【1月16日号】 木曜隔週連載「公務員講座」の第5回は「マネジメントの逆機能」。与えられた条件下で成果を最大化する活動をマネジメントという。筆者は「マネジメントは、不在も問題であるが、同時に過剰も問題となる」と指摘する。例えば、災害時の危機対応マニュアルの整備。「マニュアルの不備による致命的なミスは許されないが、そのことを過剰に意識して全てのケースを想定したマニュアルは誰も読破したことがない膨大なものとなり、実際の災害発生時には役に立たない。マネジメントの過剰が、本来的なマネジメントを喪失させてしまう」。これが「マネジメントの逆機能」だ。では、こうした事態を避けるためには、どうすればよいか。筆者は、一見無駄に見える「あそび」の部分を意識的につくっておくことを提唱する。つまり、マニュアルをつくるにしても、意図的に現場の裁量に委ねる余地を残しておくことが望ましいというのである。近年、公務組織にはさまざまなマネジメントの手法が導入されているが、必ずしも成功例ばかりとはいえない。強化一辺倒では、かえって効果が減殺される、というマネジメントの本質を押さえておくことが、まず求められそうだ。
木曜連載「行政への苦情」第2回のテーマは「『苦情』というものを知る」。筆者は、行政への苦情を考えるに当たって、役所内の常識が世間一般の常識とは限らないことを認識しておくべきだと指摘する。その上で「あなたは役所に勤めているから知識となっているだけで、常時必要の無い市民にとっては初耳、というものが役所内にはたくさんある。知らない人を非常識と言う前に『知らないなら教えましょう』と考えるのが『親切』で、これらの対応を一つ間違えれば、役所で恥をかいたとなって苦情に発展する」と注意喚起する。筆者の言によると、これは、説明の仕方一つで避けられる、という苦情の一側面も示している。
【1月14日号】 文部科学省はこのほど、2014年度に使用する高校教科書の採択状況をまとめた。13年9月中旬までに都道府県教育委員会から報告された生徒用と教師用の必要見込み冊数を集計したもの。新学習指導要領は13年度入学生から学年進行で全面実施に入っており、今回は中学年用などを中心に新教育課程に基づく教科書が新たに発行されている。「内外教育」では、結果を上、中、下の3回に分けてお伝えすることにし、初回は全体の概要と、国語、地理歴史の2教科を紹介している。
【1月17日号】 「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された。健康食のイメージの和食だが、実は日本古来の食事では、栄養不足で健康長寿は望めないという。日本栄養士会名誉会長・中村丁次氏の巻頭言は、健康に生きたいと願う人々の高い意識と関係者の努力がつくり上げてきた現代の日本食について述べている。特集「多様化する保育所と経営」50回目は、前回取り上げた「保育の質」を誰がどのように評価するのかに焦点をあて、実際に行われている第三者評価の制度と、その内容を見ていく。保育事業への企業の参入に対しては質の低下を懸念する声があるが、株式会社が運営する認可保育所の評価が低いわけではなさそうだ。高血圧薬ディオバンの臨床研究をめぐるデータ不正問題で、厚生労働省が薬事法違反(誇大広告)容疑で東京地検に告発した。臨床研究に対する信頼を揺るがす事態だけに、実態解明を求め、前例のない刑事告発に踏み切ったとみられる(「ノバルティスを刑事告発」)。「地域を支える」は、障害者の就労を支援している奈良県大淀町の「うぃる工房」を紹介する。
【1月17日号】 全国地方銀行協会が発表した昨年12月の地方経済天気図の概要によると、50を超えれば「好転」の業況判断DIが年初来最高値の70.3に達した。34.4とどん底だった2012年12月から、政権交代を経て丸1年かけて大幅に改善した。ただ、「晴れ」は沖縄だけで、ほかの10地方ブロックはすべて「曇り」。アベノミクス効果が地方にも広まりつつあるように見えるが、今後、「晴れ」の地方が増えるかどうかが肝心だろう。ところで、この天気図を紹介するページで、今回から各県別の記述をほぼ倍に広げる変更を行った。その分、地方ブロックの業況コメントが圧縮されるが、県単位のコメント充実で、業種別の生産動向などにも触れられるようになったという。都道府県の読者にすれば、やはり気になるのはブロックよりも隣の自治体との違いだろう。「私の苦心」は、三重県の個人住民税特別滞納整理班を紹介。県内市町とともに特別徴収の完全実施に取り組んでおり、昨年10月に全市町から事業所に指定予告通知を送付した。最大のヤマ場となる今年5月、税額決定通知書送付を楽しみにしているという。
【1月16日号】 「経済再生に向け鍵となる賃上げ」と題して、アベノミクスの目先のポイントである賃上げについての解説記事を載せた。同記事は「2012年12月26日の安倍晋三政権の発足から、1年が経過した。この間に、日本経済の風景は大きく変わった。安倍政権により打ち出された経済政策『アベノミクス』の効果にも支えられ、景気は緩やかな回復傾向をたどっている。デフレ脱却に向けた期待感も、広がりつつあるように見える。しかし、長期にわたり続いてきた停滞状況から経済を本格的な再生軌道に乗せることができるかが試されるのは、むしろ今年、14年のことになろう。そこで注目されるのは、今後の賃金の動向である。景気の持ち直しや円安などにより企業の収益は改善傾向にあるが、経済活動の勢いがより強く、持続的なものとなっていくためには、賃上げや雇用の拡大を通じて企業から家計へと所得の還元が進み、そこから消費が活発化するという好循環が形成されることが必要だ。安倍政権は、賃上げに向けた環境整備にも目配りをしてきたが、こうした対応が実を結ぶかどうかは、労使の取り組みにも左右される。昨年におけるアベノミクスの展開を回顧した上で、足元の賃上げをめぐる動きを確認しつつ、今年の安倍政権の政策課題を抽出する」と述べている。