早読み行政誌

大企業ほど低い給与(2013年10月21日〜25日号)

地方行政

【10月21日号】 「東日本大震災の発生後、多くの自治体は被災が大きく、要援護者の安否確認、支援が十分にできない状況でした。全国的な障害者団体が障害者の安否確認等を行うために要援護者名簿の提供を自治体に依頼しても、個人情報の外部提供はできないという理由でほとんど拒否されたという事例があります。そこで(指針では)、安否確認を外部に委託する際には、個人情報の保護に努めることと、事前に協定などを締結しておき、災害時に迅速に要援護者名簿を提供できるように準備しておくことの重要性が述べられています。私がヒアリングしたいくつかの自治体では、要援護者の安否確認等を実施する協定をこのような団体と事前に締結していたら、恐らくは要援護者名簿を団体に提供したであろうとのことでした。私は各市町村が、要援護者に関する多数の全国的団体と個別に協定を締結するよりも、そのような意思のある団体を国などが一覧で示すことで協定締結を支援するのがよいのではないかと考えています。これは、市町村および団体の事務負担を軽減するためにも有効です」(地域防災最前線_「防災白書を読み解く9=避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針3 避難行動要援護者名簿の活用」)

【10月24日号】 「経済産業省の中小企業支援が大きく変わろうとしている。中小企業の中でも、特に従業員や資本金が少ない小規模企業向け施策を重視する。その一環として、2014年度から、民間のノウハウを活用した独自の経営支援を実践する静岡県富士市をモデルとした、新たな支援体制を全国展開する。小規模企業支援を明確にするため、基本法の制定にも乗り出した。きめ細かな支援は地域に根付くのか。カギを握る現場を探った」(特集「変わる中小企業施策=『小規模』事業者重視に転換─民間の知恵生かし経営支援・経産省」)

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内外教育

【10月22日号】 文部科学省の有識者会議が、「いじめ防止対策推進法」に基づいて具体的ないじめ防止策や発生時の対応などを定める、国の「いじめの防止等のための基本的な方針」を取りまとめた。同法は、この国の基本方針を参考に「地方いじめ防止基本方針」を定める努力義務を自治体に課したほか、各学校には、国や自治体の基本方針を参考に「学校いじめ防止基本方針」の策定を義務付けている。今号では、この国の基本方針について詳報した。

【10月25日号】 日本教育社会学会第65回大会が埼玉大学で開かれ、本誌では3回シリーズで取り上げている。2回目となる今回は、課題研究「教育社会学は『いじめ』問題にいかに貢献しうるか?」。伊藤茂樹駒澤大学教授によると、教育社会学は1980年代以来、報道を契機に社会問題化が繰り返されるいじめ問題に向き合ってきた。現在の「社会問題化第4期」に当たり、改めて社会の期待にどう応えるか、真摯(しんし)な討論が繰り広げられた。

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厚生福祉

【10月22日号】 特集「多様化する保育所と経営」42回目は、保育事業を手掛ける上場企業の人件費や、民間企業の保育士全体の給与水準にスポットを当てる。保育士の給与は一般企業とは逆に大企業ほど低い傾向があり、介護職員より高く幼稚園教諭より低い水準のようだ。「進言」は北海学園大学の川村雅則准教授。公務員は正職員での採用を前提としており、非正規公務員は本来、臨時的・緊急的な場合に限られる。にもかかわらず、いまや民間並みに公務員の3分の1は非正規だそうだ。非正規の労働条件は民間よりも低く、提供するサービスの質の低下も懸念されると、問題を提示している。岩手県は東日本大震災を教訓に、大規模災害時に要援護者の支援を行う「災害派遣福祉チーム」を創設する。社会福祉士、介護福祉士らからなる4〜6人のチームで、災害初期の数日間、福祉ニーズの把握や要援護者のスクリーニングなど、中長期的な支援への橋渡し役を担う。他の自治体にも参考になりそうだ(「『災害派遣福祉チーム』創設へ」)。「ワンコイン健診の現場から」は、大学を休学してケアプロでのインターンに臨む学生たちの話。インターン経験は、彼らの就職、さらには理想の自分を創っていく旅にプラスになるのだろう。

【10月25日号】 新シリーズ「医療・介護業が知っておきたい最新トラブル情報」が今号からスタートした。社会保険労務士の本間邦弘氏が、実際の事例を交えつつ、最新の労務のポイントを解説していく。1回目は「『ブラック企業』と言われないために その1・採用時のポイント」。労働条件を書面で通知することや、試用期間を設定することの重要性などを挙げる。「インタビュールーム」は、和歌山県男女共同参画センター所長の上西令子さん。性暴力被害者に対し、医療、カウンセリング、法律相談などの支援をワンストップで提供できる体制づくりに取り組んでいる。認知度の向上や、センターから遠い県南部の支援体制などが課題だそうだ。10月前期の「社説拝見」は「温暖化防止にどう取り組むか」と題し、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」作業部会の報告書や、熊本市での「水銀に関する水俣条約」採択、10人が死亡した福岡の医院火災などをめぐる各紙の論調を紹介する。

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税務経理

【10月22日号】 「直言苦言」のコーナーでY氏が、地方税の徴収対策の一環として広まっている民間事業者の徴収委託について苦言を呈している。2007年の総務省局長通知をきっかけに導入が加速したものの、納税者から見れば「どんなにもがいても税務当局据え付けの税収納台帳を見なければ全く分からない」はずの個人の滞納という事実を、税務職員が第三者に漏らしたと映る。地方税法でもわざわざ徴収事務従事者の守秘義務を明記しているのに、「なぜ緩やかな解釈を行っているのか、大いに疑問が残る」と書く。民間委託の催告・徴収事務は、頭から否定できないだろうが、運用は厳重になされるべきだろう。「私の苦心」欄は、和歌山県の和歌山県税事務所を紹介。県では徴収率を03年の全国33位から12年に11位に引き上げており、その背景となった手法を説明する。気になったのは10年度から始めた「確定滞納金の調定」。あまり聞かない用語だが、確定滞納金とは本来の税の滞納分を納めた時点ではっきりする延滞金の総額。「延滞金もないがしろにしない意識を税務職員に植え付けることで、早期滞納整理を促す効果をもたらしている」という点には納得する。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、宮城県、千葉市を掲載した。

【10月25日号】 「直言苦言」では「正」氏が、婚外子(非嫡出子)の相続を2分の1とする民法のただし書き規定を違憲とした先の最高裁決定に疑問を投げ掛けている。決定に対しては賛否両論が起きており、「問われているのは、総じて法律婚を前提にした社会制度の中であえて婚外子を出産した父と母のモラル」と指摘。婚外子に罪がないのは確かだが、「結果が良ければ原因は不問」でいいのか、と書く。婚外子は11年の全出産数の2.2%を占め、12年末で婚外子をめぐる遺産分割係争案件は全国の家裁で176件あるという。当然、司法手続きによらずに決着させた件数がはるかに多くあるはずで、今後も「両親を恨む不幸な争いが繰り広げられる」だろうと問題提起している。「私の苦心」欄は、長野市の収納課特別滞納整理室を紹介。市では集中して処理すべき滞納案件200〜300件をリスト化して課内で公開。班ごとの月別徴収実績も可視化し、3カ月ごとに徴収率上位3者を表彰するなどで競わせている。「疎まれ、嫌われ役」を自認する管理職の苦労が伝わってくる。「2012年度税収決算見通し」は、高知県、宮崎県を掲載している。

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金融財政ビジネス

【10月21日号】 「経済再生と財政再建の両立が重要」と題して、日本経済が持続的な成長軌道へ回帰できるかどうかを解説した記事を載せた。同記事は「安倍晋三首相は10月1日、消費税率を来年4月に8%へ引き上げることを最終的に決断するとともに、景気への影響を抑えるために5兆円規模の経済対策を講じることを発表した。これにより1997年以来17年ぶりの消費税率引き上げが実施されることになったが、ここに至る経過は、経済の再生と財政の再建をどのように両立させていくのかというわが国が抱える政策課題の難しさを映し出すものとなった。昨年9月26日に安倍氏が自民党の総裁に返り咲いてから約1年。この間に、日本経済の風景は大きく変わったといえよう。その意味で安倍政権の経済政策『アベノミクス』の効果は大きかった。しかし、日本経済が持続的な成長軌道へと回帰できるか、真価が問われるのはこれからである。また、経済・社会の中長期的な安定のためには財政の立て直しも進めていかなければならず、来年4月の消費税率引き上げはその第一歩にすぎない。本稿では、今後の『日本再生』に向けて、経済の活性化と財政の健全化をいかに両立させていくのかについて展望していきたい」と述べている。

【10月24日号】 「雇用改革に乗り出す安倍政権」と題して、安倍内閣が取り組む改革の課題を解説した記事を掲載した。同記事は「1990年代後半以降、安定した雇用機会が縮小する一方、非正社員の拡大や育児期における女性の離職、失業の長期化傾向などの問題が噴出している。背景には、国際競争の激化やデフレによる国内市場の停滞、公共投資の削減などの環境変化、さらには仕事をしながら育児や介護を行う勤労世代の増加により生じた従来型の正社員の働き方の行き詰まりなどがある。雇用をめぐる諸問題は、将来の労働力の確保や労働生産性の伸びの抑制などを通じて、日本経済の成長基盤をも揺るがしつつある。こうした状況のなか、安倍政権は雇用改革を成長戦略の一環として位置付けており、今年6月14日に閣議決定した成長戦略『日本再興戦略』において、正社員の働き方の多様化や労働移動の促進、女性の就業推進、賃金引き上げの実現などの方針を打ち出した。安倍政権が掲げる改革は雇用問題の克服にむけた一歩となる可能性がある一方で、課題も少なくない。特に同政権が目指す『失業なき労働移動の実現』には、企業や職種、産業を超えて労働移動を支える現役世代向け社会保障の充実が不可欠だ」と指摘している。

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