早読み行政誌

殿の出馬に殿が苦言(2014年1月27日〜31日号)

地方行政

【1月27日号】 東京都知事選が告示された。政界を引退していた細川護熙元首相が「脱原発」を打ち出して参戦したこともあり、他の知事の関心も高いようだ。「内政フォーカス」は、角度を変えて、今回の都知事選をめぐる告示前の他知事の発言を紹介する。原発問題を争点にすることに関しては、東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた福島県の佐藤雄平知事が「東京で議論されるのは大変意義のあること。関心を持って見ていく」と評価。一方、秋田県の佐竹敬久知事は「脱原発という言葉だけが飛び交っている。定義をはっきりしない幼稚な議論がまかり通っていて非常に残念」と手厳しい。佐竹知事は、細川氏が熊本藩主だった細川家の18代当主であることを引き合いに「殿様だから、悪代官を切り離して孤高の戦いをやるならいいが」とも述べ、生活の党の小沢一郎代表らによる細川氏支援の動きを批判した。佐竹知事本人も、秋田藩主だった佐竹家の分家、佐竹北家の21代当主。記事は「『殿』の出馬に『殿』が苦言?」と紹介している。

【1月30日号】 木曜隔週連載「公務員講座」第6回のテーマは、「公共政策立案のポイント」。公務員の政策立案能力の向上を求める声が強まっているが、組織内での対応は必ずしも十分ではない。「IT革命により情報格差が解消して大競争社会が生まれ、政策の優劣が国や地方公共団体の命運を左右しかねない状況」にもかかわらずだ。研修講師などの経験が豊富な筆者は、本稿で「公共政策立案のポイント」を示し、具体的に各自が何をすればよいのかを提案する。政策立案能力の向上には、時間と労力をかけた実践的な積み重ねが必要だが、残念なことに、研修などせっかくの努力にもかかわらず、成果が出ないケースも現実にあるという。行政関係者におかれては、筆者のレクチャーを拳々服膺(ふくよう)しつつ、スキルアップに向けて精進されたい。

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内外教育

【1月28日号】 今号の巻頭インタビューに登場するのは、4月に開学20周年を迎える新潟国際情報大学の平山征夫学長。新潟県知事を3期務めた経験を持つ平山学長は、「就職率を売りにして、企業という『出口』ばかり眺めている大学はおかしい。地域における私立大学としての良さを守りながら、学生から選ばれるように特色を出していきたい」と話す。詳しくは本誌で。

【1月31日号】 給食が原因とみられるノロウイルスによる集団食中毒が、浜松市や広島市で発生した。「法令から見たノロウイルス対策」がテーマの今号の「教育法規アラカルト」によると、学校保健安全法20条は「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部または一部の休業を行うことができる」と定めている。「全部の休業」が学校閉鎖で、「一部の休業」が学級閉鎖なのだが、それでは、臨時休業とする場合の基準は何か。実は、感染症により学校を臨時休業にする基準について法令上の規定はなく、教育上の配慮や感染症予防上の要請を考えて個別に判断するよりないという。

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厚生福祉

【1月28日号】 ミニシアター系ながらじわりと話題になっている映画「ハンナ・アーレント」。アーレントは、ナチス政権によるユダヤ人虐殺の責任者の一人「アイヒマン」の裁判を取材したユダヤ人女性哲学者だ。「自発的に虐殺に関わったのではない。当時の法律、上司に従い、職務上の責務を果たしただけだ」と主張するアイヒマンを、アーレントは「悪の凡庸さ」と呼んだ。考えることをやめると、平凡な人間が残虐な行為を平然と行うと。吉浜文洋佛教大学教授は、精神科医療での隔離・身体拘束と重ね合わせ、考えるのをやめることの危険性を説く(巻頭言「ハンナ・アーレント」)。特集「多様化する保育所と経営」51回目は、昨今話題となっている社会福祉法人の内部留保がテーマで、問題の発端となった特別養護老人ホームを中心に点検する。「地域を支える」は、保育園などに地元アーティストを「芸術士」として派遣し、幼児教育に芸術的視点を取り入れるユニークな取り組みを行っている高松市のNPO法人「アーキペラゴ」を紹介する。結果を求めず、「教える」のではなく、子どもと対話しながら自由な発想を引き出す試みだ。1月前期の「社説拝見」は、高血圧薬データ改ざん問題、少子化対策、認知症ケアなどをめぐる各紙の論調を紹介する。

【1月31日号】 札幌医科大は、幹細胞を用いた脊髄損傷の治療で、国内初の臨床研究を始めると発表した。患者自身の骨髄液から、神経などになる「間葉系幹細胞」を採取して培養、細胞製剤として投与し、神経を再生させる方法で、脊髄損傷から2週間以内の患者が対象となる。人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いる方法も別のグループが研究中で、治療法に道が開けるか、期待がかかる(「脊髄損傷、幹細胞で治療」)。日常生活で不便を感じている高齢者を、元気で動ける高齢者が少額の謝礼で助ける「有償ボランティア」。有償にすることで利用者が気兼ねなく依頼でき、助ける側も責任感ややりがいが持てるという、高齢化時代の新たな「共助」の形だ。「地域を支える」は、NPO法人や介護事業者などのネットワークでこうした取り組みを進める「寝屋川高齢者サポートセンター」を紹介する。東京都知事選が1月23日に告示された。原発問題ばかり注目されるきらいがあるが、社会保障も重要な争点。国政や地方にも影響を与え得る首都の首長選は、要注目だ(特集「都知事選 原発・防災など争点に」)。

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税務経理

【1月28日号】 前週に引き続き、「主要各省別に見た2014年度税制改正」の解説記事を掲載。本号では厚生労働省と総務省を取り上げた。「私の苦心」は兵庫県宝塚市の市税収納課を紹介。市では、国民健康保険税の徴収機能が十分に発揮できず、滞納が膨らんだため、09年度に徴収・収納管理部門を市税収納課に統合。国保と市税の重複滞納者も多いため一括して取り組んだ結果、12年度までに収納率が1ポイント以上改善できたという。同市では昨年7月、窓口で激高した滞納者が火炎瓶を投げつけるというショッキングな放火事件が起きているが、「当課でも負傷者が出たものの、幸い後遺症もなく、以前にも増して田の職員と共に職務に励んでいます」と書いているのを読むと、ほっとさせられる。

【1月31日号】 各省別の税制改正は、連載の締めくくりとして国土交通省と文部科学省を取り上げた。「私の苦心」は、高松市納税課の課内室、債権回収室を紹介。3年前に新設された同室の初代室長となった筆者は、前例のない業務範囲に悩まされるが、(1)市の全債権を強制徴収可能かどうか分類する(2)国保の滞納整理のため差し押さえなど強制徴収を活用する(3)債権管理条例を制定する─の組織目標を打ち出し、収納率上昇につなげることができたと記す。順調なスタートを切れたというところだろう。

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金融財政ビジネス

【1月27日号】 「消費増税乗り越え、景気拡張局面が継続か」と題して、今年の日本経済についての解説記事を載せた。同記事は「足元の景気は拡張局面にある。ただし、4月の消費税率引き上げによる一時的な落ち込みが想定されている。民間エコノミストを対象にした『ESPフォーキャスト調査』の1月調査では、今後1年以内に景気の転換点(山)がくる確率の予測平均は26・2%にとどまっている。つまり約4分の3の確率で景気拡張局面が続くとみている。今年は正月三が日の初詣の人出が前年より増えたようだ。これは人々の、景気の先行きに対する不透明感が強いことを示唆していよう。しかし、景気の補助信号・予告信号と言える身近な社会現象などは、景気の底堅さを示唆するものが多い。また、日銀短観の12月調査によると、企業の景況感も1997年の消費税率引き上げ直前よりしっかりしている」と述べている。

【1月30日号】 「人口減少でも日本は成長できる」と題して、日本経済が成長を続けるために何が必要かについての解説記事を載せた。同記事は「『人口減少によって日本経済は成長できない』という議論があるが、日本はこれまで人口増加で豊かになったわけではない。かつて日本は人口増加を心配していたが、現在は人口減少を過剰に悲観視している。30年以上先の人口構造は、今後の経済成長の原因ではなく結果と考えるべきだ。安倍内閣は、経済成長志向が強い内閣であり、成長期待を高めることに成功している。ただ、官民がそれぞれの役割を果たして、『アベノミクス』を中長期的な経済成長へつなげていかなければならない。そのために、成長戦略の策定と実行の際に羅針盤とすべき『国のかたち』について、コンセンサス作りを進めることを期待したい」と述べている。

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