【2月3日号】 月曜連載「地域防災最前線」(第39回)は、政府の中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループが昨年12月にまとめた最終報告書を取り上げた。報告書の被害想定によると、東京23区南部を震源とする「都心南部直下地震」が起きた場合、最悪のケースで首都圏1都3県の2万3000人が死亡すると試算。想像を絶する被害をもたらす恐れがある。筆者は「阪神・淡路大震災の最大の教訓は、大量の建物被害が、多数の人的被害と困難な問題をもたらした根本原因だ」と指摘し、「国民レベルでの耐震化の進展が最重要かつ急務である」と訴える。しかし、たとえ長期的には明らかに効果が高い政策であっても、一般の人にとって、何十年か先の地震のために多額の投資はしにくい、というのも事実だ。筆者は、個人の自助努力を求めるだけでなく、公的な制度を最大限に積み重ねながら、民意を喚起することが重要だとの考えを示す。そして「人的被害にカウントされるのが、自分自身や大切な家族であり、失うのは自分の住宅であるという切実な思いで、首都圏の人々は防災対策を進めなければならない」と結んでいる。
【2月6日号】 1月に千葉県野田市で開かれた「全国将棋サミット2014」の模様をリポートする。サミットは、将棋にゆかりのある自治体が一堂に会し、情報交換や交流の場にしようと、今回初めて開かれた。趣旨に賛同する15自治体のうち、開催地の野田市は「近代将棋の父」と呼ばれる関根金次郎13世名人の出身地。ほかに、関根のライバル阪田三吉名人生誕の地・堺市や、将棋の駒の生産シェア95%を誇る山形県天童市などが名を連ねる。それぞれ将棋をまちづくりの中核の一つに位置付け、普及振興活動などに取り組んでいる自治体だ。参加した首長は「同じように取り組んでいる仲間がたくさんいると分かり心強い」(山本信治天童市長)などとサミット開催の意義を評価。日本将棋連盟も自治体との連携に意欲的で、将棋の普及に向けた今後の展開が期待される。
【2月4日号】 和歌山県教育委員会は、全国平均と比べて見劣りする県内小中高校生の体力向上を目指し、独自のダンス「紀州っ子かがやきエクササイズ・ダンス」を開発した。あえて難しい振り付けを採り入れ、児童生徒が「かっこいい。できるようになりたい」と興味を持つように工夫したほか、郷土の魅力を伝える歌詞づくりにも取り組んだ力作だ。高校1年女子の体育授業の様子を含めて、リポートした。
【2月7日号】 日教組の第63次教研集会が1月24〜26日の3日間、滋賀県内の各所で開かれた。24日午前には大津市内で全体集会が開かれ、日教組によると、全国から集まった小中高校の教職員ら約3000人が参加。24日午後からは26の分科会に分かれ、人権教育やカリキュラムづくりといったそれぞれのテーマについて、各地からの取り組み報告を基に意見交換や議論を行った。今号から上下2回で、その模様を紹介する。
【2月4日号】 児童養護施設を舞台にしたテレビドラマが物議を醸している。表現の自由は最大限尊重されるべきであり、放送自体の差し止めには至らないものの、ドラマ制作者は今回の関係者からの批判を厳しく受け止めるべきである─。弁護士の相澤佳子氏が巻頭言「ドラマにおける表現の自由」で述べていることは、児童福祉に関わる多くの人たちの共通認識といえるだろう。特集「多様化する保育所と経営」52回目は、前回に引き続き社会福祉法人の内部留保に絡むテーマ。認可保育所を運営する社会福祉法人の積立金などについて会計検査院が検査結果と改善要求を出しており、その内容や厚生労働省の通知、関係者の反応などを見る。「インタビュールーム」は、愛媛県長寿介護課の山田裕章課長。高齢化に伴い年々増加している認知症への対策について尋ねた。特集「2014年度主要省庁予算詳報(2)」は経済産業省。日本版NIHや再生医療の実用化など、成長分野に位置付けられる医療機器・医薬品開発に重点配分している。
【2月7日号】 新たな万能細胞が開発された。まだ限定的なマウス実験の段階ながら、iPS細胞に続いて日本の研究者による快挙は明るいニュース。実用化を目指した研究の進展に期待がかかる(「刺激与え万能細胞『STAP』」)。「ワンコイン健診の現場から」は、大学生・花谷君の3年間に及んだケアプロでのインターンの様子をつづる。ソーシャル・ベンチャー企業でのインターン経験は、卒業後の人生に大きなプラスとなりそうだ。「地域を支える」は、甲府市の中央児童相談所。増加傾向にある児童虐待から子どもを守るため、24時間体制で活動。子どもを保護するだけでなく、虐待する親へのカウンセリングや母子家庭への経済的支援など、虐待を減らすため、親のサポートにも力を入れている。特集「2014年度主要省庁予算詳報(3)・完」は環境省。赤ちゃんが母親のおなかの中にいるときから13歳になるまで健康状態を調べ、環境中の化学物質の影響を解明する「エコチル調査」をいよいよ本格的にスタートさせるほか、途上国の水銀対策支援、放射性物質の常時監視、地熱利用の推進などにも力を入れる。
【2月4日号】 「果汁100%のフレッシュジュース」と「人工甘味料入り炭酸飲料」を並べた場合、消費税をどちらに課すべきか。池上岳彦立大経済学部教授が「巻頭言」で問うている。消費税増税に絡み、逆進性対策として浮上している食料品への軽減税率適用に関する問題だが、基礎的食料品をゼロ税率としているカナダでは前者がゼロ税率、後者は通常の課税となる。これでは逆進性対策ではなく、望ましい食事を促す「食育」課税と誰もが思うだろう。池上氏は「消費税の枠内で税収増大や逆進性対策を語るのは無理がある」と分かりやすく断言。消費税の「10%時」に軽減税率を導入するとした与党税制改正大綱に改めて疑問を感じさせる。「私の苦心」は富山県魚津市を紹介。税務課の職員は減少しているのに、介護保険料と後期高齢者医療保険料の徴収事務も対象に加わって職員の負担は増える一方。職員のスキルアップと徴収率の向上を自分の使命と任ずる課長が思いを語っている。
【2月7日号】 消費税率が8%に引き上げられるまであと約50日。「ニュース詳報」で、流通過程での適正な転嫁が行われるよう対策を進める政府の動きや、引き上げ直前の買いだめを想定した業界の動向などをまとめた。「私の苦心」は、佐賀市市民税課を紹介。進化論を唱えたダーウィンは「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知的なものでもない。最も変化に適応できる種が生き残るのだ」という言葉を残したが、これを踏まえて、日々進化していけるような柔軟な税務行政を目指しているという。「職員一人ひとりが税務業務を改善する意識を持つこと」をその要としているのは納得できるところだ。
【2月3日号】 「少子高齢化社会の社会保障制度改革」と題して、社会保障についての解説記事を載せた。同記事は「2013年度の社会保障給付費は、110兆円を超える見込みである。今後も、高齢者の増加とともに社会保障給付費は増大し、25年度には約150兆円になる見通しだ。一方で、主として社会保障制度の財源を支える現役世代の減少が見込まれており、今後の社会保障給付費の増加に歯止めをかけなければ、社会保障負担が日本再生の足かせになりかねない。持続可能な社会保障制度を確立するためにも、給付と負担のバランスの見直しをはじめとする制度改革は不可欠である。こうした中で、政府は10年以降、社会保障制度改革と税制改革を一体的に進めてきた。13年12月には、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革を推進するために、社会保障制度改革プログラム法を制定し、医療制度や介護保険制度、公的年金制度などについて今後の改革の検討項目や改革の実施時期などを明らかにしている」と述べた上で「社会保障給付費の推移とプログラム法で示された社会保障制度改革の内容を確認するとともに、今後、求められる改革」について検討している。
【2月6日号】 「主流になったひとり暮らし」と題して、人口動態と経済についての解説記事を載せた。同記事は「わが国では2005年から10年にかけて、人口が減少に転じるとともに、単独世帯数が夫婦と子から成る世帯数を上回った。人口動態上のその二つの逆転で、わが国は今、歴史的な転換点に立っている。人口減少は需要不足社会をもたらしデフレ要因となりやすいが、単独世帯数の急増による世帯総数の増加は需要を下支えする。サービスの分野では『おひとり様』への対応の重要性が認識されてきたが、製造業も含め最近の経済はファミリーというより個人のニーズに応えることによって伸びている。『単独世帯化』は、私たちの多くが『ストレイシープ(群れからはぐれた迷える羊)』になっていることの象徴だ。ストレイシープ社会にどう対応するか、それが成長戦略にとっても鍵である」と述べている。