【10月17日号】 「今は市役所直営の公営企業なので資材の調達方法にもかなりの制約がある。例えば一般競争入札制度に縛られ、同じ設備を複数のメーカーから調達しなければならない。その結果、駅の自動改札機には、いろいろなメーカーの機器が使われ、業界内では皮肉交じりに『ショーウインドー』とすらいわれている。いろいろなメーカーの機材があると、メンテナンスに余計なコストが掛かり非効率だ。私鉄の場合は効率性を考え、1〜2社のメーカーに絞っている。民営化すれば普通の契約手法に変えることができる。それだけで年間2億円あまりのコスト削減ができる」(大阪の地下鉄・市バスの民営化(2)「民営化すれば運賃の値下げが可能に=公営であるが故のコストは甚大」)
【10月15日号】 「どのような教員人生を送るのか、主体的に考えてほしい」。こんな願いを込め、小中学校教員の目標となる将来像や、そこに至るまでに必要な研修内容などを示した専門冊子の作成に岐阜県教育委員会が取り組んでいる。最大の特徴は、教員人生の最終目標を管理職に限定していない点。今年7月に教員に試作版を配布してアンケートを行ったところ、「出世していく人の話ばかり」といった意見が出たため、非管理職のモデルケースを重点的に取り上げるのだという。「生涯一担任」「生徒指導のスペシャリスト」といったケースが候補に上がっているそうで、他地域の学校関係者からも注目を集めそうだ。
【10月18日号】 東日本大震災から2年半余りが経過した。ただでさえ医療資源の不足していた沿岸部は津波などで大きな打撃を受け、医療提供体制をどう再構築するのかが大きな課題となっている。応援を続けるボランティア医師の奮闘など、「今」の現地の状況を伝える(特集「東日本大震災 沿岸被災地、戻らぬ医療」)。都市部の高齢化対策を議論する厚生労働省の検討会が報告書をまとめた。地方に特別養護老人ホームを整備して都市部からの高齢者を受け入れる動きが出ていることについて「慎重に検討すべきだ」とけん制し、都会ならではの強みを生かして地域包括ケアの体制を整えるべきだと提言している(報告書「移住型介護施設『慎重に検討を』」)。9月後期の「社説拝見」は、高齢者医療や地方移住型特養、「限定正社員」ルールなどをめぐる各紙の論調を紹介した。
【10月18日号】 解説コーナーでは、9月に都内で開かれた資産評価政策学会の年次総会の模様を、武田公夫明海大名誉教授がリポートした。土地取引を証券化する不動産投資信託(Jリート)の普及・拡大に伴い、不動産市場の国際化が進みつつある。そこで問題になるのが適正な価格評価だ。基準地価など公定4指標という目安があるものの、現場では「ヤマ勘」で決まることも多いという。学会は、その土地が将来生み出すと見込まれる純収益を求める収益還元法を提唱。同手法に基づく不動産鑑定評価が価格設定の主流となれば、不動産取引はより客観的となり市場が活性化されると予測する。「私の苦心」欄は、全国第2位の面積を持つ浜松市を紹介。市域が広いだけに当初は各区に課税部門を配置していたが、2012年秋から本庁に集約。徴収事務も「収納対策課」に一本化したことにより、12年度の現年度分収納率は98.85%と過去最高に高まり、収入未済額も目標より10億円多く削減できたという。ただ、滞納分の収納率は政令市平均を下回っており、取り組み強化へ意気込む。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、青森県、福井県、静岡市、京都市を掲載している。
【10月17日号】 「正しい消費増税とは何か?」と題して、経済再生と財政健全化の両立に向けた取り組みに関する記事を載せた。同記事は「安倍内閣は、『経済財政運営と改革の基本方針』と題するいわゆる『骨太の方針』を今年6月に閣議決定し、『経済再生と財政健全化の両立に向けた取り組みの下で、国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)について、2015年度までに10年度に比べ赤字の対GDP(国内総生産)比の半減、20年度までに黒字化、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを目指す』としている。すなわち、財政健全化の目標は、15年度、20年度、その後の3段階で設定されている。
【しかし、これらの目標の達成が見通されているとは到底言えない。10年代半ばでの10%までの消費税率引き上げについて依然として異論があるだけでなく、その後の道筋は非常に不透明だ。本稿では、財政健全化の前に横たわる難題について議論したい」と述べている。