機会が多い。二十数年にわたり取引先や個人投資家、富裕層、FPらを対象にさまざまな場面で講演をしているが、そうした人たちにとって分かりやすい説明ができるよう、日々挑戦している。その具体的な講演の進め方を、最新のセミナーを例に紹介したい。最近よく使っているのは、金融の事象を身の回りの出来事に置き換えて説明する手法である。また、目の前にいる聴衆に『何か役に立つ話をする人だ』と最初に思わせるための『つかみ』を取り入れている。ところで、金融に関する直近の話題としては、国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会が48年ぶりに東京で開かれたことが挙げられる。国際金融問題の解決に向けては依然として課題が山積しているが、同総会で関係者が一堂に会したことで、特に欧州債務危機の解決策に向けた協議では多少なりとも成果があったように思える」としている。

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