【9月26日号】 「日本の公営企業は、自治体組織の一部に他ならない。だから、自治体カルチャーに染まらざるを得ない。自治体のカルチャーは、生産性も大切だが、それよりも地域住民の幸福であり、救済であり、社会的な安定を優先するカルチャーになる。例えば、交通事業は非常に利用客の少ない路線でも維持しようという意思決定に振れがちになる。(中略)水道事業も、法人化することで、大きく様変わりするかもしれない。海外進出に見合うスペックを見つけることができるようになるだけではなく、地元でも意識が変わっていくように思う。企業団方式が加速するかもしれないし、都道府県内をまたがり、取水する河川ごとの連携が強まるはずである。公営企業は、公的な使命を帯びながらも生産性を追求していかなければいけない。自治体本体とは別のカルチャーの組織で推進していくべきものである」(公営企業というアセットの生かし方(4)・完「社会システムのリ・デザインに向けて」)
【9月24日号】 甲骨文字や金文といった古代文字の研究を通じて、漢字の成り立ちが呪術的な要素と結び付いていたとする「白川文字学」を確立したことで知られる故白川静氏(1910〜2006)。今号では、この白川氏にちなみ、ユニークな漢字教育を実践している教員を表彰する「白川静漢字教育賞」を創設する福井県教育委員会の取り組みをリポートしている。全国の支社局網を使い、地方の教育の動きを伝えるのも本誌の使命。最近では、「求む!へき地学校勤務者」(9月17日号)、「京都市でコミュニティ・スクール研究大会」(同13日号)といった記事も掲載している。
【9月27日号】 小学校教員の1日の勤務は平均11時間半─。日本標準教育研究所が小学校教員の日常的な思いや勤務の実態などを調べた「小学校教師の意識についてのアンケート」の結果をまとめた。このうち、勤務状況についての回答では、平均の学校到着時間は「7時27分」、仕事の終了時間は「18時57分」となり、小学校教員の1日当たりの勤務時間は「11時間30分」に上った。しかも休日出勤の全体平均は、「月に2・2日」。同研究所は、「総務省の調査で正規雇用者の平均労働時間が9時間30分となっていることからも、教師という仕事は比較的勤務時間が長い業種だと分かる」と説明している。
【9月27日号】 特集「多様化する保育所と経営」39回目は、認可保育所経営への株式会社参入をめぐる自治体の対応を点検する。これまで見てきたように、株式会社の参入の程度は自治体によってかなりばらつきがあり、各自治体のスタンスが大きく影響している。「質の低下」を懸念する慎重な自治体、新たに株式会社に門戸を開いた自治体など、それぞれどういった点に留意しているのか見ていく。「インタビュールーム」は、滋賀県にぎわう農村推進室長の奈良田肇さん。琵琶湖の固有種として貴重なニゴロブナの稚魚を水田で育てて湖に戻す「魚のゆりかご水田」の普及を目指している。魚資源の回復という面だけでなく、子どもたちが田んぼに親しみ生態系に興味を持つようになる、生きもの観察会などの交流で地域ににぎわいが生まれるなど、多方面に良い効果を上げているという、注目の取り組みだ。政府の規制改革会議は、来年6月の第2次答申に向けた49の検討項目を決めた。健康・医療分野では、在宅医療・在宅介護の推進、医師・看護師の役割分担の見直し─などの項目について、作業部会で検討する(「対日投資促進策を検討」)。
【9月27日号】 「私の苦心」では、昨年4月から約30年ぶりに徴税部門を担当しているという福井県の税務課納税推進室長が、「まさに隔世の感がある」と述べている。かつての徴収事務は臨戸徴収が中心で、滞納処分では電話加入債権以外の差し押さえは年間数える程度というから、確かに現状との差は大きい。市町村と協力する滞納整理機構を設置しており、2012年度は対象となった13億円強のうち約4億5000万円を徴収したのでなかなかの成果。「理想は、機構が存在しなくても市町において十分な徴収ノウハウを駆使して滞納整理を行うことができる体制」というが、それには「いまだ道半ば」と語っている。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、北海道、仙台市を掲載した。