【10月7日号】 「ここでは、市町村の条例や個人情報保護審議会の承認などの根拠をもって、本人の同意を省略して平常時から支援者に情報提供することが可能であると述べています。実際には、個人情報に関する住民の意識が敏感になってきているため、要援護者本人の同意なしで近隣住民に情報を渡すことに、要援護者の抵抗が強いと思います。私の経験では、民生委員が高齢者を訪問する事業をする際に、高齢者からどうして個人情報を民生委員に伝えるのかという苦情が再三ありました。法に根拠を持ち、長い活動歴を有する民生委員でさえ、このように見られるのですから、条例等の根拠があるからといって近隣住民に個人情報を提供するのは、現場感覚では相当に厳しいと感じます」(地域防災最前線_「防災白書を読み解く8=避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針2 要援護者名簿の作成等」)
【10月10日号】 「乗車人数は1990年の281万人がピークで、この年以降は新線開通で路線キロが延長されても、乗客の減少は止まらなかった。(中略)今のまま何もしないでいると、ジリ貧に陥り、最悪の場合は『第2の国鉄化』する恐れがある。なお、大阪市営地下鉄は、経営母体こそ大阪市だが、乗客の80%は大阪市以外に住む人たちである。従って、地下鉄事業の将来戦略を大阪市役所が単独で描くのは現実的ではない。大阪全体の都市としての成長戦略や府域さらには関西全体の広域的な利用者の利便性、そして都市計画や都市経営の視点からも地下鉄事業のあるべき姿を考える必要がある。今回の府市統合は、市域の枠を超えた業態転換のチャンスでもある。今回の民営化はそういう意味では、広域化(脱大阪市域化)という意味合いをも帯びている」(大阪の地下鉄・市バスの民営化(1)「なぜ、大阪市営地下鉄は民営化すべきか」)
【10月8日号】 若者が悪ふざけした写真をインターネット上に投稿し、アルバイト先の店舗が閉鎖に追い込まれるなどの問題が続出している。専門家によると、背景には普及するスマートフォンの特性も影響しており、情報モラル教育の徹底だけでは必ずしも防げないという。その特性とは、画面をたたく「タップ」一つで操作ができること。「ウケる」写真を早く仲間に見せたいと瞬時に送信してしまいがちになり、たとえ情報モラルを知識として知っていても、それを振り返るいとまがないのだという。それでは、どうしたらいいのか。詳しくは「情報モラルだけでは防げない?〜『問題投稿』で専門家指摘」をお読みいただきたい。
【10月11日号】 深刻さを増す学校でのいじめ問題。福岡市では、いじめ撲滅を目指し、子どもら自身が議論し提言する「いじめゼロサミット」が開催された。福岡市立の全小中学校の児童生徒代表ら約1000人が参加。パネルディスカッションで活発に議論し、「一人ひとりのちがいを認め合い 互いに尊重し合います」など4項目の「福岡市いじめゼロ宣言」を採択した。この催しの特徴は、子どもが主体的に企画、運営、パネルディスカッション、創作劇などに参画したこと。さらには、全市立中学校が、児童会や学年、学級ごとに、いじめゼロ宣言案づくりに関わり、計721案が寄せられるなど、市全体の子どもらを巻き込んだ取り組みとなった。
【10月8日号】 亀田総合病院副院長の小松秀樹氏による「社会保障制度改革国民会議報告書を読む」2回目は、少子化対策に焦点を当てる。報告書の方向性をおおむね妥当だとしながらも、学校教育法に基づく幼稚園が、育児支援として保育所と同様に求められているわけではないとし、安易な幼保一元化の動きに警鐘を鳴らしている。政府は、来年4月に消費税を5%から8%に引き上げることを正式に決定した。社会保障の財源確保が目的だが、特に低所得者層や中小企業に対するダメージは大きいことが予想され、課題は多い(「消費税、来年4月から8%」)。高血圧薬「ディオバン」の臨床研究データが操作されていた問題で、厚生労働省の有識者検討会は、同社の宣伝が薬事法違反の誇大広告に当たる可能性があると指摘する中間報告案をまとめた。研究に協力した元社員は、データ操作を否定しつつも、会社業務と認識していた。任意の調査には限界があり、臨床研究への信頼を取り戻すためにも徹底した事実解明が求められる(特集「高血圧薬不正 元製薬社員『会社業務と認識』」)。
【10月11日号】 東京医療保健大学東が丘看護学部の山西文子氏が巻頭言「敬老の日」で紹介するのは、102歳の俳人、金原まさ子さん。敬老の日にテレビにゲスト出演していた金原さんの好奇心旺盛、元気いっぱいな生き方に衝撃を受け、将来に夢を持って楽しく生きている先輩は高齢社会のモデルになるとしている。特集「多様化する保育所と経営」41回目は、企業の財務諸表の内容や社会福祉法人との違い、サービス業の情報開示の問題などに焦点を当てる。グループ企業の連結決算では売上原価の内訳など詳細な開示義務がなく、親会社の個別決算では開示対象となるものの、親会社が実際の事業活動を行わない「持ち株会社」の場合は開示されても中身がないためグループの決算内容が読み取りにくいという問題を指摘している。「地域を支える」は、乳がん体験者コーディネーターグループ「Cava!〜さいたまBEC〜」。乳がん体験者3人が、患者や家族らが気軽に集まって悩みなどを自由に話せる場所を、と立ち上げた。あえてNPOや患者会のような組織化をせず、身近で小さな活動をコツコツと積み重ねている。
【10月8日号】 政府は、消費税率を現行法の規定通り2014年4月から8%に引き上げることを1日夕、閣議決定した。その経緯と5兆円規模の経済対策策定に関する記事を8日号と11日号に分けて掲載している。「私の苦心」欄は、冬に流氷が接岸する北海道紋別市を紹介。税務課長は自らの業務について「徴税吏員の権限と国税徴収法や地方税法が後ろ盾となり、業務を遂行するに当たっては大変やりやすい」としながらも、実際には「脅しとも取れるような暴言を浴びせられることがあります」「徴収を担当する職員が抱えるストレスは計り知れない」と嘆く。そうした中でもあれこれ手を尽くし、昨年度は収納率の4.6%改善を実現。「納税環境、職場環境がそろえば後は、やる気次第です」と訴えたくなる気持ちは、分かる。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は浜松市、北九州市を掲載。
【10月11日号】 消費増税に関する一連の記事の中で、「解説」は読み応えがある。安倍首相が狙った復興特別法人税の前倒し廃止は経済対策に盛り込まれたが、こだわっていた法人税の実効税率引き下げはややあいまいな表現になった。公明党幹部は「前提条件がいっぱいあるから、要するにやらないということだ」とけん制する。一方、15年10月に予定される消費税10%への引き上げには、16年の衆院議員任期満了、参院選などの政治日程が控えていることから、自民党幹部は「選挙も近くなり、10%はやめるべきだという人が相次ぐだろう」と予測する。今後の展開は、政治の思惑を見極めることが一層重要になる。「私の苦心」は、山形県庄内総合支所を紹介。定年を目前に控えた納税主幹が、税務職場通算20年を振り返りながら、管内の現年度収納率が99.9%になったことと、12年度末の収入未済額が14年ぶりにマイナスとなったことを誇る。「幸い当地域には、自治大学の研修受講経験者が年代別に育っており、安心して後進に道を譲ることができます」と満足げだ。「2012年度税収決算見通し」は山口県、香川県を掲載した。
【10月7日号】 「知財の国際ルールはどう変わるのか」と題して、環太平洋連携協定(TPP)交渉で議論されている知的財産に関する記事を載せた。同記事は「本年7月、日本はTPP交渉に参加し、その動向は国民からも非常に注目されている。関税撤廃による貿易の自由化に伴う輸出拡大や、グローバル化の促進による国内総生産(GDP)増加などが期待されている一方で、国内農業へのダメージや食の安全に関する危惧、国民皆保険制度に対する圧迫といった多くの懸念事項が指摘されている。TPPの対象には知的財産分野も含まれており、日本の産業や文化に大きな影響を与える可能性があるが、知的財産権関連条項についての詳しい内容や交渉状況はあまり報道されていないのが実態だ。経済活動のグローバル化が急激に進展し、企業活動も世界規模での競争にさらされる状況になっている。一方で、特許をはじめとする知財権は、原則として各国の独自の法体系・法制度に基づいており、国際的な協調と調和の必要性から知財の国際ルールを策定すべく、歴史的にさまざまな取り組みがなされてきた。本稿では、わが国の知財政策の変遷を大まかに振り返るとともに、知財の国際ルールに関する歴史的背景を踏まえながら、TPPの動向について考察したい」と述べている。
【10月10日号】 「黒田日銀『異次元緩和』の評価」と題して、日銀が打ち出した「異次元緩和」についての識者インタビューを載せた。同記事は「今年3月に就任した黒田東彦総裁の下、日銀が4月4日に『異次元緩和』を導入してから半年が経過した。日本の景気は着実に回復の道筋をたどりつつあり、これまでのところは順風満帆とも言える」と前置きした上で「その評価や今後の課題について、安倍政権の経済政策『アベノミクス』の仕掛け人の一人である自民党の山本幸三衆院議員と、緩和効果に懐疑的な立場の河野龍太郎BNPパリバ証券チーフエコノミストに聞いた」と続けている。