【1月21日号】 昨年12月26日、第2次安倍内閣が発足した。政権与党に返り咲いた自民党は、南海トラフ巨大地震や首都直下地震に対する事前防災と減災のため、避難施設の整備や老朽化したインフラ更新を目的とした「国土強靭化」を主要政策の一つに掲げている。野党時代に国土強靭化基本法案を提出した際に、今後10年間で総額200兆円を投資するとの規模感を示しており、民主党時代に半減した公共投資は大幅な増加が見込まれている。東日本大震災や、中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故で想起される老朽インフラ問題から、インフラ投資の必要性は多くの国民が感じているところだ。一方で、日本の債務残高はGDP対比で214%に達し、先進国で最悪の水準にある。必要な投資であっても、効率化によりコストを低減するとともに、できるだけ国債に頼らずに実施することが求められ、民間資金を投入するPFI/PPPの活用は不可欠である。本連載では3回にわたり、官民連携のスキームで世界をリードしてきた英国の最新動向を紹介しながら、財政再建とインフラ投資を両立しなければならない日本が学ぶべき点を明らかにする。(月曜連載「英国の官民連携の最新動向と日本が学ぶべきこと」)
【1月24日号】 「味覚の講座」を受けにフランスに出掛けた。同国では毎年10月に「味覚の一週間」というイベントが開催され、全国の小学校で味覚を学ぶ授業が行われている。筆者も、国内の幾つかの小学校で、コメや塩を使って味や香りの違いを表現する授業などを何度か試みたことがある。そうすると、コメひとつとっても香りや味わいの表現の仕方が、いろいろあることが分かる。例えば、秋の香りがするとか、稲穂の香りが漂うとか、優しく包み込むような温かさを感じるとか。特に、子どもたちは感性が豊かで、さまざまな表現をする。こうした味覚の表現が感性を広げ、豊かさを育むことに結び付く。一方、各地で農産物を売り出したいとの相談を受けるが、どんな味かを尋ねると「うまいんです」とか「糖度が高いんです」とか、ありきたりの表現しか返ってこないケースが多い。これでは、食のブランドを掲げても相手に商品の特性を伝えられないだろう。では、食の持ち味をどう表現するのかとなると、なかなかうまく言い表せないというもどかしさが付きまとう。講師の側が、さまざまな経験と言葉の引き出しを持っていなければ、子どもたちにきちんと食の文化を伝えていくことはできないだろう。そんなこともあって、フランスではどんな授業が行われているのか、実際に経験してみたいと思ったのである。(木曜連載「続・地域力と地域創造」)
【1月22日号】 好評連載「ここが授業のポイント」は文部科学省の視学官、教科調査官が執筆陣。世の中で「先生の先生」とも呼ばれ、「教える神様」とさえ評されている。その神々の中で、今回は生徒指導。教科という枠組みではないが、学校にとって、どう生徒指導をするかは、学習指導と並ぶ大きな課題だ。生徒指導の三好仁司視学官は「生徒指導は自ら正しく判断して行動する力の育成である」と説き始める。「自己指導能力を育てる」ことを強調する。体罰が今、クローズアップされているが、生徒指導の原点はそれぞれの「自己」が出発点である。「自己」を否定する、体罰という暴力が、出発点にあってはならないことは明らかである。
【1月25日号】 内外教育金曜日号に連載している「普通の教師が生きる学校 モンスターペアレント論を超えて」は2010年7月に始まり、4年目を迎えた長期連載になった。「好評を得ている」事実の裏にある、深刻な実態に思いを致す時、複雑な気持ちになるのが編集者心理だ。筆者の大阪大学大学院の小野田正利教授がこのイチャモン研究を世に問うたのは10年前。今回はその10年前からを振り返って、現状を改めて展望する。10年前の懸念が今に当てはまる重苦しい現実が、襲いかかってきた。それが「今」なのである。
【1月22日号】 全国で公立病院の経営改革が進んでいる。独立行政法人化はその手法の一つだが、このほど、独法化した公立病院の協議会が発足した。会長を務める中島豊爾・岡山県精神科医療センター理事長に、設立の意図や公立病院を取りまく状況、あるべき姿などについて尋ねたインタビュー記事を掲載。「ワンコイン健診」のケアプロが、訪問看護事業にも乗り出した。きっかけとなった東日本大震災での支援活動や、参考となるオランダの事例などを踏まえ、「看取り難民」を救おうという取り組みを紹介する(「ケアプロ、訪問看護にも挑戦」)。「インタビュールーム」は、病院や障害者入所施設の敷地内にグループホームやケアホームの建設を可能にする条例を制定した岐阜県の土井充行障害福祉課長。障害者自立支援法で「地域社会での生活」がうたわれるものの、介護する家族の高齢化などで地域での生活が困難な障害者も多く、そうした人たちに安心できる住まいを提供するなどの狙いがある。一つの方策として参考になろう。
【1月25日号】 福井県は今年度、介護と医療を一体的に受けられる在宅ケアのモデル事業を始めた。介護保険の窓口である地域包括支援センターで医療機関紹介を含むワンストップの対応が受けられるようにし、関係者が一堂に会する多職種連携カンファレンスで交流を図る。医療と介護の連携、一体的なケアの提供はどの自治体にとっても重要な課題であり、注目される取り組みだ。(「包括的な在宅ケアのモデル事業を開始」)。年間の自殺者が昨年、15年ぶりに3万人を下回った。官民挙げての防止の取り組みがようやく成果を挙げ始めたといえよう。一方、うつ病で自殺する人の多くは飲酒にも問題を抱えているとの調査結果も出ており、対策が急がれる(「昨年の自殺者2万2766人」)。特集「多様化する保育所と経営」14回目は、認可外保育施設に関する児童福祉法上の規定や指導監督の指針を取り上げた。
【1月22日号】 「私の苦心」欄は、「勝山市における徴収対策について」と題し、日本屈指の恐竜化石産出地域である福井県勝山市の取り組みを紹介。同市は2010年度から福井県内の自治体が相互に職員を派遣し滞納整理に当たる福井県地方税滞納整理機構に参加。着実に滞納整理の効果を上げている。その取り組みは、滞納整理機構の滞納処理方針を参考に、(1)徹底した財産調査(2)差し押さえを前提とした最終催告(3)納税誓約時における給料等の差し押さえ承諾を含む担保提供(4)市役所内他課との連携(5)差し押さえを含む積極的な滞納整理(6)原則として1年以内で延滞金を含めて完納(7)現年課税分は期限内に納付(8)徴収することができないと判断された滞納市税の速やかな執行停止・欠損の実施—などで、同市税務課では「職員が自主的に考え、過去のしがらみにとらわれることなく、日々業務に取り組むことが、自治体ができる最大の徴収対策である」としている。
【1月25日号】 「私の苦心」欄は、「新米税務課長煩悶中」と題し、石川県内11番目の市として、2011年に単独市制を施行した野々市市の取り組みを紹介。同市の税収は2011年度決算で69億円余、固定資産税、市民税で市税収入の大半を占めている。滞納整理に王道はなく、直近の事例では、滞納者との接触の過程で消費者金融に対する過払い金返還請求権の存在が判明し、その請求権を差し押さえた。その後、消費者金融会社の異議申し立てを受けて弁護士を立てずに差押債権取立訴訟を争うことになり、今後の公判において成果を上げるため過払い金返還関連の判例等の学習を行っている。同市税務課では、訴訟の結果はともかく、初めてこのような滞納処分事案を手掛けることができたのは、2012年4月からスタートした石川県央地区地方税滞納整理機構に参加したことの一つの成果の表れとし、同時期に着任した税務課長は「納税者との粘り強い接触により滞納理由を掌握し、時には厳しい態度で臨み、最大限の成果が上がるよう多様な手段を駆使しつつ地道に努力しなければならない」としている。
【1月21日号】 「株価は上昇、債券価格は下落」と題して、経済がデフレからマイルドなインフレに転換した場合の株価などへの影響について分析した記事を載せた。同記事は「安倍政権の下でデフレ基調からマイルドインフレ(消費者物価指数〈CPI〉で前年比1〜2%上昇)に転換できた場合、株価の上昇と債券価格の下落が生じる。株価の回復による評価益が債券価格の下落による評価損を上回るためには、目先の景気刺激策を実施しつつ、長期的な財政再建への期待をつなぎ留める政策的な配慮が欠かせない。マイルドインフレに転換した場合、長期国債の利回りの上昇(価格の下落)は不可避だが、それは経済にとっても投資家にとっても悪いことではない。ポートフォリオの比率を債券から株式や不動産にシフトさせた投資家にとっては、投資リターンの向上が期待できるからだ。逆に、2012年までに株式から国債にシフトしてしまった投資家や、もともと国債に傾斜し過ぎている機関投資家にとっては、マイルドインフレへの転換は災いとなる」としている。
【1月24日号】 「東アジア情勢にどう取り組むか」と題する連載記事「地殻変動する世界」を掲載した。同記事は「安倍晋三首相率いる自公連立政権が本格始動した2013年。アジア太平洋地域では、指導者が入れ替わったり、政権の陣容が一新されたりする国が相次ぐ。中国では、習近平共産党総書記が3月に国家主席に昇格し、韓国では朴槿恵氏が2月に大統領に就任する。米国ではオバマ大統領が2期目に入り、クリントン国務長官の後任にはジョン・ケリー上院外交委員長が起用されるなど、政権の顔触れが変わる。ロシアのプーチン大統領は再登板してまだ1年に満たず、北朝鮮の金正恩第1書記は最高指導者に昇格して1年が過ぎたばかりだ。各国で新体制が発足する中、日本を取り巻く東アジア情勢は安定するどころか、相変わらず不穏な空気が漂っている。13年の東アジア情勢は、今後の世界の動向をも左右し得る重要性をはらんでいる」としている。