【5月27日号】 「新潟市は広い。その上、市内にJR以外の鉄道がない。そのためマイカー利用が多く、路線バスの利用は盛んだとはいえない。しかし今後は、高齢化で、車の運転ができない人が増える。おのずと路線バスの依存度は上がるはずだ。しかし、今のところは新潟市民のバス離れが著しい。研究所では、これは都市の持続可能性にも関わる大問題と考え、2008年度からなぜ市民は路線バスに乗らないのかを、調べてきた。するとマイカーの利便性という理由だけではなく、市内の路線バスをほぼ独占するバスサービスの評価が低いことが大きな要因と分かった」(SNS時代の行革手法(1)「インターネットで公共サービスを改善する〜新潟市・路線バス事例から」)
【5月30日号】 「人口減少によって、歳入と歳出のバランスが崩れ、事業を絞り込まなければならない状況が近いうち訪れるはずである。その過程で、自治体間の役割分担を行い、必要によっては団体の統合や再編を検討していくことも必要ではないだろうか。財務的に困窮したとき、組織として立て直しを図らなければならないとき、民間会社であればどうするか。ある事業がその企業の本業ではないのであれば、どんなに収益が上がっていても売却することがある。(中略)その方が組織としての役割が先鋭化されて、改革が進みやすくなる。日本の自治体が行っている事業の中には、利用者から料金を取り提供しているサービスが多々ある。その中の幾つかは、必ずしも自治体が行う必要がないものである。確かに莫大(ばくだい)な初期投資が掛かるような事業は、事業の初期段階において公営の方が適していたかもしれない。しかし、地域が成長、成熟していく過程では、減価償却が進み、民間の間尺でも採算がとれるようになってくる」(人口減少社会の自治体経営(5)「パラダイムが変わるなら、枠組みも変える」)
【5月28日号】 うつ病など精神疾患で教壇に立てなくなる教員が増え、学校現場では大きな問題となっている。今号から始まる新連載「先生の心のカルテから」では、「日本一教員の来院者が多い」といわれる東京都教職員互助会三楽病院の真金薫子精神神経科部長を筆者に起用。実際の症例を基に、教員の心の変調は何が原因で起こるのか、また、学校現場では何に気を付ければいいのかを探っていく。
【5月31日号】 5月は、小・中・高校長による各全国組織の総会シーズン。本誌では、それぞれの総会の模様を順に紹介しており、そのトップバッターは、全日本中学校長会(全日中)の総会。新会長に就任した、細谷美明東京都港区立御成門中学校長はあいさつで、「われわれ校長は危機意識を持ちながら学校経営に当たってきたが、昨年、いじめや体罰など学校関係者の取り組むべき課題が山積していることを思い知らされた」と述べた上で、「校長同士が情報を交換し、皆で予防策を講じる、強い組織の存在が求められる」と会員にも奮起を求めた。進行中の教育改革についての文部科学省幹部の興味深い講演内容も含め、詳細をお届けする。
【5月28日号】 65歳以上の人口が50%を超える自治体は「限界自治体」と呼ばれる。2000年に1カ所だけだった限界自治体は、平成の大合併で小さな自治体が減ったにもかかわらず10年には9カ所に増え、40年には167カ所に増えるという。過疎化に立ち向かうにはどうすればいいのか。亀田総合病院副院長の小松秀樹氏によると、亀田グループは房総半島南部・安房地域の人口を増やすための大目標「安房10万人計画」を掲げた。問題は高齢者が増えることでなく出生が少ないことであるとし、若者を大きなターゲットとしている。(特別寄稿「限界自治体」)。横浜市が、待機児童ゼロを実現した。2010年の全国ワーストから3年。国も「5年間でゼロ」を掲げており、横浜の事例は参考になりそうだ(「待機児童対策で横浜参考に」)。特集「都道府県・政令都市 2013年度厚生・労働・環境関係予算」最終回は、堺市、北九州市。
【5月31日号】 特集「多様化する保育所と経営」27回目は、「収入の柱となる運営費収入の仕組み」。社会福祉法人などが運営する認可保育所の収入の柱となるのは、利用者の保育料と公費で構成される運営費。複雑な国の保育単価や地域区分など、その仕組みに焦点を当てた。「インタビュールーム」は、福岡県障害者福祉課参事補佐の古賀裕二氏。同県は、障害者がつくる製品や提供するサービスを「まごころ製品」と銘打ち、販売を支援している。障害者が能力や個性を生かして働き、自立できる社会づくりに向けたさまざまな取り組みについて聞いた。全国民に社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を全国民に割り当てる関連法が成立し、2015年に番号が各個人に通知され、16年1月に運用が始まる。行政の効率化が図れる半面、成り済ましなどの不正利用の懸念も大きい。関連記事をまとめた(「共通番号法が成立」)。
【5月28日号】 誌面の新コーナーとして「海外トピックス」がスタートした。初回は、米政府の徴税業務を所管する内国歳入庁(IRS)が保守系団体に対する税務審査を厳格化していた問題。長官代行が辞任し、野党共和党の追及がますます激しくなるなどオバマ政権を揺るがす事態にもなっている。同コーナーは、海外の税をめぐる問題や話題、注目される経済統計などを紹介する趣旨で、編集の狙いは「国内税制を考える上でのヒントにしてほしい」という。「私の苦心」欄は、兵庫県赤穂市。「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」という上杉鷹山の言葉を引きながら、できないと思う前にできる方法を考えようと呼び掛け、原付きバイクのオリジナルナンバープレート導入などに取り組んでいるという。連載特集の自治体2013年度税収見通しは、鹿児島県、札幌市を掲載。
【5月31日号】 「巻頭言」では、星野泉・明大政経学部教授が憲法96条改正論議に切り込んでいる。政界では改憲のハードルが高いというが、例えばスウェーデンの場合、基本法(憲法に相当)改正には国会が総選挙を挟んで2回議決することが要件であることを紹介。「日本の場合はむしろ国会の構成が問題」と指摘し、違憲判決を受けている国会の発議でいいのかと疑問視する。しかも全国的に4割の得票があれば圧勝する選挙制度では、「国会の構成が国民世論の縮尺となっていない」と切り捨てており、小気味よい。「私の苦心」欄は2015年の特別区移行を目指す大阪市を紹介。府市連携強化の一環として、法人市民税の申告が府税事務所でもできるようになるなどメリットを挙げる。一方で、滞納整理面の府市連携では、市の徴税吏員は府税の滞納処分はできないといった壁があるといい、「大阪都政」実現には、こなすべき課題が確かに多いと感じる。「海外トピックス」では多国籍企業アップルの課税逃れ問題を取り上げた。先日の「ぷろふぃる」欄で紹介した稲垣光隆国税庁長官が「経済のグローバル化により、国際的な財産隠しが起きている」と強調していたのを思い出した。自治体2013年度税収見通しは、岩手県、岡山県を掲載している。
【5月27日号】 「疎かにできない2つの生命」と題して、連載「政界診断書」の記事を載せた。同記事は「永田町には睡眠薬や精神安定剤を飲み続ける政治家、いつ何があってもおかしくないくらいの怖い『爆弾』を抱えている政治家が数知れないほどいる。中でも気になるのが、2007年9月に持病(潰瘍性大腸炎)の悪化を理由に首相の座を退いた安倍晋三の健康状態である。本人は、画期的な新薬が効いて、体調は万全と言い張っているが、原因不明の難病だけに無理は禁物である。宰相の病気は一歩誤れば本人の生命だけでなく、国の生命をも左右する事態になりかねないからだ」としている。
【5月30日号】 「消費好調で年率3.5%成長」と題して、1〜3月期の国内総生産(GDP)1次速報値について分析した記事を掲載した。同記事は「内閣府が5月16日に発表した1〜3月期GDPによると、物価変動の影響を除いた実質は前期比0.9%増、年率では3.5%増で、2期連続のプラス成長だった。これにより、12年度の成長率は1.2%となったが、11年度からの『ゲタ』が1.7%であるため、年度内の成長率はマイナス0.5%になる。年度前半の2期連続マイナス成長が響いた格好だ。ゲタが高かったのは、11年度最後の12年1〜3月期の成長率がうるう年効果で押し上げられたためだ。12年1月の政府経済見通しはこの点を織り込んだ上で、12年度成長率を2.2%としたが、期待に反して景気は弱含み、補正予算でてこ入れしたにもかかわらず、予測は大きく外れる結果となった。『11年度(成長率0.2%)を上回る成長』と評価する新聞の論調も見られたが、実態は活力に乏しい1年だったと言える」としている。