早読み行政誌

気付くことが大事(2013年9月17日〜9月20日号)

地方行政

【9月19日号】 「公営企業を細目に分けて見ていくと、思いのほか財務的に堅調な先が多いように見える。補助金を除いた実力ベースでも経常黒字になる公営企業が少なくない。もう一つの気付きは、バランスシート上で公営企業債なる借入残高が巨額であることである。この巨額の借入金利を1%程度改善できれば、さらに多くの公営企業が財務的に自立していくということである。こうした現状は、少なからぬ公営企業が資金調達の面では、利用料金収入を返済原資とすることで、自治体の一般会計や国の後ろ盾がなくとも自立できるということである。言い換えると、公営企業債の借り換えが許され、金利を引き下げることができるなら、国債暴落が起きたときの強烈な影響から、公営企業を守ることができるということである。地方債は暗黙の政府保証の下で、国債と連動している。現時点においては、国債並みの低い金利で地方債は発行できているが、逆の効果が起きることもあり得る。すなわち、国債が暴落すれば、国債金利が跳ね上がり、地方債金利も跳ね上がる。公営企業債も地方債の一つであるから、金利上昇リスクにさらされることになる」(公営企業というアセットの生かし方(3)「公営企業は意外なほどに健全である」)

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内外教育

【9月17日号】 3回連載でお届けしている2013年度「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果報告は、中学校と質問紙調査を取り上げた今回が最終回。今回の質問紙調査では初めて、特定問題が無解答だった児童生徒に「解答しなかった理由」を尋ねている。「文章で書く問題だったので、解答しようと思わなかった」と答えた割合は、小学校国語では7.1%にとどまっていたが、中学校国語では27.0%に上った。中学校数学についても、「書く分量が多い問題だったので、解答しようと思わなかった」とした生徒の割合が小学校算数の10.7%から大幅に増えて25.2%に達しており、記述式問題を苦手とする傾向が中学校ではより強く表れる結果となっている。

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厚生福祉

【9月20日号】 富を得るだけでなく、徳を積み世のために尽くすべしとする「好富施其徳」は、近江商人の家訓だ。この理念を受け継いだ企業は各地で発展し、今も国の経済を支え、社会に貢献しているという。社会福祉法人京都太陽の園理事の徳川輝尚氏は巻頭言で、日本の福祉の先駆者である石井十次の資料館を訪れ、福祉事業の原点に立ち返った体験をつづり、「理念の継承」がいかに重要であるか説いている。偶然にも、連載「ワンコイン健診の現場から」でケアプロ社長の川添高志氏は、事業拡大に伴って会社のミッションが薄れることを懸念し、100年後にもミッションが継承されるような経営を目指す意気込みを語っている。特別寄稿「震災から2年6カ月の今、伝えたい情報」は、震災後間もない時期には十分に伝えられなかった情報として、労災保険の適用や公的年金との併給について、特定社会保険労務士の本間邦弘氏が解説する。厚生労働省は、特別養護老人ホームの入居条件を厳しくする方針を固めた。新たに入居できる人を要介護3以上の高齢者に絞る方向。入居待ちが多数に上る状況を踏まえ、在宅よりも介護保険給付がかさむ特養は中重度の人に重点化するとした社会保障制度改革国民会議の提言に基づくもので、軽度者の受け皿確保や在宅療養の環境整備が急務となりそうだ(「特養の入居要件厳格化」)。

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税務経理

【9月20日号】 8月に時事通信本社ホールで開催された、地方自治体の税務担当職員向けセミナー「滞納整理のトータルスキル」の内容を紹介する企画記事が始まった。3回連載の予定で、第1回は滞納整理の世界で著名な藤井朗・東京都主税局特別滞納整理担当部長の講演の抜粋。滞納整理のポイントは(1)気付くこと(2)先送りしないこと(3)組織で仕事すること(4)人材育成─で、特に大事なのは職員に「気付かせること」という。滞納者の発生や滞納の問題点に気付けば、考え行動し、滞納を減らしてゆくための進行管理も自ら考えるようになると説く。税務に限らず、いろいろな組織に共通するアドバイスとしても読み応えがある。ただ、今回の要旨は講演の半分足らずの部分で、「全部知りたい方はセミナーか講演会にご参加を」(編集部)。「ぷろふぃる」欄では、総務省自治税務局長に就任した米田耕一郎氏を取り上げた。都道府県民税課長をはじめ自治税務局の3課長を歴任した地方税の第一人者であり、2年後に廃止される予定の自動車取得税に代わる財源補填(ほてん)策や、暫定導入されている地方法人特別税の抜本改革に取り組む。「今は頭の中を整理している段階」と語るが、その手腕に期待がかかる。「私の苦心」は福岡県東福岡県税事務所を紹介。福岡市東部と近隣16市町を管轄する特別滞納整理班(7人、うち女性3人)を置いており、2012年度には市町村から引き受けた滞納総額の約半分に当たる3億800万円を徴収。収入未済額も約2億5000万円縮小させた。こうした成果から、今年度は管内の全市町村から派遣要請を受けており、一層の未済額圧縮を目指すという。「2012年度税収決算見通し」は鹿児島県、神戸市を掲載している。

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金融財政ビジネス

【9月19日号】 「期待が動かすアベノミクス」と題して、金融政策の今後の課題などを分析する記事を載せた。同記事は「安倍政権の経済政策『アベノミクス』の『三本の矢』のうち、成長戦略と財政政策に先駆けて着手された金融緩和の課題は何か。成長戦略が実行に移されるまでの移行期とも言える時期の政策運営を展望する。第2次安倍政権は、参院選の結果を見る限り、国民の信任を得たと評価してよいであろう。しかし、アベノミクスについては、賛否が相半ばしたままである。日銀はインフレ目標を2%と定め、『異次元の金融緩和』に踏み切った。しかし、物価は日銀が監督できるマネーによって直線的に決まるわけではない。インフレ期待とともに、財政に対する期待が変化しなければ、成長につながるマイルドなインフレは実現できない。財政改革なくしてインフレ目標は達成できないのである。この絡み合った糸を、現政権は金融から解きほぐそうとした。今後、財政改革と成長戦略が続くはずだ。前政権が決定した消費増税を日程通り実施することはもちろんだが、長い間潜在的な懸案であったデノミ(通貨呼称単位の変更)も政策選択肢と考えてよい」と解説している。

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