早読み行政誌

謝りながら走るバス(2013年8月12日〜8月23日号)

地方行政

【8月12日号】 「被災地の膨大な復旧・復興事業に加えて、高度成長時代のインフラの老朽化や国土強靭(きょうじん)化関係の業務で、全国的に防災関係の公共事業が大きく増えています。公共事業を行うためには、全体計画作成、予算要求、設計、補助金申請、個別の用地買収、工事仕様書作成、入札、契約、議会対応、工事監督、検査など多くの業務が必要であり、その一つ一つに人手がかかります。職員確保については、ミクロの観点からは被災自治体への長期派遣の充実が重要な課題ですが、全国的にはいかに公共事業関連の職員を増加させるかが問われています」(地域防災最前線_「防災白書を読み解く3〜自治体職員の長期派遣の現状について」)

【8月15日号】 「3分のプレゼンで、8団体が思い思いの活動計画を報告。それぞれについてこども審査員が5分間質問を行った。最後に登壇した潮江中学校防災プロジェクトチーム。地域防災への貢献を目的に、校区内の高齢者宅や幼稚園などにガラス飛散防止フィルムを張ったり、幼児や小学生向けの避難所カルタを作ったりする計画を発表した。プレゼンでは、飛散防止フィルムを張ったガラスをハンマーでたたき、耐久性をアピールするパフォーマンスも披露した。早速、9人のこども審査員が次々と質問。『フィルムの配布数が少なく不公平感が出るのでは?』『話し合いで平等にしたいと思います』『カルタは幼児には難しい気がするが』『基礎的なことを学ぶものにします』『カルタでなくてもパズルでもいいのでは』『それも検討してみます』 全組のプレゼン終了後、こども審査員9人が応募計画ごとに意見を表明した。中には物足りないという意見の出る団体もあったが、その団体に追加質問を行い、問題点の改善を呼び掛けるなどして、今年度は申請した8団体全部を承認した」(特集・子どもがまちづくりに参加「全国に先駆け助成ファンド─高知市」)

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内外教育

【8月13日号】 創造性に富んだ特色ある教育の実践に顕著な業績を上げた学校を毎年度表彰する時事通信社主催の「教育奨励賞」。第28回を迎えた今年度は、本誌で紹介しているように第1次審査の結果、全国から集まった推薦58校のうち、32校が候補校として最終審査に送られることが決まった。今後、9月の審査委員会を経て、同月末に「優秀賞」2校(うち1校には「文部科学大臣奨励賞」を併せて授与)、「特別賞」1校などの各賞受賞校が発表される。教育奨励賞の特徴の一つは、優秀賞、特別賞の3校に各100万円が副賞として贈られること。前回は、岩手県、高知県、神戸市の各代表校が優秀賞、特別賞を受賞したが、さて、今年はどうなるか。

【8月23日号】 かつて日本を「神の国」と形容した首相がいたが、いつからか日本の神様は「お客様」となった─。小野田正利大阪大学大学院教授による連載「モンスター・ペアレント論を超えて」によると、ある路線バスでは回送中、前面の行き先表示部分に「すみません 回送中です」と表示しているという。バス待ちをする乗客の落胆を少しでも和らげる狙いだそうだが、心地よいサービスを提供しようとするあまり、クレームを言いそうになるだろう客に予防線を張る行為が至る所にあふれている。「謝りながら走るバス」が存在する社会は果たして健全なのだろうか。

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厚生福祉

【8月13日号】 iPS細胞を用いた世界初の臨床研究が始まった。研究チームを率いる高橋政代理化学研究所プロジェクトリーダーは、いわゆる“研究一筋”の人ではなく、家庭と仕事の両立を目指し、夫を助けようと米国留学に同行するような一面を持つ。最先端の研究に携わるきっかけとなったこの留学や、治療への熱意について語ってもらった(特集「iPS細胞 『絶対に治療に生かしたい』」)。政府の社会保障制度改革国民会議が、安倍首相に報告書を提出した。現役世代が高齢者を支えるこれまでの構図から、所得が高い高齢者に負担を求め、全ての世代が支え合う「全世代型」社会保障への転換を提言している。超高齢化社会に向け、提言をいかに実行に移すかが、政治に問われている(「高所得高齢者は負担増」)。「地域を支える」は、徳島県の知的障害者通所授産施設「セルプ箸蔵」。日常の買い物に苦労する山間部の高齢者を助けるため、移動販売サービスを行っている。知的障害者の就労分野拡大と過疎集落の買い物支援という二つの課題を解決する画期的な試みで、赤字を脱却して運営を軌道に乗せるのが大きな課題だ。特集「多様化する保育所と経営」35回目は、保育所の運営費や職員体制などについて、公立と私立の決算の具体例を分析し、比較する。

【8月16日号】 滋賀県では、ICT(情報通信技術)で病院、診療所、在宅医療関係機関をつなぐ「医療情報連携ネットワーク」を構築し、2014年度からの運用開始を目指している。各地で医療情報連携の動きが進んでいるが、運用開始の時点で県全体をカバーするシステムは全国初という。その内容を紹介する(特集「医療ICT 医療情報連携ネットワーク構築へ」)。「インタビュールーム」は、高知県中山間地域対策課長の前田和彦さん。高齢化・過疎化が深刻な中山間地域を維持するため、見守りや移動手段の確保といった「支え合い活動」と、産業づくりなど「経済活動」を両立させるための拠点「集落活動センター」を展開しており、その取り組み内容や目指すところを尋ねた。文部科学省が、体罰に関する初の国公私立包括調査の結果を公表。昨年度に体罰をした教職員は6721人、被害を受けた児童・生徒は1万4208人に上るという。いわゆる「指導死」で子どもを亡くした親らは、数字を調べるだけでなく本気の取り組みを、と訴えている(「体罰教職員6700人」)。7月後期の「社説拝見」は、参院選で各党が立場を明示すべき社会保障政策や、昨秋発足した消費者安全調査委員会の課題などをめぐる各紙の論調を紹介する。

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税務経理

【8月20日号】 「私の苦心」は愛知県岡崎市の納税課を紹介。2012年度の市税収納率が94.61%(現年度分98.62%)と近年で最も高い収納率となったことについて、「理由としては、給与、預金、家賃等の換価容易な債権を中心とした差し押さえが浸透してきたことと、職員の強い使命感と地道な努力の賜物(たまもの)である」と分析するが、1人の職員が抱える滞納者数が約1400人というデータには驚く。このため同課は今後の課題について、新滞納システムの稼働やマルチペイメントなどの導入に加え、職員のスキルアップを挙げる。「偶然に良い結果が出ることはない」と、地道に滞納整理に取り組む姿勢を強調しているところはお手本になりそうだ。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、茨城県、岡山県を掲載した。

【8月23日号】 ニュース詳報欄で、2013年度の人事院報告を載せた。月給、ボーナスともに据え置きで、世間的には注目されなかったが、課題は多い。東日本大震災の復興財源を捻出するため12年度から2年間実施されている公務員の特例給与減額をめぐって報告は「特例減額は一時的な措置」と強調し、政府の一部にある減額継続の動きをけん制。一方、「なおも地方の地場企業に比べ給与が高い」との批判に対しては、給与構造の見直しに着手する方針を示す。一層の人件費抑制を促す政府や政界と、人事院の駆け引きが感じられて興味深い。もっとも、安倍首相が呼び掛けた民間企業の給与引き上げがもっと具体的に広まらないと、この駆け引きの解決は難しいのだろう。「私の苦心」は宮崎県都城県税・総務事務所を紹介。筆者の恩師の言葉「風に向かって飛べない鳥は決して遠くに飛べない」は、なかなか印象的だ。「2012年度税収決算見通し」は山梨県、岡山市を掲載している。

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金融財政ビジネス

【8月19日号】 「『最後のフロンティア』に熱い視線」と題して、アフリカの現状と課題について分析した記事を載せた。同記事は「長年にわたって貧困や飢餓、民族紛争にあえぎ、『暗黒の大陸』と呼ばれてきたアフリカが、最近になって様変わりしつつある。独立ブームに沸いた1960年代から半世紀の間、アフリカは世界経済のグローバル化という追い風もあって、繁栄と平和への確固とした道を歩んでいる。よって、アフリカに先進国や主要新興国が熱い視線を注いでおり、開発援助や大規模投資を加速させている。しかし、急激な発展に伴うゆがみも目立つようになってきた。本稿では、『最後のフロンティア』とも呼ばれるアフリカの現状と課題について詳しく述べてみたい」としている。

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