早読み行政誌

くまモンのパワー(2013年11月25日〜29日号)

地方行政

【11月25日号】 月曜連載「地域防災最前線_」は、東日本大震災における支援活動について、内閣府が全国の20歳以上の男女計約6000人を対象に実施した意識調査(2013年3月)を取り上げた。ボランティアなどの支援活動の契機となった情報源として、インターネットと答えた割合が「所属する企業・団体・学校等」を上回り最も多かったことに関して、筆者は「この調査結果には驚きました。まだ、実生活ではマイナーなメディアと思われているSNS等インターネット関係が情報源となったものが17.1%に上り、所属組織を上回っているのです。わが国は本当にネット社会になったのだ、という感慨を持ちました。また、支援活動の入り口となるのも所属団体と並んでNGO、NPOが大きな比率を占めていることにも、日本社会の変化が見て取れる気がします」とコメントしている。

【11月28日号】 木曜隔週連載の「公務員講座(2)」は「目的を設定するために」がテーマ。前回、目的次第で政策(改革)が最善策になることもあれば、ならないこともあると強調した筆者。今回は、公共政策の目的をしっかり設定するための前提として、政策立案能力の向上が必要だと訴える。そして次のように説明する。「政策立案能力とは、問題発見能力、課題設定能力、目的設定能力、そして、適切な手段を発見、開発、選択する能力を言う。目的遂行のために、最適な手段を専門的な知見を生かし設計することは、もちろん重要であるが、何よりも重要なのは、社会にある問題について予断を持つことなく正確に把握し、その上で課題を正しく設定することである。正しく目的を設定するには、まず、この課題設定能力を磨く必要がある。さて、それにはどうすれば良いか」。これに続けて筆者が提示する視点には、共感する読者も多いのではないか。

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内外教育

【11月29日号】 「ルサンチマン(怨恨・恨み)を巧妙に操りながら、教育委員会制度『改悪』がなされようとしていると私は考える。教育委員会『制度』は『目の前30センチの敵』として想定され、たたくだけでなく『壊せば』スカッとするような感覚だけがまん延しているのではないだろうか。教育委員会制度を廃止してしまえば、“全てがうまくいく”という幻想や錯覚だけが強くなっていないか」─。中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が教育委員会制度改革を議論しているが、「執行機関を首長とし、教育長はその補助機関化し、教育委員会は首長の付属機関とする」案が有力と言われている。今回の教委制度改革に対しては、教育の中立性確保の観点から、教育関係者の間で懸念する声が出ているが、好評連載「モンスター・ペアレント論を超えて」の筆者、小野田正利大阪大学大学院教授も「40年近く、学校と教育委員会を『診てきた』立場から、今この時点できちんと発言をしておきたい」と立ち上がった。同連載では「教委『改革』の岐路」と題して、数回にわたり、この問題を取り上げていく。

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厚生福祉

【11月26日号】 特集「多様化する保育所と経営」46回目は、自治体による保育所施設整備への補助金を取り上げる。社会福祉法人だけでなく、企業が経営する保育所に対しても一定の条件の下で補助がなされており、横浜市などを中心にその具体的な内容を見ていく。政府の経済財政諮問会議が、医療費抑制を中心とする社会保障の効率化を提言した。2014年度診療報酬改定を控え、引き上げを目指す厚生労働省と抑制を狙う財務省の攻防が激化する中で、下げ圧力が強まりそうだ(「医療費抑制を提案」)。「地域を支える」は、「しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道」を紹介する。当事者同士が率直に語り合って悩みを受け止める「聴きあう会」、具体的な行政の支援制度などの情報を提供する「シングルマザー応援セミナー」を展開、多面的に母子家庭をサポートしている。

【11月29日号】 老人ホームの入居者らに対し、以前は「○○ちゃん」と子どもに対するような言葉がよく聞かれた。時代が変わり、今は「○○さま」と顧客のように呼び掛ける。高齢生活研究所所長の浜田きよ子氏は巻頭言で、そのどちらにも違和感を抱くとし、高齢者が施設で気持ちよく暮らすためには適切な距離感が必要であり、言葉遣いも臨機応変に変化して当然だとつづっている。シリーズ「医療・介護業が知っておきたい最新トラブル情報」5回目は、労働者の傷病への対応に関する重要ポイントを取り上げる。特に、平成23年の精神疾患の労災認定基準緩和は大きなトピックだ。障害者虐待防止法の施行を受けて厚労省が初めて実施した調査で、障害者への虐待が半年間に1391件あったことが分かった。虐待をした人は、家族など「養護者」が1311件、施設職員らが80件で、養護者によるものが大部分を占めた(「障害者への虐待1391件」)。11月前期の「社説拝見」は、「介護保険制度の改革を論じる」と題し、介護保険改革や市販薬のネット販売解禁、水俣病患者認定制度などをめぐる各紙の論調を紹介する。

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税務経理

【11月29日号】 「私の苦心」は、熊本県の県南広域本部を紹介。同県は最近、出先機関を再編し、今年度から4広域本部10地域振興局体制でスタート。税務部門は広域本部に置く課税課と収税課に集約された。八代市に拠点を置く県南広域本部は3市7町5村、人口29万1000人をカバーしており、滞納整理の手法をそろえることなど課題は多い。昨年度末の収入未済額5億5700万円のうち約86%を占める個人県民税の徴収に注力したいが、規模で約28%の自動車税が事務量で約9割を占めており、効率的な滞納整理が喫緊の課題になっているという。もっとも、県のゆるキャラ「くまモン」に営業部長としてお出ましいただき、「納期内納付率日本一」を目指すキャンペーンを行ったところ、低迷していた納付率を1.6ポイントも向上させることができたという。人気絶頂のくまモンにこんなパワーもあるとは、他の自治体から見ればうらやましい限りだ。連載中の全国特集「2012年度税収決算見通し」は、群馬県、富山県、佐賀県、沖縄県を掲載している。

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金融財政ビジネス

【11月25日号】 「米国における電子マネー」と題して、デビットカードやプリペイドカードを中心に米国に関する解説記事を載せた。同記事は「日本ではSuica(スイカ)や楽天Edy(エディ)などが発達しているが、米国でもプリペイドカードやデビットカードなどの進展が目覚ましい。2010年のボストン連邦準備銀行の調査によると、米国における現金以外の支払い方法(件数ベース)としては、デビットカードの成長が著しく、プリペイドカードも台頭してきている。一方、アナログ的支払い手段である小切手はシェアを大きく減らしている。その小切手ですら、支払時には紙の小切手として利用したとしても、銀行間でやりとりされる段階では電子化して処理されるため、今や米国における支払い方法は、現金以外はほとんどデジタル化された「電子マネー」であると言える。本稿では、中でも躍進著しいデビットカードとプリペイドカードについて取り上げる」と述べている。

【11月28日号】 「アジアから放つ三本の矢」と題して、日本と中国、韓国の金融協力についての解説記事を載せた。同記事は「筆者は8月に北京、11月にソウルで、資本市場の関係者と日中韓の金融協力について議論する機会があった。そのなかで改めて感じたのは、中国や韓国との外交関係が悪化しているにもかかわらず、経済、特に金融について両国の関係者が日本との協力関係強化を強く望んでいるという事実である。両国は近年、資本・金融市場の改革に特に力を入れており、韓国はある意味でこれまでモデルにしていた日本を上回るペースで改革を進めてきた。中国も一貫して消極的だった人民元の国際化に乗り出すなど、改革のテンポを加速させている。両国の関係者は、世界経済の中心になりつつあるアジアの地位を、金融面でも高めていくことに極めて前向きである。一方で貿易などに比べて日中韓の金融面でのつながりが薄いことに懸念を持っており、日本の金融界の協力を強く望んでいる。筆者はそうした議論を踏まえ、ソウルで開かれた3国の証券業協会による合同セミナーにおいて、日中韓の金融協力を今こそ強化すべきという趣旨のスピーチを行った。本稿ではそのスピーチの内容を、同セミナーに参加した中韓両国の資本市場関係者の見方とともに紹介したい」と述べている。

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