早読み行政誌

ビッグデータ活用法(2013年6月24日〜6月28日号)

地方行政

【6月24日号】 「災害対応に慣れない幹部は自ら細かいことを知りたがったり指示を出したがったりします。これが、現場を疲弊させ、全体の災害対応に混乱を招く事例は数多くあります。事前に役割分担を計画化し、幹部を含めて訓練することが重要です。(中略)米国は、災害経験や『失敗』を徹底的に分析し、次の災害への教訓として災害対応プログラムに組み込む検証体制が導入されています。災害対応の失敗を生かすには、失敗をありのままに記録しなければなりません。そのためには、個人の責任を追及したり批判したりはしないという考え方が不可欠です」(地域防災最前線⑯「ニューヨーク都市圏大水害からの教訓」)

【6月27日号】 「中心市街地から農村、地域や郊外まで、町並みの景観や古くからの資産を調和させていくことが、結果的には、地域の観光にも生きてくる。これに農家の宿泊と連携させて、地域の食を産地から特定して、環境保全型農業を進めるとともに、加工品を生み出しブランド化する。町並みや農村までマネジメントをしていくという、欧州連合(EU)で行われているグリーンツーリズムが、この遠野市で展開されている。EU型グリーンツーリズムの日本版といっていいだろう」(続・地域力と地域創造(15)「地域資源を生かした観光〜岩手県遠野市」)

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内外教育

【6月25日号】 中央教育研究所が実施した、電子黒板やデジタル教科書に対する教育現場での意識調査結果によると、教員の一部には、デジタル教科書不要論も根強くあることが分かったが、その背景には授業の方法が変化することへの不安があるという。情報通信技術(ICT)を活用した授業の特徴は、教員の一方的な講義にとどまらない双方向性。紙教科書、黒板、チョークといったものに象徴される従来型の一斉授業が変わっていくことへの不安が、デジタル教科書への消極的姿勢となって表れているとの分析は、興味深い。

【6月28日号】 「俳都」松山市を舞台に高校生が俳句の腕を競い合う、全国高等学校俳句選手権大会、通称「俳句甲子園」。毎年8月に行われ、今では松山の夏の風物詩として定着した。今号では、俳句の裾野をさらに広げるため、3年前から各地の高校に俳句甲子園出場経験者を派遣し、俳句の面白さを伝えてもらう松山市の取り組みを紹介している。

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厚生福祉

【6月25日号】 特集「多様化する保育所と経営」30回目は、「経常経費補助金収入の内容」。認可保育所の収入の柱となるのは運営費収入だが、それだけではカバーし切れないサービスを展開するために国や地方自治体から補助金が交付されており、補助事業にはどのような種類があるか、具体的な事例を挙げて点検する。「進言」は岩手県保健福祉部の根子忠美部長。東日本大震災で多くの医療機関が被災し、全国を上回る高齢化の進展に見舞われる同県沿岸部では「災害に強く、質の高い保健・医療・福祉の提供体制」の構築が急務であるとし、各職種の連携によるさまざまな取り組みを進めている。中でも、県立釜石病院と地域の医科・歯科医療機関や薬局、介護施設等を双方向のネットワークで結ぶ「かまいし・おおつち医療情報ネットワーク」は要注目だ。企業年金の一つである厚生年金基金制度の改革法が成立した。財政難が深刻な基金には5年以内の解散を促し、財政状況の良い基金のみ存続を認める内容。民主党の主張で制度そのものの廃止を検討することも盛り込まれた。存続を認められる基金は1割程度にとどまるとみられている(「『財政深刻』は5年で解散」)。

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税務経理

【6月25日号】 「巻頭言」では、東京都世田谷区、東急桜新町駅周辺にあるサザエさん一家の銅像に都が固定資産税を課税したという話題について、片山善博慶大教授が元自治省固定資産税課長として論じている。商店街振興組合が4200万円投じて2011年に建立した銅像は観光スポットにもなっているが、都は企業のPR看板などと同様に年60万円弱の課税を通告。これに対し片山氏は「都の徴税意欲に水を差すつもりは毛頭ないが、この際サザエさん像課税からは撤退するようお勧めする」と歯切れよく語る。全国的には鳥取県境港市の「ゲゲゲの鬼太郎」像なども人気だが、多くは公設か、民間が設置しても自治体に寄贈するなどして非課税になっている。しかしこの流れのままでは「地域の活性化策はすべて行政にやってもらうことにして、民間は一切手を引こう」という論理になりかねないと警鐘。「民間の自主性を削(そ)ぎ、あえて行政依存の風潮を助長するのは賢明でない」と切り込んでいるが、都の反応はまだ見られない。解説コーナーでは、6年ぶりの高い純利益となった五大銀行の2012年度決算についてリポート。「私の苦心」欄は、高知県の「南国・香南・香美租税債権管理機構」を紹介。県内三つ目の一部事務組合で、地域密着を武器に滞納整理の実績を上げている様子を伝えている。

【6月28日号】 特集ページではまず、日銀の2012年度決算を詳報。3月ごろの円安で為替差益が急増し、純利益に相当する当期剰余金は2年連続のプラス。黒田東彦総裁の「異次元緩和」により、今後の総資産はさらに拡大する見通しという。特集の第2弾は、消費税増税の転嫁対策などで頭を悩ませる日本商工会議所の幹部へのインタビュー。適切な価格転嫁を促進するために成立した消費税転嫁対策特別措置法を評価するものの、立場の弱い中小企業の6割は「増税分すべての転嫁は困難」とみているという。自治体の外郭団体から送られる発注書が今年初めから突然、外税方式から内税方式に変わっていたなど、価格据え置きのための「圧力」と感じられる事例を紹介していて興味深い。また、税率10%に引き上げられる際の課題とされる複数税率導入について、軽減範囲の線引きの難しさや、税収に穴不足を生じるなどで、「欧州でも問題ありと認識されている」といった指摘は傾聴に値しよう。「私の苦心」欄は、沖縄県浦添市から。大規模事業所には来年1月から給与支払報告書提出に際し、光ディスクないし地方版電子申告・納税システム「エルタックス(eLTAX)」の利用が義務付けられるが、担当の市民税課は、これまでの10万件に及ぶ紙の課税資料の整理や内容確認、さらに名寄せ作業などの膨大な業務が相当程度軽減できると期待する。作業の迅速化は歓迎すべきことだが、くれぐれも個人情報の保護は万全を期すよう願いたい。

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金融財政ビジネス

【6月24日号】 「米国でのビッグデータ活用法」と題して、米国の保険、証券、ノンバンクがビッグデータをどのように活用しているかについて解説した記事を載せた。同記事は「インターネット利用などにより生じる膨大な電子データの集積である『ビッグデータ』は、最近の主要なビジネスキーワードの一つになっている。米国の銀行におけるビッグデータビジネスについては、既に本誌2012年4月5日号で紹介している。そこで今回は、米国の保険、証券、ノンバンクにおけるビッグデータの活用法について、その現状や今後の動向などを詳しく分析することとしたい。例えば、保険会社は自動車保険料の算定に用いたり、ノンバンクは融資を審査する際の時間短縮などに活用したりしている」としている。

【6月27日号】 「期待先行から実績重視へ」と題して、安倍政権の経済政策「アベノミクス」について分析した記事を掲載した。同記事は「5月23日から株価が急落するとともに、円高も進行した。『アベノミクス』にとっては、恐らく初めての強烈な逆風だろう。そうした中で成長戦略は6月14日に閣議決定された。成長戦略は『三番目の矢』として大きな期待がかけられており、安倍晋三首相にとっては満を持してのスタートだろう。相場の下落が続く様子を見て『アベノミクスの成長戦略が期待外れだったから株価が下落し続けている』と揶揄する人もいるが、筆者からすれば『成長戦略が悪い』というのは的外れである。株価の下落は、アジアを中心に海外市場でも起きており、アベノミクスだけに責任を負わせるのは正しくない。株価下落の主因は、米国の量的緩和第3弾(QE3)が、実施から約半年が経過してその効力が薄らいできていることにあり、日本はそのあおりを受けている。政府は期待先行による株価上昇を、実体経済の実績を重視した株価上昇へといち早くスイッチさせる。つまり、成長戦略には、これまでの期待先行から実績重視へと、国民の見方をスイッチさせることが期待されているということだ。要は、日本経済の成長力を実体面で押し上げるような有効性の高い成長戦略になっているか否かであり、その点で今回の成長戦略には、まだまだ改善すべき点がある」としている。

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