【9月30日号】 月曜連載の「地域防災最前線」(第26回)は「防災白書を読み解く」の第7回。今回は障害者ら災害時要援護者の避難行動支援をテーマに解説している。内閣府は、災害時要援護者に適切な支援を行うため、地方公共団体で事前に準備を行っておくことが不可欠だとの見解を示し、例えば名簿の作成など、一人一人の障害者についてどのように避難させるのか検討しておくよう求めている。福祉の事情にも精通する筆者は、これに関連して「災害時要援護者に日頃から接しているのは、自治体職員よりも福祉事業者です。それぞれの要援護者の状況を踏まえて、顔の見える関係により、要援護者および家族のニーズを満たす支援計画を作成できるのは、むしろ福祉事業者と思われます。自治体と福祉事業者が連携して、要援護者の個別計画を作成するのが望ましいと考えます」と、行政と福祉事業者の協力関係の重要性を強調する。机上の議論より、まずは現場の実情をしっかりくみ取る必要がありそうだ。
【2014年度予算編成の課題(下)は、急速に進む財政悪化の要因である社会保障費への対応などについて、財務省担当記者が解説する。政府の社会保障制度改革国民会議は、先に医療提供体制の見直しといった政策を提言したが、これらは短期的には削減効果を見込みにくいため、14年度予算編成では「現行制度の洗い直しが中心となる」という。見直しは国民負担に直結する上、日本医師会など関係団体の反発も予想されるだけに、確たる方向を打ち出すには、何よりも政治のリーダーシップが問われることになる。
【10月1日号】 第28回時事通信社「教育奨励賞」(文部科学省後援)の受賞校が9月30日に発表され、今号はその特集号。最高賞に当たる「優秀賞・文部科学大臣賞」のほか、「優秀賞」「特別賞」(各副賞100万円)に選ばれた計3校の実践リポートを掲載している。読解力の育成、国際化教育、ICT(情報通信技術)の活用といった今日的課題にそれぞれ取り組んでいる各校のリポートは、読み応え十分。日本の学校教育の精華にぜひ触れていただきたい。
【10月4日号】 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)をめぐり、静岡県の川勝平太知事が、成績下位の小学校長名を公表する意向を示していた問題は、上位校の校長名の公表で決着する形となった。今号は、地元の担当記者がその背景に迫った「『下位校長名』公表めぐり混乱」を掲載したほか、連載「教育法規あらかると」では、法的観点から検討。また、匿名コラム「ラウンジ」でもこの問題を扱うなど、さながら「静岡学テ問題特集号」となっている。
【10月1日号】 政府の社会保障制度改革国民会議が8月6日、安倍晋三首相に報告書を手渡した。社会保障の全体像を示し、あるべき方向性を提言したもので、今後これに沿って政策が進められることになる。亀田総合病院副院長の小松秀樹氏は地域医療を担う立場から、報告書を読み解き、問題点を指摘している(オピニオン「社会保障制度改革国民会議報告書を読む (1)総論部分」)。「インタビュールーム」は、秋田県がん患者団体連絡協議会きぼうの虹代表の三浦惠子さん。患者や家族が自由に話してもらう「がんサロン」を定期的に開催しており、不安や悩みを抱え込まずに話してほしいと訴えている。徳洲会グループに、公選法違反容疑で東京地検特捜部の捜査が入った。地域でも重要な役割を果たしている国内最大の医療グループにおける事件は、波紋を広げそうだ(「徳洲会東京本部を家宅捜索」)。9月前期の「社説拝見」は、婚外子相続差別訴訟の違憲判断や、カネボウ化粧品の白斑問題などをめぐる各紙の論調を取り上げた。
【10月4日号】 児童虐待防止を訴え、宮崎県の職を辞して日本一周マラソンに出た男性がいる。NPO法人「子ども虐待防止みやざきの会」会長の甲斐英幸さん(57)。夏に訪れた山形県での勉強会を中心に、チャレンジの経緯やその思いを伝える。12月にゴールする予定だ。(「『子ども最優先社会』の実現を」)。特集「多様化する保育所と経営」40回目は、「上場企業の営業戦略、リスク認識を探る」と題して、保育事業を営む上場企業2社、JPホールディングスとサクセスホールディングスにスポットを当てる。両社の取り組みや、収益の状況などを、有価証券報告書を基に点検した。「インタビュールーム」は、埼玉県福祉部長の鈴木豊彦氏。幼少時から成人まで、発達障害者への総合的な支援体制の構築に取り組んでいる。
【10月1日号】 巻頭言「フォーラム」では、片山善博慶大教授が今回の消費税増税について「いまだ多くの国民が疑問を抱いている」と指摘、「その一つは、増税に見合う社会保障の充実がないというものだ」と切り込んでいる。増税分はすべて社会保障に使うと断言しながら、巡り巡って財政再建や国土強靭(きょうじん)化関連費に充てられるのでは「子供だましで屁(へ)理屈にもならない」とバッサリ。もう一点、「政府や国会に、財政を再建しなければならないという切実さが感じられない」ことも突いており、増税の背景について立ち止まって考えてしまう。特集は「主要省庁別に見た2014年度税制改正要望」で、初回分として総務省、農水省を掲載(3回連載)。8月に開催した滞納整理セミナーの概要を報告する企画の最終回は、前橋市の元税務担当参事の講演要旨。収納担当部門で滞納整理に取り組む組織文化を形成し、定着させなければ、人事異動を経てノウハウが途絶えてしまう。「マネジメントが重要だ。マネジメントとはその時代、状況に合わせた組織改革、職員の力を十分に発揮させられる組織づくりにある」と力説しており、それは「私の苦心」欄の北海道帯広市の取り組みとも共通しているようだ。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、兵庫県、福岡県を掲載。
【10月4日号】 「私の苦心」は、川崎市みぞのくち市税事務所を紹介。納税課長が入庁時の1975年に徴収部門に配属されたころの1年の事務スケジュールを振り返っているのが興味深い。督促状発付を経て、秋に滞納処分執行の可能性を伝える「最後通知」の封書送付、年末には出張調査に乗り出し、2月から電話加入権を中心に差し押さえの実施─という流れだったという。現在は滞納管理オンラインシステムが稼働し、預金や債権の差し押さえ、インターネット公売などで効率的な滞納整理を行っており、「隔世の感を抱かざるを得ません」と語る。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、石川県、相模原市を掲載した。
【9月30日号】 「米国株の先行きにやや警戒が必要」と題して、1株当たり利益の動きを手掛かりに米株式市場の今後の展開を占う記事を載せた。同記事は「リーマン・ショック前の高値を更新した米国の株価は、その後も高値圏で上下動している。2014年にかけて米国の実体経済面では改善基調が継続すると予想しているが、一方で1株当たり利益(EPS)は12年から頭打ちが続いており、現在の株価は14年の企業利益の大幅な改善を織り込んだ水準まで既に上がってしまっている。多少の不確実性が増せば株価が反落する脆弱(ぜいじゃく)性が高まっている、と判断した方がよいだろう」と分析している。
【10月3日号】 「米小売業界はオムニチャネル時代へ」と題して、米国で展開しているモバイルショッピングの最新事情を解説した記事を掲載した。同記事は「米国の小売業界が、『実際に商品を陳列した店舗のショールーム化』を懸念するようになって久しい。店員から説明を受けて購入商品を決めるが、実際の購入先はインターネット上の安価な店という消費者の選択が背景にある。米国ではこうした消費者行動をサポートするさまざまなサービスがモバイル端末向けに展開されている。そうした流れが続けば続くほど、リアル店舗を持つ小売業が発展する余地は小さくなると誰でも思うだろう。まさに『リアル店舗のショールーム化』である。しかし、現実はそうではない。いわゆる『オムニチャネル』を通じ、新たな胎動が始まっている」と述べ、米国最前線の状況を報告している。