早読み行政誌

社会を変える若い力(2013年9月9日〜9月13日号)

地方行政

【9月9日号】 「報告書が実効性ある災害福祉支援に結び付くためには、いくつかの課題があると考えます。まず、福祉支援の量の見積もりが必要です。東日本大震災で必要であったはずの福祉支援の調査、検討を行い、首都直下地震、南海トラフ巨大地震等の大災害を想定して、福祉支援量を見積もることが必要です。次に、その量を充足する福祉支援の担い手をいかに確保するかを検討します。(中略)課題はありますが、報告書の視点に沿って、日常からの災害福祉広域支援組織の構築、研修の実施などにより福祉関係者の防災意識や行動力の向上に努めることは、要援護者への支援だけでなく地域全体の防災力を向上させる重要な政策と考えます」(地域防災最前線_「防災白書を読み解く6〜災害福祉広域支援ネットワークの構築に向けて2」)

【9月12日号】 「神戸市は『東日本大震災は津波・超広域・大規模という新しい災害の教訓を示した。同様の被害が懸念される南海トラフ巨大地震の対策としても、被災地支援で学んだことを検証して、神戸市民の生命・安全を守るために使わないといけないと感じた。特に受援については、東日本大震災の被災地を見て、支援を受ける準備がないと支援を受け切れない、ということが身にしみて分かった』(危機管理室)と説明している。(中略)『阪神大震災を知らない市職員が4割に達し、(災害対策の)継承に危機感を持っていた。加えて、阪神大震災後の中越地震などで、新しいシステムやツールを十分使いこなせたか自問することもあり、勉強しなければいけないとも感じていた』と話す」(特集・東日本大震災2年半「被災地支援で得た教訓、地元に生かす」)

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【9月13日号】 全国高等学校教頭・副校長会はこのほど、三重県伊勢市で第52回総会・研究協議大会を開催した。統一主題は「輝く未来づくりに向けた高校教育の確立─学校・家庭・地域の絆を強めて」。新学習指導要領が今年度の新入生から本格実施に入った高校教育の諸課題について、全国から集まった約600人が「管理運営研究」「高校教育研究」「生徒指導研究」の3分科会に分かれて話し合った。本誌では、大会の模様を3回に分けて紹介する。初回はまず、総会の模様から。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【9月10日号】 巻頭言は、炭谷茂・恩賜財団済生会理事長の「新しい福祉の旗手」。英国で、ホームレスや障害者らの就労・自立のために事業を興した2人の若者を紹介している。ボランティアではなくビジネスで社会問題を解決しようというソーシャル・ベンチャービジネスの動きは、日本にも見られる。社会を変える若い力に期待したい。特集「医療ICT ネットで島民の医療情報共有」は、人口6万人余の新潟・佐渡島で、島民の医療や介護の情報を共有しようという取り組み。電子カルテがなくても、インターネット環境さえあれば参加できるネットワークだ。高齢化や医療資源不足の問題に直面する中で、病院、診療所、介護施設、在宅─その全てが「仮想・佐渡島病院の外来」となることを目指している。結婚していない男女の間に生まれた婚外子の遺産相続分を嫡出子の半分とする民法の規定が、法の下の平等を定めた憲法に違反するかが争われた家事審判で、最高裁大法廷が初めて違憲判断を示した(「婚外子相続格差は違憲」)。裁判官14人全員一致の判断。時代とともに非婚化が進み、婚外子の出生割合が増える中、諸外国では差別規定が撤廃されており、いささか遅きに失したともいえる。決定を受け、政府もようやく規定の撤廃に動くようだ。8月後期の「社説拝見」は、労働者派遣制度の改革、社会保障制度改革などをめぐる各紙の論調を紹介する。

【9月13日号】 特集「多様化する保育所と経営」38回目は、保育事業への営利法人の参入に焦点をあて、その現状や海外の実情を点検する。代表的な営利法人である株式会社が経営する認可保育所は、全国的に見れば全体の2〜3%とごく少数だが、「待機児童ゼロ」を達成した横浜市など、この割合が2桁の自治体もあり、自治体間での格差が大きい。また、海外の例からは、株式会社の参入にも多様な形があり、懸念される「市場化」「所得による格差拡大」に必ずしも直結するわけではないことがうかがえる。「進言」は島根県健康福祉部医療統括監の木村清志氏。医師を「呼ぶ」「育てる」「助ける」事業について述べている。医師をいかにして招聘(しょうへい)し、定着してもらうかは、同県だけでなく多くの自治体に共通する課題だろう。「インタビュールーム」は、茨城県立こころの医療センター副院長の中村恵氏。薬物やアルコールの依存からの回復プログラム「SMARPP」を県内の医療機関で初めて導入し、重症の依存者を一人でも減らそうと普及に努めている。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【9月10日号】 巻頭言「フォーラム」欄では、石弘光・一橋大名誉教授(元政府税調会長)が、安倍晋三首相周辺から出ている消費税率の毎年1%ずつ引き上げ案を批判している。「税務執行の実態を無視した机上の空論とも言うべきもので、政策論としてまったく論外」と切り捨てる石氏は、理由として(1)小売業者が数百万円規模になるレジのプログラム変更のコストを負担しなければならなくなる(2)価格に転嫁させる消費税の仕組みが機能しなくなる(3)財政再建策が頓挫し、金利上昇を招く─を挙げる。現状は、2020年東京五輪の招致決定の余波で消費増税実施の外堀が埋まった観があるが、安倍首相自身は何をしたくて側近から小刻み引き上げ論などを流布させていたのか、知りたいところだ。「私の苦心」は世界自然遺産に登録された知床に位置する北海道斜里町を紹介。現年度分の町民税収納率が99.76%とほぼ完納状態の町で、今春就任した税務課長が「私の苦心はこれから」と題し、「このレベルに昇り詰めた収納率をどうやって維持・向上していけるか」とこぼす。上には上の悩みがある。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、長野県、京都府を掲載した。

【9月13日号】 「私の苦心」は京都府の広域連合、京都地方税機構事務局を紹介。府と25市町村で構成する同機構は、2009年の設立以降3年で収納率が1.6ポイント改善するなど着実に前進。昨年4月からは全国的に例のない取り組みとして、課税対象がほぼ同じの法人関係税について府・市町村で課税業務を共同化した。1年間順調に運営されているといい、引き続き個人関係税や資産関係税などについても共同化を検討中という。市町村の課税業務を道府県と一体化するというアイデアは、なるほどと思う向きが多いかもしれない。「2012年度税収決算見通し」は埼玉県、岐阜県、熊本県、川崎市を掲載している。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【9月9日号】 「予定通り実施すべき消費増税」と題して、景気動向と金融情勢を分析する記事を載せた。同記事は「実質可処分所得の低い伸びを背景に、最近の米国の実質個人消費の伸びは低迷している。株価も、量的緩和第3弾(QE3)縮小開始をめぐる不透明感から伸びが止まった。柱となる個人消費が低迷することから、2013年の米国の成長率は12年を下回ることとなろう。日本では消費税率の引き上げ時期や方法をめぐって不透明感が漂っている。引き上げ延期というようなことになれば、駆け込み需要の多くが消滅し、13年度の成長率は大方の想定を大きく下回ることとなろう。また、金融市場の混乱も予想される」とみている。

【9月12日号】 「米中間選挙はオバマ政権の突破口になるか」と題して、中間選挙のポイントを分析する掲載した。同記事は「『ねじれ議会』を抱える米国のバラク・オバマ大統領が、2期目の政権運営に苦心している。そのオバマ政権にとって『ねじれ議会』を解消できる最後の機会が、2014年11月に投票が行われる中間選挙だ。もっとも、オバマ政権を支える民主党が下院の多数党を奪回するためのハードルは高く、むしろ上院多数党の座を脅かされる可能性すら指摘されている」と解説。その上で「国政とは対照的に『決められる政治』が展開されている州政府レベルの政治と併せて、今後の米国の選挙動向」を展望する。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは