早読み行政誌

理科に効くステップ(2013年6月10日〜6月14日号)

地方行政

【6月10日号】 「従来の役所が行う調査は、無作為抽出した人たちにたくさんの項目のアンケートを送る、あるいは役所に来てもらってグループディスカッションをするなど大掛かりなものが多かった。(中略)今回の目的は個々の具体的な改善である。何割の人がどうこう思っているといった統計値にはあまり意味がない。たった一人の意見でも素晴らしい改善につながれば前進だと考えた。(中略)そして今回の調査では統計的手法は捨てた。ツイッターから始めて、気楽なコメントを誘発し、それを収集、整理してそのまま事業者に渡すという“アナログ”的手法を貫いた」(SNS時代の行革手法(3)・完「インターネットで公共サービスを改善する〜調査手法、幅広い応用可能」)

【6月13日号】 「一般的には広域化する企業を育てていくことが、地域の経済成長にもつながることになる。東京などに本社を置く大企業の工場を誘致しようと活動する自治体の話はよく耳にする。しかし、どうやらそれだけでは十分ではないようである。同時に、自治体が広域展開できるポテンシャルのある地元企業を見つけ出し支援していくことも重要な業務であるということである。(中略)本当に地元にとって大切なことは、地元企業が中長期の時間をかけて成長していくこと、それによって地元経済も潤うことではないだろうか。だからこそ、自治体はこうしたポテンシャルのある企業をある程度は把握して、支援を行うことも大切な仕事になるはずである」(人口減少社会の自治体経営(6)・完「自治体にとっての成長戦略〜広域化できる企業を県外に送り出せ」)

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内外教育

【6月11日号】 理科の授業を苦手としている小学校教員が多いという話をよく聞く。文科系の教員養成学部出身者が多数を占めるためと思われるが、そういった先生方にぜひお読みいただきたいのが、今号の「視学官・教育課程調査官の講義ノート・小学校理科編」。理科教育のエキスパート、国立教育政策研究所の村山哲哉教育課程調査官が、「8つのステップを子ども自身がたどるように授業を展開していけば、おのずと理科の目標が実現する」と説く。それでは「8つのステップ」とは何か。続きはぜひ、本誌で。

【6月14日号】 教育のグローバル化の必要性が叫ばれる中、高校関係者を中心に、ますます関心が高まっているのが「国際バカロレア(IB)」。IBは国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が実施する国際的な教育プログラムで、文部科学省はこのうち、世界中で通用する大学入学資格が取得できるディプロマプログラム(DP)の国内認定校を現在の16校から、2018年までに200校へと大幅増加を目指す方針だ。今号では、先に広島女学院大学(広島市)で開かれた「第1回国際バカロレア広島フォーラム─国際バカロレアと日本の教育」の詳報を掲載。IBをめぐる最新の状況が概観できる。

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厚生福祉

【6月11日号】 小児がんと闘う子どもが家族と暮らしながら治療を受けられる全国初の専門施設「チャイルド・ケモ・ハウス」が今春、神戸市に完成した。患者の遺族や小児科医、建築家らが8年かけて構想したものだ。利用料は安く抑え、建築費と運営費の大半を寄付と診療報酬だけで賄うという、日本では例を見ない形態。関係者らの念願の施設だけに、運営を軌道に乗せられるか、注目される(特集「小児がん対策 家族同居で小児がん治療」)。政府の規制改革会議が5日、答申を取りまとめた。安倍首相が表明した5年後の待機児童ゼロへの受け皿づくりとして、NPOや株式会社が認可保育所への参入を望んだ場合は公平に扱うなどの内容を盛り込んでいる。また、勤務地や労働時間が限られる「限定正社員」制度の導入も促した(「保育所への会社参入後押し」)。全国民に番号を割り当て、社会保障と税の情報を把握しやすくする共通番号(マイナンバー)制度の関連法が成立した。行政事務の効率化と国民の利便性向上を図るものだが、当面は民間事業者による利用は禁止され、利用価値には疑問符が付き、個人情報流出や悪用への懸念も根強い(解説「行政分野でメリット先行」)。

【6月14日号】 巻頭言は、さわやか福祉財団理事長・堀田力氏の「住民の幸せ第一に」。厚生労働省が現場のモデルを参考に新しい福祉政策を打ち出すとき、待ってましたとばかりに手を上げる「志ある市町村」では住民が幸せになる。しかし、志ある市町村は決して多くない。住民が新しい政策に共鳴し、声を上げることが最後の鍵になるとしている。東京財団が、医療・介護制度改革に関する連続フォーラムを開始した。第一回は5月15日。地域密着で医療・介護サービスを包括的に提供する事業者や、英国で家庭医として働く医師らが登壇し、「たらい回しの起きにくい良質なサービス体制に向けて」をテーマに議論した(特集「利用者本位のサービス供給体制を議論」)。親による虐待や殺人など、外から見えないところで命を落とす子どもたちがいる。地域で支援ネットワークをつくる動きが盛んで、それ自体は良いことだが、ネットワークを立ち上げたところで一番大事な「丁寧な関わり」がなければ人を救うことはできないと、宮島清・日本社会事業大学専門職大学院准教授が「進言」でつづっている。重要な指摘だろう。5月後期の「社説拝見」は「生活保護法改正をめぐって」と題し、生活困窮者支援の在り方や医療改革などに関する各紙の論調を紹介する。

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税務経理

【6月14日号】 「私の苦心」欄は、広島県呉市を紹介。財務部収納課に課内室として悪質滞納案件に当たる債権回収対策室を置いており、対策室を経て収納課長に就いた筆者は「収納課において庶務や会計に係る事務を分担していることで、(債権回収)対策室の効率的運営が可能になっていることに気付いた」と分析する。課としての課題に債権管理に関する条例制定があったが、収納率100%は現実にはあり得ない。裁判所による強制執行しか手段がなく、回収可能性がほぼ見込めない私債権は、最終手段として債権放棄もあり得ることを条例に盛り込み、収納率向上を目指すことにしたという。併せて「(債権管理の)仕組みはできたが、その仕組みを動かすのは人であり組織である」と強調、対策室が司令塔として債権回収と処理に当たるように定めた。その仕分けぶりに、収納課長の組織運営におけるプロっぽさが感じられる。ニュース詳報のページでは、消費税率引き上げ時の「増税還元」セールを禁じる消費税転嫁対策特別措置法の成立と、安倍晋三首相が発表した成長戦略第3弾について特集した。連載特集の自治体2013年度税収見通しは、群馬県を掲載。

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金融財政ビジネス

【6月10日号】 「米国の株価動向に不透明感」と題して、6月の景気動向と金融情勢について解説した記事を載せた。同記事は「『金融緩和策の転換時期が近づいてきているのではないか』との懸念が、米国での株価上昇を抑制し始めている。株価の上昇が止まれば、個人消費の今後の伸びは抑制され、今年の同国の成長率は昨年以下にとどまるとみられる。日本の株価も、速過ぎた上昇に調整が入って大きく下落した。ただし、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が年央以降の個人消費や住宅投資を押し上げ、これに復興需要で伸びることが確実な公的需要が加わり、2013年度の成長率は3%前後に達しよう」としている。

【6月13日号】 「鍵握る第三の矢と財政再建ビジョン」と題して、日本経済の現状と見通しについて分析した記事を掲載した。同記事は「日本経済は、安倍政権の経済政策『アベノミクス』の効果もあり、下げ止まりから持ち直しに転じているようだ。しかし、企業活動全般が本格的に活発化するというところまでには、今のところ到達していないとみられる。企業および個人の心理面や金融市場に既に表れているアベノミクスの効果が、今後さらに企業活動全般に波及していくかが注目される。本稿では、日本経済の現状や金融市場の動向、企業経営をめぐる環境などに触れながら、今後の成長に向けて乗り越えるべき課題について解説することとしたい」としている。

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