早読み行政誌

右傾化でなく反中化(2013年10月28日〜11月1日号)

地方行政

【10月28日号】 「要援護者支援に積極的に取り組んでいる地域は、地域リーダーが非常に熱心で、コミュニティー活動が活発な印象を受けます。要援護者の避難支援は、簡単に言うと、支援者が要援護者を安全に避難させる仕組みをつくることです。コミュニティーがしっかりしていれば容易にできますが、都市部などでコミュニティー活動が低調であれば、市町村、社会福祉協議会、福祉事業者などの機関が組織的に対応する必要性が増大します」(地域防災最前線_「防災白書を読み解く10=避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針4 さらに取り組むべき事項」)

【10月31日号】 「バス事業は、この数十年ずっと赤字を計上してきた。バス事業の民営化では、まず運営主体を地下鉄事業から切り離す。その上で民間への一部路線の経営譲渡や委託を進める。つまりバスの民営化は現在の事業体の維持を前提としない。バスの赤字の一つの構造的要因は、地下鉄事業とバス事業を運営する交通局が、バス事業の赤字を地下鉄の黒字で補填(ほてん)してきたことにある。企業の場合、他の事業部が黒だからうちの事業部は赤でもいいといった理屈はあり得ない。しかし、かつての市バス路線を地下鉄に転換した、地下鉄とバスは一体のネットワークといった理屈に沿って、赤字の補填が正当化されてきた。民営化の目的は、こうした甘えを断ち切ることにある」(大阪の地下鉄・市バスの民営化(3)・完「なぜ大阪市営バス事業は民営化すべきか」)

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内外教育

【10月29日号】 日本教育社会学会(会長・加野芳正香川大学教授)第65回大会シリーズの最終回は、研究発表の中から、地域における高校の役割と、被保護世帯の子どもの進路についての研究2本を紹介。このうち前者では、青山学院大学の樋田大二郎教授が、「地域人材育成の教育社会学(1)─過疎地の活性化に果たす高校教育の役割」と題した発表で、生徒減から高校の統廃合が進められる中、地域の高校で地域人材を育成し活性化を図る可能性を探っている。詳しくは本誌で。

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厚生福祉

【10月29日号】 うつ病患者が増えている。病院に行くと薬を処方されることになるが、良質な睡眠を十分取るといった療養指導で改善する例が少なからずあり、重症で薬物療法が効かないとされた患者が、睡眠に悪影響を与える薬を減らしたところうつ症状が改善したそうだ。まず生活リズムを整え十分な睡眠を確保する療養指導から─。佛教大学看護学科の吉浜文洋教授が、巻頭言「生活習慣病としてのうつ病」で薬物療法偏重からの脱却を説いている。特集「多様化する保育所と経営」43回目は、税金にスポットを当てる。社会福祉法人が税制上優遇されているのはよく知られた話だが、実際のところ、保育事業を営む企業と社会福祉法人にはどのような税がかかり、どのような差異があるのか、具体例を挙げつつ検証する。「地域を支える」は長崎市のフリースクール「ドリームカムホーム」。不登校の子どもたちの学習を支援しつつ、将来の社会生活を考慮し、通信制の学校に行かせるのではなく最終的に元の学校に戻れるようにすることを目指している。タイでのボランティア活動が子どもたちに良い影響を与えているそうだ。

【11月1日号】 巻頭言は三輪宏子氏の「ホスピタリティとサービス、そしておもてなし」。英国で目にした素晴らしいホスピタリティ(無償の奉仕)精神、それとは裏腹に首をかしげたくなるようなサービス(有償の奉仕)、そしてどちらにも定義できない、気配りという奥深さを伴う日本ならではの「おもてなし」との位置付けで、興味深い。シリーズ「医療・介護業が知っておきたい最新トラブル情報」2回目は、「ブラック企業と言われないために」第2弾として、労災保険や社会保険をめぐる諸問題を取り上げる。人の入れ替わりが激しい介護業では、社会保険の加入対象である従業員を加入させないこともあるが、重いペナルティーが科される場合もあり、注意が必要だ。「インタビュールーム」は、医療機関として初めて特別養子縁組あっせんに参入した福田病院(熊本市)の福田稠理事長。業者が高い寄付金を受け取ってあっせんする例があることを問題視し、医療だけでなく経済的・社会的・家庭的問題も含めて女性の人生を支える病院が行うのがよいとしている。

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税務経理

【11月1日号】 今回は給与に関する記事を集めて掲載した。一つは「ニュース詳報」で、先に全国から出そろった都道府県と政令市の人事委員会勧告・報告をまとめた。国家公務員給与に対して人事院が勧告を見送ったこともあり、41道府県と16政令市が月給を据え置くなど動きは地味。併せて、東日本大震災の復興支援財源捻出のため国が実施した給与削減に準じる形で、地方自治体も73.3%が給与抑制を実施ないし交渉中という総務省の調査結果も載せた。もう一つは、国税庁の「2012年度分民間給与の実態調査結果」の概要を紹介する記事と資料。年間給与の平均は408万円と、わずかながら2年連続のマイナス。今回初めて正規、非正規に分けて調査しており、平均給与は正規467万円、非正規168万円。これは2.8倍で、改めて格差を感じるところだ。「私の苦心」は鳥取県米子市を紹介。悪質な滞納者に差し押さえを実施するとき、預金など換価しやすい債権がない場合は不動産を差し押さえる。しかし換価困難な不動産が、処分できないままの塩漬け債権になってはいけないので、塩漬け債権や相続の絡む難しい案件と公売を担当する係を11年度から設置しているという。12年度の収納率が近年で最も良い数値だったことで、こうした苦労も報われそうだ。

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金融財政ビジネス

【10月28日号】 「中国メディアが日本に抱く誤解」と題して、中国の新聞記者が日本に対して持つ誤解とその背景を解説した記事を載せた。同記事は「政経不可分を旨とする中国はごく最近まで、『日本経済は中国に大きく依存しているので、そのうち中国に妥協せざるを得なくなるだろう』と予想していた。しかし中国は、経済カードが日本にあまり効かないことに少し焦りを覚え始めている。筆者は今年7月ごろから、中国メディアによる取材の機会が増えた。彼らは日本経済が今どういう状態にあり、日本政府がこれから何をしようとしているのかを探り始めているようだ。中国メディアからよく聞かれる質問として、(1)日本企業の中国市場での苦戦の打開策(2)日本の右傾化の理由(3)日本メディアの反中報道(4)日本企業の中国企業に対するアレルギー(5)日本経済衰退の行く末─の五つがある。筆者はこれに対し、『日本企業の業績が回復しつつある』『日本は右傾化でなく反中化している』『中国側にも反日報道が多い』『中国企業のグローバル化経験が不足している』『日本経済における長期的な富の蓄積』などと説明している。中国人記者は『世界には違う意見や価値観を持つ人がいる』ことを理解できない欠点があるが、われわれも世界の人々の多様な価値観を尊重することを心掛けるべきだろう」と述べている。

【10月31日号】 「今回の経済対策は不必要」と題して、消費税率の引き上げに伴い政府が打ち出した5兆円規模の経済対策についての記事を掲載した。同記事は「安倍晋三首相は10月1日の記者会見で『経済再生と財政健全化は両立し得る』と述べた上で、(1)現行5%の消費税率を2014年4月から8%に引き上げる(2)12月に5兆円規模の経済対策を決定する─ことを明らかにした。そして、同日の閣議で『消費税率および地方消費税率の引き上げとそれに伴う対応について』を決定し、公共事業の増加や低所得者・住宅購入者への現金給付、復興特別法人税の1年前倒し廃止検討などの措置が決定された。本稿では、こうして打ち出された消費税率の引き上げに伴う5兆円規模の経済対策をどう評価するかについて考える」と述べている。

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