早読み行政誌

アニマルスピリット(2013年8月5日〜8月9日号)

地方行政

【8月5日号】 「(相手先を割り当てられた自治体が1対1で支援を進める)日本版対口支援の特長は、特定の自治体同士が連携することで、顔の見える関係がつくられ、迅速かつ効果的に、さらには総合的、長期的支援ができるところにあります。支援者の数はもちろん重要ですが、自治体トップ同士の信頼関係、職員間の引き継ぎの仕組み、支援自治体同士の連携など、特定自治体間の連携でなければうまくいきません。現に、復興期にも長期支援を行っている自治体は、特定の自治体への派遣がほとんどです。前回はA市、今回はB町、次回はC村などと、そのたびに支援自治体が変わるのでは、支援・受援双方にメリットがありません」(地域防災最前線(20)「防災白書を読み解く2〜自治体相互の広域連携について」)

【8月8日号】 「魚の加工品である蒲鉾(かまぼこ)を主体に、これだけ幅広いお客を引き付けているところは、恐らくほかにないのでは、と思われるほどだ。(中略)現在、6次産業が大きく取り上げられ、各地の農業・漁業関係で6次産業の取り組みが盛んに行われている。6次産業とは、野菜や魚などの1次産品を、2次(加工)、3次(サービス・販売)までを足すと6になることからついた言葉。生産から販売まで手掛ければ、付加価値が高くなることから、国による支援策も行われている。(中略)だが、まだ6次産業という言葉さえなかった頃から、鈴廣(すずひろ)では、加工・販売・サービスまでを形にしている。蒲鉾を中心に据えて、ありとあらゆる魚の加工品と、地域にある野菜、果実、魚などを組み合わせて、食のさまざまな食べ方、見せ方、楽しみ、学びの場を提供していると言っていいだろう」(続・地域力と地域創造(17)「最先端の老舗蒲鉾店」)

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内外教育

【8月6日号】 東京都調布市の市立小学校で2012年12月、5年生の女児が給食を食べた直後に食物アレルギーで急死した事故で、専門家による市の検討委員会が再発防止策をまとめた。児童がショック症状を起こした場合、教職員は緩和薬「エピペン」をためらわず注射する意識を持つよう強調したのがポイント。今号では、再発防止策の内容を詳しく紹介しているが、こうした悲劇的な事故が二度と起きないよう、教育現場での取り組みが求められている。

【8月9日号】 国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターが、学校でいじめ防止に取り組む教職員らを対象に作成した「生徒指導支援資料4 いじめと向き合う」を公表した。2009年度から作成している生徒指導支援資料の第4弾に当たり、定点観測している地域の学校で発生したいじめのデータを分析した「いじめ追跡調査2010─2012」と、同調査に基づくいじめ対策のポイントを解説した冊子「いじめについて、正しく知り、正しく考え、正しく行動する」の2部構成となっている。本誌では、「いじめに流行やピークはない」「暴力を伴うケースは早期対応が必要」といった内容を詳しく解説している。

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厚生福祉

【8月6日号】 材料にこだわり高い評判を得ている小さな店。先端の科学技術を支える零細な町工場。社会福祉事業においても大規模化、経営効率化が言われる昨今、果たして大きいことはいいことなのだろうかと、宝山寺福祉事業団理事長の辻村泰範氏が巻頭言で問い掛けている。高い志を持って地域に貢献し、地域に必要とされている小さな施設や法人を大事にしたいものだ。特集「多様化する保育所と経営」34回目は、認可保育所を経営する社会福祉法人の財務諸表から、主に人件費について、他のサービス産業との比較などを加えて点検する。「インタビュールーム」は山梨大学医学部付属病院長の島田眞路氏。新病棟建設など再整備事業が進む同病院について、ハード、ソフト面ともに「日本一の病院を目指す」というその内容と意気込みを聴いた。

【8月9日号】 風疹が大流行し、先天性風疹症候群の多発やワクチンの枯渇など問題化している。「不十分な風疹対策のツケ」と言う上昌広・東京大学医科学研究所特任教授に、これまでの経緯や、今何をなすべきかについてつづってもらった(オピニオン「風疹大流行になすべきこと」)。連載「ワンコイン健診の現場から」は、ある私鉄駅前でイベント的に実施したワンコイン健診の結果を報告。たまたま通りかかって気軽に受けたものの、要注意、要受診の値が出る人は少なくなく、36%の人が医療機関受診を希望したとのこと。このようなイベントで、毎月1800人の“潜在患者”の掘り起こしにつながっていると試算している。「インタビュールーム」は、名古屋市の認定NPO法人CAPNA理事長。児童虐待問題にかなり早くから取り組んでおり、その活動の現状や、問題解決への方策などを尋ねた。大手製薬会社ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究のデータ不正問題で、京都府立医大に続いて東京慈恵会医大も、データが人為的に操作された可能性が高いと発表。研究への信頼を揺るがす深刻な事態は、さらに広がりを見せている(「慈恵医大でもデータ操作」)。

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税務経理

【8月6日号】 6月末に全国の国税局長が大幅に交代した。そこで、各局長の横顔を紹介する「ぷろふぃる」欄が本号からスタートした。初回は仙台国税局の刀禰俊哉局長。東日本大震災の発生時に国税庁官房総務課長で震災対策の取りまとめに当たっただけに、現地で前線入りしたことに「本当に感慨深い」と話す。「私の苦心」は茨城県税務課を紹介。徴収率が全国下位と低迷しているため、収入未済額の圧縮が最大の目標。最近は自動車税の滞納整理に力を入れ、徴収率の改善が図られているという。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は秋田県、長崎県を掲載した。

【8月9日号】 税務調査の手続きなどを定めた国税通則法が40年ぶりに全面改正され、今年1月から施行されたことは、一般的にはあまり知られていない。そこで東京税理士会の幹部に法改正をどう受け止めているかをインタビュー記事「明確化された税務調査手続き」にまとめた。今回改正により、(1)多く納め過ぎた税金の更正(還付)請求が従来の過去1年から5年に延びた(2)納税者に不利益な処分をする場合は理由を示すことになった(3)税務調査の開始、終了などを通知する—などが実現したが、かつては調査終了がはっきりせず、課税庁の担当者が異動していつの間にか終了していたこともあったというから笑ってしまう。国税当局の対応などに具体的な変化があったかどうかは、12月にまとめる税理士会のアンケート調査で分かるはずというので期待したい。「私の苦心」は山口市の不動産鑑定士のエッセー。不動産鑑定士という職業は「まだまだ世間では知られていない」とぼやくものの、相続税や固定資産税の算出のため、国税など税務関係公務員と連携しながら仕事をしている様子を楽しく読ませる。「2012年度税収決算見通し」は山形県、徳島県を掲載した。

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金融財政ビジネス

【8月5日号】 「鍵握る民間企業の活力復活」と題して、連載「日本再生への道(3)」を載せた。同記事は「日本は、1990年代前半に起きたバブル崩壊後の景気低迷から抜け出せず、『失われた20年』を過ごしてきた。その間経済はデフレ状況に落ち込み、民間企業は一部の例外を除いて、かつての活力をどこかに置いてきてしまった。企業経営者はリスクを嫌い、守りの経営に徹する傾向が強かった。そうした状況を打破するため、安倍政権は『三本の矢』を基本とする『アベノミクス』を旗印に経済の低迷を打ち破ろうとしている。その方向性に異論を唱える人は少ないだろう。多くの人々はこれに期待している。しかし、アベノミクスによる掛け声だけで、日本経済を本格的な回復軌道に乗せることは難しい。そのためには、民間企業が活力(アニマルスピリット)を取り戻す必要があるのではないだろうか。民間企業のアニマルスピリットが、日本経済復活の鍵を握っていると言っても過言ではない。政府ができることは、民間企業がアニマルスピリットを取り戻せる環境をつくり出すことである。安倍政権がそうした環境をつくることができれば、日本経済の回復が期待できるだろう」としている。

【8月8日号】 「米成長率は前年下回る見通し」と題して、8月の景気動向と金融情勢について解説した記事を掲載した。同記事は「米国では企業部門に陰りが見え、それが雇用と株価の動向に下押し圧力として働く可能性がある。金融緩和策の転換時期が近づいていることから住宅ローン金利が上昇し、住宅投資にも不透明感が生じてきている。2013年の成長率は12年を大きく下回るだろう。一方、日本では、東日本大震災の復興需要や消費税率引き上げ前の駆け込み需要で堅調に推移することが確実な公的需要や個人消費、住宅投資に加え、これまで足を引っ張ってきた純輸出、設備投資もプラスに転換する兆しが出てきた。13年度の成長率が3%前後に達する可能性がある」としている。

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