早読み行政誌

コメの値段(2013年11月5日〜8日号)

地方行政

【11月7日号】 「デトロイトの破産は一夜に起きたわけではなく、長い時間がたって起きた。十分測定可能な状況があり、そういう兆候はあった。(中略)20年もかかって破産となったが、債券市場では『この市は継続することはできない』と(いわれていた)。デトロイト市に特徴的なもの、(州、市関係者は)市を支えている経済に目を転じてなかった。(中略)政府のセーフガードは破産法にも組み入れていたが、州、市でうまく機能しなかったのは、制度が失敗であったということも考えないといけない」(特集「早大公共経営院シンポジウム=専門家により効率的な公共経営を」)

【「農林水産省のデータでコメの消費量の推移(国民1人1年当たり)を見ると、ピークは118.3キロの1962年度。65年度の111.7キロから2012年度では56.3キロと、約半分となっている。食生活の変化、食べ物の多様化、そして高齢化と人口減で、ますます消費量は減っていくこととなる。よくコメを売りたいと相談を受けるのだが、そもそも消費者の購入量が少ないのだから、販売単位は、せいぜい5キロまでだろう。消費者に直接販売するのであれば、単位を小さくすることが必要だ。値段は、直売所での価格より少々高くなっても、都市の消費者にとっては、一般の価格ということになる。消費者は、生産者段階でコメがいくらで売買されているのか、ほとんど知らない。(中略)農業を守ろうとか、農業は大切だとか言う人でも、意外に、都会に住んでいると、コメの値段を知らない人は多い」(続・地域力と地域創造(18)「コメの消費を考える」)

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内外教育

【11月5日号】 中央教育審議会の教育制度分科会が、教育委員会制度の改革に関する中間報告をまとめた。教育行政の最終的な権限を、現在の教委から首長に移す「A案」と、引き続き教育委員会に持たせる「B案」を併記しているが、両論併記となったのは、教育の政治的中立性確保をめぐり、委員の間で意見が割れたため。現職の首長らからA案を支持する意見が強く出された一方、教育関係者には首長の暴走に対する懸念が根強く残り、B案を推す声が大半だった。同分科会は年内にも最終報告をまとめる予定だが、調整は難航が予想される。

【11月8日号】 ある教員経験者は語る。「保護者とトラブルがあると、気持ちが前向きになれないのです。何に対しても受け身になり、気持ちも表情も暗くなり、自分の口から子どもの話が消えていくのです」─。小野田正利大阪大学大学院教授による好評連載「普通の教師が生きる学校 モンスター・ペアレント論を超えて」は今回、保護者とのトラブルが、どれだけ教員にダメージを与えるかについてがテーマ。ある病院の精神神経科を受診した教員のうち、受診原因に「保護者との関係に悩んで」を挙げたのは、わずか3%。それでも、他の原因に比べ、保護者トラブルで通院治療でなく病気休暇や休職などの休業に入っていく率は、断トツに高い。このように「必殺パンチのように効く」(小野田教授)保護者とのトラブルだが、共に考えてくれる「伴走者」が周囲にいるかどうかで、教員のその後の状態は大きく変わってくるのだという。

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厚生福祉

【11月8日号】 要介護1、2の人を特別養護老人ホームの入居対象から外す。要支援に対するサービスを介護保険から外して市町村の事業とする。いずれも社会保障制度改革の中で「重点化・効率化」のために検討されていることだ。宝山寺福祉事業団理事長の辻村泰範氏は巻頭言で、要介護1、2の特養入居者は家庭や地域に居場所がなかったり地域での在宅サービスが十分でなかったりする人たちだとし、受け皿となるサービスが整備されないまま給付の抑制という「銭金だけの議論」に終始することを憂えている。特集「多様化する保育所と経営」44回目は、「純資産比率、現金預金比率が意味するもの」と題し、賃借対照表やキャッシュ・フロー計算書の中身について、純資産比率、現金預金比率に着目しながら企業と社会福祉法人とを比較する。栃木県芳賀町は、住民の日々の運動量や体脂肪率などのデータを記録し、それに基づき個々に適した運動・食事プログラムを提供する事業を始めた。科学的根拠に基づく健康管理で、介護予防と医療費削減を目指す(「ICTで町民の健康増進」)。巻末コラム「スコープ」は、父子家庭での悲惨な事件を取り上げ、子育てに関する支援を受けたがらず孤立しがちな父親像と、社会全体の意識改革の必要性をつづっている。

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税務経理

【11月8日号】 巻頭言「フォーラム」欄で、政府税制調査会のキーマンでもある神野直彦東大名誉教授が自動車税改革について論じている。真夏日が続いた異常気象や相次ぐ台風の襲来などで環境対策の重要性が増している。自動車は取得・保有・走行のそれぞれの側面で課税されており、自動車取得税は環境負荷が高い車には重課されている。だが消費税率が10%になる段階で、自動車取得税は税の簡素化などを理由に廃止することが決まっている。「これは環境税の歴史的潮流と真逆の改正である」と指摘する神野氏は、自動車税に自動車取得税の効果を持たせるため、英国の「ファースト・イヤー・レート」を検討するよう提唱した。つまり保有課税の初年度分だけ税率を操作し、環境に良い自動車への買い替えを促す措置を取るべきだという。代替手法があることに感心するが、年末へ向けた論議の中で浮上するかもしれない。「私の苦心」は、徳島県の東部県税局を紹介。同県では新入職員は本庁と現場事務所に二分して配属され、4年目に反転して別の場でまた3年鍛えられる。スタートが出先となった新人は本庁業務への不安を感じることがあるため、月1回ペースで懇親会を開き、本庁のいろんな部署の職員を呼んで本庁業務について語ってもらっているという。業務や出先が細分化されている組織では起こりがちな課題だが、末端業務に習熟する一方で広い視野と関心を持たせる工夫は、他県にもヒントとなりそうだ。

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金融財政ビジネス

【11月7日号】 「情報洪水化時代の外国為替市場」と題して、円ドル相場の今後の動きを予想する記事を載せた。同記事は「ドル・円相場が揺れている。綱渡りに似た奇妙なバランスが、ドル安とドル高の間で保たれている。40年近く外国為替(FX)市場に関わってきたが、これまで自分が経験したものとは何かが違う。相場予想にもこれまでとは異なる観点が必要になってきたと感じている。先日、筆者にとって衝撃的なニュースが入ってきた。創設以来32年、FXを得意としてきた有力ヘッジファンドのFXコンセプツの撤退が発表されたことだ(10月9日発表)。一時は140億_もの運用資産を持っていたが、運用成績の悪化で資金の流出が続き、ついにファンドの廃止を決めたという。プロ受難の時代と言えようか。誰でも為替相場予想ができる時代になったのは事実だ。では専門家の出番はどこにあるか。そのヒントは、今年のノーベル経済学賞を受賞したファーマ教授の「効率的市場仮説」に対する議論の中にあると考える。本物の情報をタイムリーに判断し、的確な相場分析と予想を行うこと、これがプロに求められる役割である。これからも米ドル中心の相場展開は変わらない。円高に転換する要因は少ない。ドル・円相場は今年いっぱい1_=97〜100円の範囲(年末99円)で推移しよう。そして来年には米国の景気回復による量的緩和の縮小でドル金利が上昇するとともに、日本の量的緩和の継続が確認されることで日米金利差が拡大し、100円台が定着すると予想している」と述べている。

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