【3月7日号】 政府の主要な政策課題の中でも、地方分権は十分とは言えないまでも、常に何らかの取り組みが行われ、一定の進展が図られている分野です。また、平成の大合併を経て、市町村の中でも体力や意識に違いが見られます。そうしたこともあってか、最近は地方分権の内容や方向性について、全ての地方自治体が共通して一律に望むものばかりではなくなってきているように思います。従って、今後の地方分権議論の中では、団体や地域ごとの特性に応じた何らかのカスタマイズということも、俎上に上る可能性はあります。ただ、これは手法によっては、かなり大きな判断を要することになるかもしれません。いずれにしても、義務付け・枠付けの見直しの中でも条例制定権の拡大は、住民生活に密着したさまざまな行政サービスの改善に目に見える形で結び付くものです。国と地方の単なる権限争いと誤解されることさえある地方分権議論おいて、特に分かりやすく画期的なものと思われます。地方分権改革の中でも、骨格を変える改革手法とは異なり、この取り組みは誠に地道ではありますが、実は全国津々浦々まで波及効果が期待できる影響の大きいものであり、こうした地方分権改革が今後も進展することを期待しています。(木曜連載「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」)
【3月5日号】 学校は無法地帯なのか。大津市の中学校で起きたいじめ自殺事件を見ていると、そんな思いがよぎる時がある。追いつめられて、命まで見失わせてしまういじめとは、一体、何なのだろうか。日本スクール・コンプライアンス学会の今年のテーマは「いじめ問題とスクール・コンプライアンス」。パネリストの法律関係者は教育委員会や学校が内部だけで解決しようとしすぎると批判し、外部機関や弁護士などに責任の「積極的転嫁」を行うように求めた。
【3月8日号】 教師が保護者を訴えた「前代未聞の訴訟」の判決が2月28日、さいたま地裁熊谷支部で言い渡された。保護者とのトラブルに日々悩まされている教育関係者の大きな関心を集めた判決の内容を「イチャモン研究」の第一人者、小野田正利大阪大大学院教授が連載「モンスター・ペアレント論を超えて」で読み解いている。判決は「児童の親からの苦情によって不眠症になった」と慰謝料を求めた女性教師の全面敗訴となったが、小野田教授は「棄却。でも(女性教師の)心情は分かるよ」と裁判官の気持ちを推し量る。2年前の提訴時から、訴訟の行方を追ってきた同教授の解説をぜひお読みいただきたい。
【3月5日号】 大規模災害時に外からの物的・人的支援をスムーズに受けられるかどうかは、被災者を救出・支援する上で重要なポイントとなる。物資の調達・運搬の手順や災害派遣医療チーム(DMAT)の対応など、災害時の「受援計画」を定めているのは22府県で、24都県が検討中という。震災を契機に、大規模災害への備えが進んでいることがうかがえる(「特集 東日本大震災 22府県が『受援計画』策定」)。特集「都道府県・政令都市 2013年度厚生・労働・環境関係予算」1回目は、福島県、さいたま市、千葉県。連載「ワンコイン健診の現場から」では、日印社会企業家交流事業でインドを訪問した川添氏が、同国のヘルスケア事情やワンコイン健診展開の可能性について、3回に渡りレポートする。「インタビュールーム」は、長野県健康福祉部長の真鍋馨氏。折しも同県が男女とも平均寿命日本一となったとの発表があったばかりで、さらに「世界一の健康長寿県」を目指す施策を紹介する。
【3月8日号】 心筋梗塞や脳梗塞へと進展し死亡原因ともなる生活習慣病には、明確な「原因」がない。あるのはさまざまな「危険因子」である。それらの影響を軽減し、老化の進行を遅らせる「健康長寿食」とは、特別な食品のことではなく、誰でもできる日常の食事の改善であると、日本栄養士会名誉会長の中村丁次氏が巻頭言で説いている。特集「都道府県・政令都市 2013年度厚生・労働・環境関係予算」2回目は、仙台市、川崎市、和歌山県。「地域を支える」は、臓器提供者(ドナー)家族の相談支援体制を構築したいばらき腎バンクを紹介する。臓器移植法改正で提供件数が増える一方、より重い判断を迫られる家族の精神的ケアが課題となっている。茨城県内での臓器提供が少ないため、まだ支援実績はないが、全国に先駆けた重要な取り組みだ。特集「多様化する保育所と経営」19回目は、引き続き認可外保育施設における乳幼児の死亡事故がテーマ。「裁判所が県の責任を認定した理由と訴訟リスク」と題し、香川県の認可外保育施設での死亡事故で高松高裁が県の責任をどう認定したか、詳しく見ていく。また、認可保育所での事故をめぐる訴訟や判決にもスポットを当てる。
【3月5日号】 「私の苦心」欄は、「税務職員として必要なこと」と題し、相模原市の取り組みを紹介。同市税務部では、全庁的な調整が必要な事案への対応をはじめ、課税や納税における課題に対応するため、年間目標の一つとして「前例踏襲型思考から脱却し、根拠法令に基づいた適正な事務処理を徹底する」ことを掲げる。まちづくりや福祉などの事業を行うためには、庁内における徹底した検討が当たり前で、税務事務であっても例外ではないという発想だ。そして、大きな課題として取り組んでいるのが、税務職員の人材育成。ベテランの税務職員が次々に退職していく中、優れた税務職員を育てていかなければ、税財源の確保など到底できることではないというわけだ。同市では、全庁的に増大する収入未済額の縮減が急務。そこで、債権回収対策の実効計画を策定して、市税以外の諸収入金を含めて全庁的に収納体制の強化を図る組織を税務部に設置することにした。さらに、これまでは二つの市税事務所に配置していた資産税部門を本庁の資産税課に集約する。本庁の組織で行っていたさまざまな手続きを見直し、納税者の目線で、市税事務所でできることは市税事務所でやっていくよう取り組んでいく。同部では「今後もさまざまなサービスの取り組みを行うことが、納税者のサービス向上に資するとともに、税収の確保につながる」としている。
【3月8日号】 「私の苦心」欄は、「復興の歩みとともに」と題し、福島県の県都福島市と商都郡山市の中間に位置する二本松市の取り組みを紹介。東日本大震災から丸2年。震災当時、通常でも税務課の繁忙期だったが、震度6弱というかつて経験したことのない激震を記録した直後でもあり、課内は被災者への市税などの減免対応や地震被害認定のための調査でフル回転の状況で、新規採用職員もいや応なしに即戦力を求められる過酷な状況だった。納税者の不安といら立ちは固定資産税に寄せられ、「土地も建物も放射能で汚染されているのに誰がこの評価額で買うというのか」など、目に見えない原子力被害にどのような評価替えで対応すべきか頭の痛い問題だった。復興対策など一段と厳しい財政運営を強いられている一方、生産年齢人口の転出により、人口は減少傾向にあり、いかに行政の効率化を図っていくかも問われている。そうした中で、「課税客体の把握と公平な課税の推進」を目標に据えて、税務課は「これからの市役所での働きがそのまま復興の歩みに反映するものと信じ、限られた職員数の中で、より信頼される行政を目指して、より分かりやすい説明や接遇の向上に取り組まなければならない」としている。