【6月3日号】 「市町村長の発信力は、職員に比べて飛び抜けて高いことから、これも職員には代替できません。住民の不安感を鎮める役割も、市町村長にかなう職員はいません。市町村長は日常から災害イメージを涵養(かんよう)し、災害時には発信力を生かして外部資源の獲得、民心の安定を図ることが主要な役割となります。そして、災害が大きければ大きいほど、市町村長は自治体の内部業務よりも、外部に向けた顔としての役割が大きくなると考えます。それは、他の誰にも代替できない役割なのです」(地域防災最前線(13)「行政の広域連携(1)〜広域災害時の市町村長の役割」)
「分野別にみて注目すべきは『接客・ホスピタリティ』である。3割以上の人が良くなったと回答した。運転士の接客態度が良くなったことについては、バス研究室の発足後3カ月ほどですでに投稿が増えていた。もともと接客態度は「お叱り箱」の中でも最も投稿数の多い項目だった。ところが利用者の声を集め、それをつまびらかに公開していくことが、接客態度の改善につながったように思う。公開されるということがもたらす緊張感は、行政機関の場合、事務事業評価の結果の公開などで経験済みだが、バス会社も同様のようだ。やはり『人から見られる』となると組織の動き方が変わるようだ」(SNS時代の行革手法(2)「インターネットで公共サービスを改善する〜公開した市民の声、バス会社動かす」)
【6月4日号】 政府の教育再生実行会議が5月28日、国際的に活躍できる人材育成のため、小学校英語教育の低学年化や、教科化の検討を要請する提言をまとめた。英語教育の強化という方向性自体については異論も少ないだろうが、小学校でとなると、現状でも指導体制の構築をはじめ、課題が山積している。提言を受け、中央教育審議会で本格的な議論が始まることになるが、学校現場の視点も踏まえた検討が欠かせないだろう。
【6月7日号】 内外教育の売り物の一つは、巻頭の署名、巻末の匿名による二つのコラム。今号の巻頭コラム「ひとこと」の筆者は、_里忠宜鹿児島純真女子短期大学名誉教授。ファンから編集部に「いつ載るのか」と問い合わせがくる名文家で、森信三著「修身教授録」についてつづった文章は、何ともいえない余韻を残す。一方、巻末コラム「ラウンジ」は、匿名ならではの切れ味の鋭さ、大胆な踏み込みが魅力。今号は、「情報通信技術(ICT)教育の充実」を訴える自民党教育再生実行本部の提言全文が、まだ同党ホームページにアップされていないことを皮肉っぽく取り上げて、読ませる。
【6月4日号】 精神保健福祉法改正案が国会審議入りした。精神障害者1人に対して1人の「保護者」がさまざまな法律上の義務を負う「保護者制度」の廃止などが盛り込まれている。その主な内容や狙いについて解説する(シリーズ「解説・制度改正 精神保健福祉法改正法案について」)。「地域を支える」は、山口県発達障害者支援センター「まっぷ」。発達障害に対する関心は高まっているものの、理解と支援は不足しているとし、幼児期から成人期まで継続して発達障害者を支援する体制の充実に向けて、支援者向けの講座や研修、母親を対象としたグループカウンセリングなどを実施している。「ワンコイン健診の現場から」は、インドに続いて韓国のヘルスケア事情。ケアプロと同じような社会的企業、医療ベンチャーを紹介しており、興味深い。南海トラフ地震巨大地震対策をめぐり、内閣府の作業部会が最終報告を発表した。災害弱者が集まる病院や高齢者施設などについて、津波被害を避けるため高台への事前移転を提言。財政面の制約もあり、自治体は頭を悩ませそうだ。
【6月7日号】 巻頭言は、恩賜財団済生会理事長・炭谷茂氏の「生きものの力」。社会のつながりが希薄になってきたといわれる昨今、富山県ホタルの会、銀座ミツバチプロジェクトなど、さまざまな生きものが地域のつながりづくりに役立っているという。特集「多様化する保育所と経営」28回目は、「国と市町村の基準に見る保育料の構造」と題し、保護者が負担する認可保育所の保育料の仕組みに焦点を当てる。保育料は国の基準を元に自治体が定めるもので、その仕組みは非常に複雑だ。自治体による分かりやすい説明が求められている。「地域を支える」は、さいたま市の「シニアサポートセンター」が開催している「介護者サロン」を紹介。高齢者が増える中、介護者への支援も重要な課題となっているとして、2009年度から取り組んでいる。利用者は年々増えているものの、サロンの存在を知らない人も多く、周知が課題だという。
【6月4日号】 「巻頭言」では、福井秀夫・政策研究大学院大教授が最近の憲法96条改正論議を取り上げた。冒頭で「憲法の本質は、『国・自治体などの権力主体が、いかなる多数決を持っても国民に対して絶対行ってはならない禁止事項集・べからず集』の役割である」と明快に解説。国会両院の各3分の2以上の賛成でなく、過半数で憲法改正を可能にしようとする動きについて、「そもそも、『縛られる』側の権力者が『あまり縛るな』と声高に唱えること自体、特殊な動機の存在が疑われる」と手厳しいが、こうした論戦もあって96条改正論も先細りになってきたようだ。「私の苦心」欄は群馬県の交通の要衝・高崎市を紹介。「過程も大切ですが、結果も求められる徴収業務にあって、とりわけ収納率は徴税吏員が評価される主要数値」という厳しい世界では、やはり収納率アップが最大の課題。成績の良い隣の前橋市などとの派遣交流を通じてノウハウ蓄積を目指しているという。ただ、単に数字の競争ではなく、「納期内納税を履行している市民から、高崎市の徴税吏員は滞納者に甘いと言われることのないように」と、市民目線を忘れていないところに納得する。
【6月7日号】 今回の「私の苦心」欄は、秋田県大仙市。税務課職員のうち10人が収納業務に当たっているが、ほかに税理士1人を滞納整理指導員、金融機関のOB4人を納税相談や訪問徴収などの滞納整理員として起用しているという。2011年の市税徴収率が現年度分97.9%、滞納繰越分14.7%とわずかながら改善したのは、こうした外部からの動員が奏功したのかもしれない。インターネットを通じた滞納処分に加え、13年度からはペイジー口座振替受付サービスも導入したそうで、地方でも新手法取り入れに積極的な様子が伝わってくる。
【6月6日号】 「『出口』への舵取り始まる」と題して、米国の金融政策に関する解説記事を載せた。同記事は「米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和第3弾(QE3)の縮小観測の高まりが、日本株を含む世界の金融市場に大きな影響を及ぼしている。FRBは緩和策が長期化した場合のリスクを警戒し始めたと思われる。同時にFRBは、今後の資産買い取り額の調整が労働市場とインフレの見通し次第だと表明していることなどから、現行の金融緩和策を早期に変更する必要性は今のところ小さいと筆者はみている。それでも、FRBの出口戦略をめぐる今後の議論には注意が必要であり、その動向について詳しく述べることとする」としている。