【5月20日号】 「(耐震)診断をしただけで耐震改修をしなければ、大地震が来た時には意味がありません。診断費用、設計費用も全くの無駄になります。例えば虫歯が痛くなったとき、歯医者さんに行ったら、診断と初期治療をセットで行います。診断だけであれば、歯の痛みはとれず患者さんに怒られてしまいます。私は、マンションの耐震診断をする場合には、例えば柱補強など比較的簡便な補強をセットで行い、倒壊や大破を防ぐことが最も重要だと考えます。これにより、マンション内の人命を守り、倒壊による道路閉塞(へいそく)を防ぐことができます。だからこそ、公的助成をする意義があるのです」(地域防災最前線(11)「マンション防災と生活継続(1)」)
【5月23日号】 「超長期シミュレーションのもたらす重要なメッセージは、『無い袖は振れないのならどうするべきか』ということである。税制を変えない限り人口の減少によって税収が減少していくことや、国からの支援がこれ以上あまり期待できないことを前提にしたとき、何を取って何を捨てるべきか、それを考える、ということである。(中略)右肩上がりの状況にあるのであれば、積み上げ方式の予算プロセスであっても一向に構わなかった。既存事業の事業費を維持しながら、新しい事業の事業費も税収の増加や国からの支援で賄うことができた。しかし、そうした経済環境ではなくなることは誰の目からも明らかだ。でも、そう言い出せないから、多くの自治体で長期予算のシミュレーションはしても、いまだに右肩上がりの前提を使い続けている」(人口減少社会の自治体経営(4)「現実的な可能性をうかがう」)
【5月21日号】 「学校と塾は協同できる面があると思う」と考える公立中学校の校長が50.2%に上ることが、国立教育政策研究所が行った2012年の調査で分かった。18年前の調査に比べ、20ポイント以上の上昇。一部自治体で補習授業に塾講師を活用したり、教員研修に予備校講師が招かれたりしている実態が、意識の変化を後押ししたようだ。ただし、塾などをフォーマルなものとして容認する考えは微減。公教育の一端を担う存在として認める雰囲気はまだまだないようで、この辺りの落差が面白い。
【5月24日号】 全日本中学校長会の「調査研究報告書」を紹介するシリーズも、今号で4回目。防災教育に関する調査を紹介しているが、目を引くのが東日本大震災で被災した宮城など3県と、それ以外の都道府県の学校の意識の差。例えば、大震災後の防災教育で力を入れたものとして、被災3県の6割以上が「危険予測回避能力の育成」を挙げているのに対して、他の都道府県では約4割にすぎない。両者の意識の違いは、今後の防災教育を考えていく上で、大きな参考となりそうだ。
【5月21日号】 巻頭言は、デイサービス所長の増田未知子氏による「認知症の薬の効き目」。薬の利き方は人によって異なり、状態が良くなることも悪くなることもある。ケア現場の視点から、きめ細かな状態の変化に気付き、医療側にフィードバックすることの大切さを訴えている。特集「多様化する保育所と経営」26回目は、「社会福祉法人の財務諸表の目的と骨組み」がテーマ。認可保育所の運営を主に担う社会福祉法人は、財務諸表の開示が一定程度義務付けられているが、さらに経営の透明性を高めることが検討されている。財務諸表の具体的な内容や、作成がなぜ必要か、どういう意味を持つのかなどを概観する。米オレゴン健康科学大などの研究チームが、ヒトのクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製することに成功した。韓国ソウル大チームが2004年に発表し、その後、虚偽と判明した画期的な研究だ。その意義や課題を解説する(「ヒトクローンでES細胞」)。特集「都道府県・政令都市 2013年度厚生・労働・環境関係予算」19回目は、神奈川県、広島市、宮崎県。
【5月24日号】 医療保健制度に基づく訪問診療は距離が16キロまでに制限されており、難病患者の診療のため遠方に出向いても医療行為ができないのだそうだ。人数が少ないがゆえに光が当てられにくい難病患者の在宅療養を支えるには、行政の柔軟な対応が必要なのではないか。巻頭言でNPO子ども相談センター診察医の竹下研三氏が問題提起している。4月から、ホームヘルパーの研修制度が変わった。介護職の入り口から専門職である介護福祉士までの道筋(キャリアパス)を明確にするもので、介護人材の量的確保と質的向上を図る意図がある。厚生労働省老健局振興課の鈴木貴士氏に、その内容や狙いなどについて解説してもらった(シリーズ「解説・制度改正 ホームヘルパー研修の見直し」)。「インタビュールーム」は、長崎市市民局福祉部理事の吉峯悦子氏。5人が死亡したグループホーム火災を機に新設された職で、建築指導課、消防局、福祉総務課と担当が分かれている縦割りを廃し、福祉施設の安全確保を図るという。特集「都道府県・政令都市 2013年度厚生・労働・環境関係予算」20回目は、長野県、京都府、熊本市。
【5月21日号】 「私の苦心」欄は、佐賀県武雄市税務課の取り組みを紹介。市ホームページを全国初めてフェイスブック化したり、市立図書館の運営を民間委託したりするなど斬新なアイデアマン市長で注目される市だ。でも、新規滞納者を増やさない努力や、国税職員OBを指導員に迎えることでスキルアップを図る姿などを知ると、徴税業務で物を言うのは、やはり地道な活動しかないと分かる。気になったのは、「固定資産の評価はあまりにも複雑すぎて納税者への説明にも苦慮している」という下り。本誌連載中の「非木造家屋の評価実務」からも、気の遠くなるような積算作業をすることが分かるが、課税される側は税額を通知されてもピンと来ない。「分かりやすい評価基準にして納得して税金を納めてもらう方策が待たれます」とのコメントには同調したい。連載特集の自治体2013年度税収見通しは宮崎県、横浜市を掲載した。
【5月24日号】 巻頭言の「フォーラム」では、500年の歴史がある会計方式の見直しを進めている国際会計基準審議会(IASB)の動向を分析している。それによると、株価や企業価値に注目し、所有主(株主)の立場で会計を行う米英的な資本主説ではなく、例えばトヨタのような大企業の収益には、従業員やディーラー、下請け企業などが一時的に留保できる金額が含まれるとするエンティティー説に方針転換しようとしており、それはドイツや日本型の経営と親和性があるという。日本では、グローバル化の流れの中で国際会計基準(IFRS)も英米式の時価会計になるらしいといった観測が流れているが、IASB幹部が昨年来日して「でっち上げはやめてくれ」と語ったという話は、大変興味深い。「私の苦心」欄は、テレビでもしばしば取り上げられる東京都八王子市を紹介。催告ハガキへのちょっとした工夫で、滞納者からの反応が倍増した実績などを披露する一方、「テレビの影響力は非常に大きく、放送後は督促状が届いただけで即日納付する人も増え、これまで反応のなかった滞納者が窓口に来て一括納付することも多々あります」と鼻高々。市側からテレビ取材をお願いしたことは一度もないそうだが、うらやましいと思う自治体は多いはずだ。連載特集の自治体2013年度税収見通しは浜松市、北九州市を掲載。
【5月20日号】 「『期待』に働き掛ける手段に」と題して、日銀が4月下旬に発表した展望リポートについて解説した記事を載せた。同記事は「日銀が4月26日に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)は、2年程度での『物価安定の目標』2%実現という黒田東彦総裁の『公約』がそのまま達成されることを前提として、いわば『逆引き』的にシナリオライティングを行った内容になっており、民間の予想からは、景気・物価共に強気の方向で大幅に乖離(かいり)している。『期待』への働き掛けを重視する日銀新体制の下で、展望リポートはその性格を大きく変えた感が強い」としている。
【5月23日号】 「世界経済の問題点は5つ」と題して、世界経済の現状と見通しについて分析した記事を掲載した。同記事は「筆者は当面の世界経済の諸問題が次の5点に整理できると考えている。(1)米経済は本当に復活するか(2)中国は国内総生産(GDP)の規模で米国を抜くことができるか(3)ユーロ圏は崩壊してしまうのか(4)日本のデフレは果たして終息するのか(5)量的金融緩和策は日本経済にインフレを引き起こすことにならないか─である。本稿では、これらの問題一つひとつについて、現状などを説明するとともに、将来の見通しについても詳しく触れることとする」としている。