【2月17日号】 「原発ゼロ」を訴える細川護熙元首相が出馬したことなどで話題を呼んだ東京都知事選。大雪の影響もあって投票率は46.14%にとどまり、ふたを開けてみれば、自民、公明両党の組織的な支援を受けた舛添要一氏の圧勝だった。舛添氏の前には、保育所や特別養護老人ホームの不足、2020年東京五輪、首都直下地震対策などの課題が山積する。「都政の課題」では、これらの課題について、都庁担当記者が解説している。今年は、原発を抱える県もしくは建設計画のある県の知事選が相次ぐ。「内政フォーカス」が注目するのは、都知事選で細川氏を支援した小泉純一郎元首相の動向だ。都知事選では、思ったほど盛り上がらなかった原発論議だが、小泉氏が「脱原発」候補を支援するようなことがあれば、選挙戦の波乱要因になる可能性もあると指摘している。
【2月20日号】 木曜隔週連載「公務員講座」第7回は、「実践的危機管理」について考える。筆者のこれまでの経験で、危機管理上最も役に立ったのは人的ネットワークだったという。日頃から顔見知りの者が連携を必要とするポストに就いていると、非常時でも迅速な対応が可能になる。この人的なつながりは、もちろん平時でも重要なのだが、危機発生時には特にその重要性を増す。逆に、非常時に障害になるのは「官僚組織にありがちな『オレは聞いていない』と言って拒否権を行使するような対応」や、縦割り、前例主義などが挙げられる。筆者が指摘するのは、こうした危機発生時に強く意識される問題は「実は平時にも存在する問題が顕在化したものが多い」ということだ。平時において放置されたままの潜在的な問題を多く抱える組織には、いざ危機が発生したとき、生まれ変わったように良いパフォーマンスは期待できない。危機管理の要諦は、「平時にも存在する組織マネジメントの問題点を、いかに日頃から少なくしておくか」にあるといえそうだ。
【2月18日号】 「最近の教育関係の話題は、『入試』以外では『いじめ』『就職活動』『教育費』や、英語教育や海外留学を含む『グローバル化』といったところだろう。ここではたと気づく。みんな、自分の子どもの利害に関わる問題ばかりではないかと。…もはや日本の社会は、直接的な利害や損得でしか教育を語れなくなっているのではないか。逆に言えば、社会全体が一般的意味での教育に対する関心を失っているのだ」と嘆息するのは、ベテラン教育ジャーナリストの斎藤剛史氏。一昔前だったら、社会を二分するような議論になるはずの、教育委員会制度の改革、道徳の教科化といったテーマを含む「教育再生」が、さしたる抵抗も受けず、猛スピードで進んでいる理由は、どうやらこのあたりにありそうだ。
【2月21日号】 文部科学省は、「心のノート」を全面改訂して全国の小中学生に配布する、道徳教育用教材「私たちの道徳」を公表した。小学校1・2年生用と同3・4年生用、同5・6年生用、中学生用の4種類分かれており、ページ数はそれぞれ、「心のノート」の約1.5倍に当たる160〜240ページ。同省によると、「心のノート」は児童生徒が自らの考えなどを書き込む欄が中心だったが、「私たちの道徳」では、多くの読み物や偉人伝、格言などを盛り込み、より授業などで使いやすいよう工夫したという。4月から全国で使われる新教材の内容を詳報した。
【2月18日号】 障害者の就労環境を改善させようと、福祉作業所の製品を市場競争力のある商品にするなどの取り組みが各地で行われている。そんな中、さいたま市では、製品を販売する障害者の接客技術を向上させるための講座が開かれた。「楽しんで売る」ことが一番大事であり、お客さんの手をつかんでしまうなど一見接客業には向かない特徴も、「個性」に変えられるという(特集「障害者の就労 福祉作業所向けに接客講座」)。政府の規制改革会議が「医療提供体制に関する意見」を取りまとめた。会議で意見を述べた亀田総合病院副院長の小松秀樹氏は、会議の結論が氏の主張と似ているものの180度異なり、官庁の権限を強めるものであるとし、官庁の行き過ぎに対するチェック・アンド・バランスが期待されている規制改革会議が官庁の権限を強めようとするのなら、そんな会議は不要だと切り捨てる(オピニオン「規制改革会議は必要か」)。中央社会保険医療協議会が、2014年度診療報酬改定案を答申した。報酬が手厚い急性期病症の要件を厳格化して削減し、医療費抑制と併せて在宅医療を充実させることなどが柱(「急性期病症を削減、在宅医療の体制充実」)。
【2月21日号】 特集「多様化する保育所と経営」54回目は、引き続き「病児・病後児保育の現状と課題」がテーマ。医療機関や社会福祉法人などが病児保育にどのような取り組みを見せているか、実例を多く挙げながら点検する。公立病院での病児保育は期待されているものの、経費などの面でかなり厳しいようだ。株式会社に委託するといった動きも見られる。「地域を支える」は、佐賀県鹿島市の祐愛会織田病院を紹介。地域包括ケア体制の構築に向け、往診先でも電子カルテを記入・閲覧できるようにする取り組みを、全国に先駆けてスタートさせている。1月後期の「社説拝見」は、冷凍食品農薬混入事件、労働者派遣法改正などをめぐる各紙の論調を紹介する。
【2月18日号】 ニュース詳報では、法人税実効税率の引き下げなどをめぐって政府税制調査会の検討が始まったことなどを取り上げた。「私の苦心」は秋田県税務課の徴収特別対策室を紹介した。県内市町村の個人住民税徴収活動に支援・協力する部門で、県なのに市町村民税のみを扱う「奇異な存在」と自己分析する。市町村から派遣された若手税務担当職員の育成にも一役買っているが、「一番の悩みの種は、平成の大合併に続く市町村職員削減によって、室に職員を派遣する余力が市町村になくなってきていることです」と訴えているのは切実だ。「巻頭言」では、新たに執筆者に加わった東京税理士会の鈴木雅博企画戦略室長が、韓国の税理士に当たる「税務士」との組織交流について書いている。日本以外で税理士に相当する資格制度がある国は、韓国、中国、ドイツ、オーストリアだけとされるので興味深い。
【2月21日号】 今号から、恒例の特集「2014年度税制改正と今後の展望」が始まった。総務省、財務省の官僚が税制改正の概要や経緯、今後の動向などについて解説しており、7回程度の連載となる予定だ。「私の苦心」は、愛媛地方滞納整理機構の事務局長が登場。愛媛県内の20市町から高額滞納案件などを引き受けている機構で、徴収率は2006年度の27.3%から12年度51.8%にアップ。最近では機構に移管すると予告しただけでかなりの納税が行われるなど、「機構という一つのブランドが確立されている」と胸を張る。関係者の間では、「機構をつくると困難案件は機構任せになりがちで、現場の足腰が弱まる」という指摘はあるものの、着実に成果を上げていることも見逃せない。
【2月17日号】 「改めて財政再建を考える」と題して、日本の財政ついての解説記事を載せた。同記事は「日本の財政事情が厳しいことは誰もが知っている。どうしたらいいのかも自明だ。歳入と歳出の差が大きいのだから、歳入を増やす(増税する)か、歳出を減らす(大口の社会保障費を削る)しかないことはすぐに分かる。つまり、財政事情の厳しさが見えないわけでもないし、その解決方法が分からないわけでもない。にもかかわらず、事態は一向に改善しない。これこそが本当の大問題だと私は思う。こうした視点から、本稿では改めて日本の財政について考えてみる」と述べている。
【2月20日号】 「現代中国における政策形成」と題して、中国の政策決定と日本企業に関する解説記事を載せた。同記事は「中国のすべての重要な政策は、北京の官僚や研究者が決めている。本稿では大学や国家の研究機関に身を置き、中国政府の政策形成に関与する人たちを『政策頭脳』と呼ぶ。中国の場合、特に高級官僚はイコール政治家でもあり多忙なため、重要な政策は政府外部の有識者を集めた『プロジェクト』という場で議論させて政策に取り入れる。この『プロジェクト』に『政策頭脳』が参画する。中国の最高指導者らが出席する『中共中央政治局集団学習会』というものがあるが、この集団学習会で話をする講師は間違いなく『政策頭脳』だと言える。講師を輩出している機関は、北京にある『中国社会科学院』『国務院発展研究センター』『国家発展改革委員会傘下の研究所』『清華大学・北京大学・中国人民大学』『中国科学院』の五つだ。経済・金融のマクロ政策の場合は中央で意思決定をしているが、ミクロ政策である産業政策の場合は、個別産業の知識が求められるため、外部の政策頭脳を必要とする。また社会政策の分野でも、社会から幅広くコンセンサスを得るためにも政策頭脳が必要とされている。日本企業は、中国の政策頭脳と今後より深く付き合っていくべきだ。中国という国家の近未来の変化が読み取れるし、日本企業が関係する中国事業のブレーンや担い手として活用でき、さらには政策頭脳の発言からビジネスチャンスを嗅ぎ取ることもできる」と述べている。