【7月22日号】 「従来、要援護者はいったん指定避難所に行き、そこから福祉避難所に移るという運用をしていたところが多いと思います。この場合、福祉避難所は発災後3日間程度経過して、ある程度落ち着いてから開設する手順になります。しかし、要援護者は、一日であっても指定避難所で過ごすことが困難な例が多く、当初から福祉避難所に避難した方が安全に過ごせます。(中略)私は、指定避難所も福祉避難所も直ちに立ち上げるのがよいと考えます。できるだけ早期に、被災者の状況に応じて負担を軽減する措置を取るべきです」(地域防災最前線(19)「避難所における良好な生活環境の確保について」)
【7月25日号】 「高度経済成長に伴う人口急増期、増加する行政需要に応えるため各自治体は多くの公共施設を整備してきました。しかし、50年近くを経過し、老朽化が進むとともに、耐震化やバリアフリー化、省エネ化など社会的な課題への対応が求められています。一方、人口の減少、中心市街地からの人口流出など人口構造の変化を踏まえ、公共施設の在り方が問われています。また、平成の大合併に伴い、合併前の自治体ごとに整備されていた公共施設の再編も大きな課題となっています。『今あるから』という考え方で今後も同じ施設を維持していくことは、機能的にも、財政的にも困難です。(中略)今ある施設の実態を把握し、その施設をどのように有効活用していくか、そのための合意形成をどのように進めていくかがキーポイントとなります」(自治体財政の健全度・下「行政評価・事務事業評価の課題」)
【7月23日号】 今号の目玉は、全国連合小学校長会(全連小)の新会長に就任した堀竹充東京都新宿区立早稲田小学校長のインタビュー。堀竹会長は、いじめ防止対策推進法が今秋にも施行されるとして、「校長は、法令の中身を理解した上で、できる対応を今から行い、施行と同時に組織が動けるようにしておく必要がある。この夏休みの大事な仕事だ」と指摘。一方、小学校での英語教科化の動きについては、「教員の指導力の差が大きい中で、性急に実施すれば、現場の混乱を招く。国は、余裕をもって実施に向けた行程を組んでいただけるとありがたい」とくぎを刺す。小学校の校長先生にはぜひ、お読みいただきたい。
【7月26日号】 今どきの若者の大学選択の基準は、「身近で手堅く」─。リクルート進学総研はこのほど、今春の大学入学者がどのような視点で志望校などを決定していたのかなどを調べた「進学センサス2013」をまとめた。長引く不況や就職難などを反映して、「社会で役立つ力が身につくこと」や「自宅から通える」といった要素を重視する者が増加。逆に減っているのが、「校風や雰囲気が良いこと」「有名であること」といった項目だった。大学のイメージや知名度にこだわらず、カリキュラムや専門分野の教育力などを重視する姿勢が強まっていることについて同研は、「長引く不況の影響や家計収入の減少を受け、高校生の大学選びも実利的になっている」と解説している。こうした意識の変化自体はむしろ好ましいことなのだろうが、何やら世知辛い世相を反映しているようで、複雑な気分になる読者も多いのではないだろうか。
【7月23日号】 特集「多様化する保育所と経営」33回目は、「職員体制、給与水準、保育士不足問題を見る」と題し、認可保育所運営の支出面、特に人件費の問題に焦点を当てる。併せて、保育士不足を補う戦力として期待される“潜在保育士”について、その現状や自治体の対策を見ていく。政府の社会保障制度改革国民会議は、8月にまとめる予定の報告書の素案について議論した。報告書の中の「国民へのメッセージ」では、将来世代の安心につながる改革を目指す方針を強調している(「将来世代の支援を充実」)。「地域を支える」は、千葉市の指定を受けて認知症疾患医療センターを運営する千葉大学医学部付属病院。電話相談、外来診療、教育研修の三つが主な役割で、単なる診療機関ではなく、地域の認知症疾患の医療水準向上に努めている。「ワンコイン健診の現場から」16回目は、オランダ・イギリス出張記。オランダにおける在宅患者の訪問検査、イギリスの起業家が開発した医療情報アプリなど、今後の日本の医療にも示唆を与える内容だ。
【7月26日号】 食品の生産から流通までには実にさまざまな業種が関わっており、政治や外交などの背景要因も複雑、かつ、所管官庁も農林水産省、経済産業省、環境省、厚生労働省など複数にまたがる。あまりに分業化・専門化しすぎ、利害対立が発生することの方が多くなっているのでは─。巻頭言「『食産業省』設置のススメ」で、FMS総合研究所代表取締役の三輪宏子氏が食産業の重要性をつづっている。厚生労働省が、生活困窮者を対象とする相談窓口を設置するよう19道府県と43市に求めるという。生活保護に至る前の段階で支援するための初の取り組みで、62自治体での結果を踏まえ、2015年度には約900の自治体への拡大を予定している(「生活困窮者に相談窓口」)。ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」(一般名バルサルタン)の臨床研究をめぐり、京都府立医科大は、データが操作されていた可能性が高いと発表した。ノ社の社員が身分を伏せて研究に参加していたことが既に問題化しており、臨床研究への信頼を揺るがしかねない重大な事態に発展した(「高血圧薬の臨床データ操作」)。「インタビュールーム」は、NPO法人ひとり親ICT就業支援センター理事長の宮地大治氏。育児や介護などの理由で長時間家を空けられない人や、フルタイムで働くのが難しい障害者らが在宅で一定時間就労できるよう、ネットワーク環境や研修を提供している。会員企業の持ち出しで成り立っているのを、事業として継続できるよう軌道に乗せることが最大の課題だ。
【7月26日号】 「私の苦心」は鹿児島市の特別滞納整理課を紹介。約四半世紀ぶりに徴税担当部門に就いたという課長は、「24年前に納税課に勤務していた頃とは、職員の意識と業務内容がすっかり変わっていることに驚きました」と述べているが、実際、納税環境は大きく変わったのだろう。当時の納税係は外勤徴収が中心で、「(自嘲気味に言うと)『集金』して」いたそうだが、今では滞納整理支援システムを駆使し、差し押さえ処分などの強制執行が業務の中心。職員は「納税に誠意のない悪質な滞納者に対して徴税吏員としての権限を行使し、粛々とその任務を遂行」しているという。このような時間軸で比較すると、また新たな方向性が見えてくるかもしれない。全国特集として連載してきた「2013年度都道府県・政令市税収見通し」は、富山県を掲載して完結した。近く新たに「2012年度税収決算見通し」の連載がスタートする。
【7月22日号】 「米中新時代、対立激化か協調か」と題して、連載「地殻変動する世界」を載せた。同記事は「米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席が米カリフォルニア州ランチョミラージュにある保養施設『サニーランズ』で6月上旬、2日間にわたる非公式のノーネクタイ会談を行ってから、1カ月余りが経過した。中国の国家主席が就任から3カ月で米国を訪れ、大統領との首脳会談に臨んだのは極めて異例だ。しかも、首都ワシントンではなく、西海岸で胸襟を開いて話をしたのは、双方がトップ同士の早急な話し合いを望んだからにほかならない。両国が抱える問題はそれだけ広範かつ複雑であり、対立の激化よりも協調にどれだけ踏み込めるかが大きな課題である。米ソの『冷戦(Cold War)』「」ならぬ『クール・ウォー(Cool War)』(米中関係の未来を論じたノア・フェルドマン米ハーバード大学法科大学院教授の近著名)と呼ばれる時代を、両首脳はどう乗り切るのか。日本を挟んでアジア太平洋地域に君臨する米中両大国の今後の関係を占ってみたい」としている。
【7月25日号】 「物価目標の達成は極めて困難」と題して、日銀が打ち出した物価目標について解説した記事を掲載した。同記事は「政府・日銀が目指している2%の物価上昇を実現しようとする際に、両者が想定しているとみられる実現のためのルートとして為替、賃金、インフレ期待が挙げられる。すなわち(1)円安誘導による輸出の増加と輸入物価の上昇(2)賃金の大幅かつ持続的な増加を通じたサービス分野の価格水準の底上げ(3)人々のインフレ期待を高めることによる、値上げが通りやすい環境の実現─である。しかし、これら三つのいずれについても大きな難題が横たわっている。そして、期待に依存することの不確かさ(あるいは危うさ)が早くも露呈したのが、5月23日から6月13日にかけて起こった株価の急反落と、これに連動して起きたドル・円相場の円高方向への揺り戻しだったと言える」としている。