【1月28日号】 関西の人口急増10都市について、高齢化を点数化するとともに、自立度を表す市民所得、生活保護率の二つの指標と、財政健全度を表す経常収支比率、実質公債費比率、人件費比率、老人福祉費比率の四つの指標を点数化・序列化することによって、各市の問題点を探っていきたい。まず、開発時期が1990年代に集中した和泉、川西、生駒、草津、三田の5市と高齢化率との関係を見てみよう。2010年の10市の高齢化率をみると、三田市、草津市、和泉市の順に低い。生駒市は5市の中では4位となり、川西市が最も高齢化が進んでいる。90年代に人口増加が集中し、人口の伸び率も大きかった三田市、草津市、和泉市では、20年近く経過した現在でも、高齢化は顕在化していない。そこで、高齢化率が一番低い三田市の15・6%を100点、最も高齢化が進んでいる川西市の24・8%を0点とし、その間にある8都市の高齢化率のデータ値を比例配分して各都市を点数化した。すると、草津市80点、和泉市74点、泉大津市59点、四条畷市53点、生駒市49点、交野市43点、泉佐野市42点、宝塚市34点となった。(月曜連載「人口急増都市と高齢化リスク」)
【1月31日号】 地方分権改革は、我が国の主要な政策課題の一つです。特に平成5年の衆参両院における「地方分権の推進に関する決議」以来、この約20年の間、さまざまな地方分権改革の取り組みがなされてきました。その中でも、国の地方自治体に対する「義務付け・枠付けの見直し」は、各内閣で具体的な取り組みが続いている共通課題と言えます。この見直しのうち「条例制定権の拡大」は、今年度まさに、自治体における取り組みが花を開きつつあります。地方分権改革の成果が住民に身近な行政サービスにおいて、目に見えて分かる段階にきています。ただ、残念ながら、まだこの取り組みが広く知られているとは言えず、自治体職員、議会関係者においてさえ、必ずしも共通理解になっているとは思えないのが現状です。長年の全国の首長の提案・要望の結果、法令が規定する分野においても、ようやく条例で独自性を発揮できる機会を得たものであり、ぜひ多くの自治体関係者に知っていただきたい政策です。本稿では、義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大について、取り組みの経緯、考え方、各地で成立した条例の具体的な事例の紹介やその意義など、数回にわたって概観を試みます。(木曜連載「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」)
【1月29日号】 1年間にわたる連載でお届けしている「ルポ シュタイナー学校の1年」は終盤にさしかかっている。取り上げた横浜シュタイナー学園には校長はいない。学園を訪ねると、保護者が日常的に忙しく立ち働く姿を必ず目にするという。保護者らは学園を運営するNPO法人の会員でもある。学校のガバナンスはどうなっているのか。保護者が担う教育自治をリポートした。
【2月1日号】 無理が通れば道理が引っ込む—。大阪市立桜宮高校で起きた体罰・自殺事件は橋下徹大阪市長によって収拾が図られたのだろうか。金曜日の連載「モンスターペアレント論を超えて」の筆者小野田正利大阪大学大学院教授が、橋下手法を論破している。入試の中止に対する、生徒らのわだかまりは大きい。そして腰砕けの教育委員会。教委を応援したくても、結局は権力者へおもねるばかりであれば、政治との適切な関係性はあり得ないではないか。教育の政治的中立性というお題目がますます空しくなる。「生徒置き去り、政治ショー」という物悲しい結末だが、「無理という力で道理がなぎ倒される」大きな傷跡だけが残された。
【1月29日号】 山梨県の市川三郷町立病院と社会保険鰍沢病院(富士川町)が経営統合で合意した。民間の峡南病院(同)と合わせ、2町3病院で機能分担し、「地域完結型医療」の提供を目指す。町立病院と社保病院の対等な経営統合というまれな例でもあり、病院経営再建・地域医療再建のモデルケースとなれるか、注目される(「町立、社会保険病院が経営統合」)。民間団体が、卵子がない女性にボランティアから提供された卵子をあっせんする事業を始めると発表。卵子提供に関しては明確なルールがなく、生まれた子の「出自を知る権利」などをめぐり倫理的な問題も指摘されている。生殖補助医療の法制化に向けた厚生労働省の動きが頓挫する中で、民間が先んじて動くことになった形だ(「卵子提供ボランティア募集へ」)。「インタビュールーム」は、えひめ結婚支援センター事務局長の岩丸裕建氏。少子化対策の一環として県が設置した組織で、「婚活」支援の内容を紹介する。
【2月1日号】 巻頭言は三輪宏子氏による「有益な遠回り」。高度成長時代のように「交渉相手より優位に立つこと」によってビジネスを進めるのではなく、取引先や連携先企業の条件を良くすることで最終的に自らにプロフィットをもたらすということに気付いた経営者が、若い世代の中に現れてきたという。特に、被災地においてそうした経営者が見られることを、復興の兆しととらえている。疲弊し切った日本社会に力を与える話だ。国内唯一の診療船「済生丸」の新船4世号が建設される。2013年3月に起工し、14年1月就航予定。経営状況は厳しいものの、最新鋭の医療機器を積み、3世号に替わって引き続き瀬戸内海の離島住民の健康を支える(「診療船『済生丸4世号』、2014年就航へ」)。特集「多様化する保育所と経営」15回目は、認可外保育施設の運営に問題があった場合の改善勧告や施設閉鎖命令について、指導監督の指針や基準を取り上げる。
【1月29日号】 「私の苦心」欄は、「滞納整理は意識次第」と題し、2012年4月から政令指定都市の仲間入りをした熊本市の取り組みを紹介。同市の2011年度市税収納率は92%を切り、指定都市の中で最下位。ここからの脱出が至上命令となっている。このため、「現年度からの繰越額と滞納繰越収納額の収支均衡」を目標に掲げ、(1)現年度収納率の向上による翌年度繰越額の抑制(2)滞納繰り越し分の収納額確保—に努めている。その取り組みを進める上で、「税負担の公平性確保のために確実な滞納整理を行う」という職員意識を高めるため、「応えるべきは納期内納税者の負託」「早期差押は滞納者のため」「客観的資料による納税力判断」を方針に掲げ、また、市税の収納率が高い他都市に職員を派遣し、具体的な取り組みや姿勢について学んでいる。2013年度には、個人住民税の特別徴収義務がある事業所全ての納税義務者指定が県下全市町村で完全実施となるなど滞納整理の環境が変化するが、「わかりやすい達成目標の設定」と「ぶれない業務対応方針」に基づき、「滞納整理に当たる職員一人ひとりが共通意識を持ち、創意工夫をしながら滞納整理に取り組むことによって、収納額確保と収納率向上を実現していきたい」としている。
【2月1日号】 市町村財政を支える固定資産税をテーマにした基礎講座「事例演習方式でわかりやすい非木造家屋の評価実務」がスタート。家屋評価(特に非木造家屋の評価)は、「難しい」「分からない」といったイメージが根強くあり、昨今、課税誤りの問題がマスコミにも取り上げられ、「地域間での評価の不均衡」「不透明な課税標準の算定プロセス」などの指摘がなされ、納税者に理解しにくいものとなっている。本稿は家屋評価を体系的に理解することはもちろん、説明責任を果たし、プロとして仕事ができるよう、実務担当者一人一人が固定資産評価基準の内容、実務上不可欠な各部分別の理解および建築設備の補正方法について手計算でできるよう事例演習を交えながら進める。「私の苦心」欄は、「明るく風通しのよい職場作りと若手職員の育成」と題し、下関税務署長が寄稿。
【1月28日号】 「経済強国目指す姿勢が鮮明に」と題して、北朝鮮で報じられた金正恩第1書記の「新年の辞」に関する解説した記事を載せた。同記事は「2013年元日の朝、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の朝鮮中央テレビは金正恩第1書記による『新年の辞』を報じた。1994年に金日成主席が死去した後の金正日政権下では、それに代わり主要3紙による『新年共同社説』が発表されてきたため、19年ぶりの『新年の辞』となった。肉声がほとんど伝えられてこなかった金総書記とは異なり、正恩氏は12年4月に朝鮮労働党第1書記、国防委員会第1委員長に就任して以来、同年末までに5回の演説を行ったことが公表されているため、北朝鮮研究者の間では今年は『新年の辞』に回帰するのではないかとみられていた」としている。
【1月31日号】 「今年の景気は上向きか」と題して今年の世界経済と市場の動向について分析した記事を掲載した。同記事は「海外経済が好転するとともに、安倍新内閣の政策運営への期待感が円安・株高の進行につながる中、『2013年は明るい年になるのではないか』という雰囲気が広がりつつある。『リスクオフ』の流れには昨年ついに歯止めがかかり、今年はリスクテークを積極化させようとする向きも市場では出てきている。その一方、財政の拡張や無理な金融緩和が将来もたらし得る悪影響への目配りも欠かせない。本稿では、景気と市場の今年の流れについて展望する」としている。