早読み行政誌

交流人口と観光振興(2012年11月19日〜11月22日号)

地方行政

【11月19日号】 金融の世界で金利には二つの意味が込められている。一つは、お金を貸している期間は、貸した人はそのお金を自由に使えない。だから、その不便の対価として金利を取ることが正当化される。もう一つは、信用コストである。信用コストというのは、貸したお金が返ってこないときのコストである。この二つが統合されて金利という、お金を貸すときの対価が決まる。地方債の場合も、額面100円をいくらで買うか、その価格をベースに応募者利回りと呼ばれる金利をはじき出すことができる。応募者利回りなる金利にも、金利であるが故に、期間についての対価と自治体の信用コストが反映されていることになる。自治体は基本的には破綻しない。破綻のような状態に陥ったとしても「暗黙の政府保証」が実際にはあって、返済が滞ることはない。となれば、地方債には信用コストが発生しないものとみなしてもよさそうである。個々の自治体の実際の信用力の差が、地方債の応募者利回りに反映されなくてもよいように思える。暗黙の政府保証の下では、どの自治体も同じ信用コストだとみなすのが理にかなっているように思える。しかしながら、よく見ていくと応募者利回りの差は少なからず存在している。(月曜連載「自治体の財務マネジメント戦略」)

【11月22日号】 少子高齢時代を迎えて家族形態が多様化している中で、全国的に地域コミュニティの希薄化が進行している。池田市とて例外ではない。自治会そのものが組織されていない地域もあれば、自治会は組織されているものの、加入率が50%に達していないところも多く存在している。かくして、池田市において自治会(町内会)に加入している世帯は全体のわずかに40%弱という状態である。ある自治会での話。「自治会に入るメリットは?」と未加入者に尋ねられ、「メリットがなかったら入会しないんですか?」と切り返したという。が、未加入者の答えは「イエス」。つまり、「メリットがなかったら入らない」のである。そんな住民が増えている。また、ある自治会長は「万が一の災害が発生したら自治会員を優先的に救出する。それがメリットといえばメリットだ」と答えた。やっぱり何か、どこかおかしい。「税金を払っている人を優先的に救出する」。もしも市役所がそんなことを言ったら、大変なことになる。(木曜隔週連載「地域分権制度から考える『国のかたちとコミュニティ』」)

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内外教育

【11月20日号】 東京都品川区の中学1年の男子生徒が自宅マンションで自殺した。9月26日夕刻だった。翌27日に品川区教育委員会は調査委員会を設置。それから1カ月という異例のスピードで報告書がまとまった。時事通信社が情報公開条例を使って入手した調査書の内容を紹介している。報告書は「いじめが自殺の誘因になった」と認めている。しかし、教師らは典型的という意味で、「教科書的いじめ」を認知できなかった。なぜか?報告書はそこにも踏み込んでいる。時間をかければ事実関係が分かるというものではない、ということを品川区教委の調査は証明している。

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厚生福祉

【11月20日号】 年金改革は、持続可能な社会保障制度の構築に欠かせない課題である。シリーズ「重要労働関係法の改正とそのポイント」最終回は、「社会保障と税の一体改革における年金改革」と題し、被用者年金一元化と厚生年金加入拡大を取り上げた。最近、目覚ましい進化を見せているロボット技術。厚生労働省と経済産業省は、介護ロボットの実用化に向けて、重点的に支援する5分野を絞り込んだ。新産業の創出とともに、介護労働者の負担軽減を図るのが目的で、歩行支援や認知症高齢者の見守りなどを想定している(「認知症対応など5分野に重点」)。「インタビュールーム」は、熊本県障がい者支援課長の西岡由典氏。都道府県で4番目となる障害者の権利擁護のための条例制定について、その内容や目的などを伝える。

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税務経理

【11月20日号】 「わたしの苦心」欄は、「1円でも多くの税収確保に向けて」と題して、千葉県の取り組みを紹介。県内14県税事務所(自動車税事務所を含む)のうち、市川市、船橋市、浦安市の3市(人口約120万人)を所管区域としている船橋県税事務所では、2012年度から班制を課制に再編し、63人体制で賦課徴収に当たっている。徴収面では、個人県民税を除く各税目の現年分と繰り越し分について、それぞれ収入歩合の目標を設定。特に滞納処分と換価の促進に当たっては、それぞれ目標件数を設定し、自動車税を除く30万円未満の少額、30万円以上の高額、そして自動車税と分けて、それぞれに応じた滞納整理を行っている。滞納額の8割を占める個人県民税については、税源移譲のあった2007年度に任意の組織で「千葉県滞納整理推進機構」を設置。さらに、2010年度から各県税事務所ごとに機構の各支部を設置し、特に高額事案の情報交換や徴収事務の研修等各種事業計画を展開し、滞納額の縮減に努めている。同事務所では「これという特効薬がない中で適正な課税、そして、取るか押さえるか落とすかを徹底し、1円でも多くの徴収に向け、職員全員が情報を共有し一丸となって取り組んでいる」としている。

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金融財政ビジネス

【11月19日号】 「交流人口統計の活用で観光振興を」と題して、交流人口統計の活用方法について解説した記事を掲載した。同記事は「わが国では、人口減少時代になって人口の動きがこれまで以上に注目されるようになった。『人口こそが国あるいは地域経済の活力を決める最も基本的な指標である』という認識が急速に広まっているからである。これまで国勢調査および住民基本台帳に基づく人口動態調査で把握されてきた人口は、基本的にその地域に住む人々の数(定住人口)である。しかし地域の活力は、その地域の定住人口だけで決まるわけではなく、その地域を訪れる人々の数(交流人口)にも大きな影響を受けている。本稿では、東日本大震災後の交流人口の動きを検証することによって、地域の観光振興を考えるヒントを提示してみよう」としている。

【11月22日号】 「輸出急減で大幅なマイナス」と題して、内閣府が発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)1次速報値に関する解説記事を載せた。同記事は「7〜9月期のGDP1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質が前期比0・9%減、年率換算では3・5%減となった。2012年度の政府経済見通し(1月24日閣議決定)では12年度の実質成長率は2・2%程度とされ、内閣府の年央試算(8月17日発表)でもこの数字が据え置かれたが、実現のためには、残りの10〜12月期、1〜3月期共に前期比1・9%の高成長が必要である。エコノミストの多くは、10〜12月期以降再びプラス成長に戻り、年度を通じて1%台前半の成長は可能とみているが、景気に敏感な製造業は補助金政策による需要の先食いに伴う反動と輸出減速の影響で厳しい状況にある。そうした視点から、今回の速報を読んでみたい」としている。

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