【2月24日号】 月曜連載「2030年 次世代の都市づくりと官民連携」の第3回は、東京の都市づくりに焦点を絞り、東京の国際競争力を強化していくための方策について提言する。先の都知事選では「東京を世界一の都市に」を公約に掲げた舛添要一氏が当選した。筆者は、欧米や成長著しいアジアの大都市とのせめぎ合いの中で、東京が自らの存在価値を高めていくには、都心部への重点的な投資を推進する必要があると訴える。具体策として提示するのが、「国際競争力を強化するため」という目的に立った、新たな法体系の整備だ。現行制度に例外措置を設けるような内容ではなく、大都市政策の転換とも言える思い切った仕組みを構想している。20年の東京五輪は、またとないシティーセールスの機会であり、大規模な投資も想定されている。このチャンスを逃さず、確実に成果を上げるためには、スピードが求められると指摘している。
【2月27日号】 特集では、一般財団法人日本総合研究所(日総研)が開催した「地域の幸福を考える」をテーマにしたフォーラムの模様をリポートする。全国知事会長の山田啓二京都府知事と知事会副会長の上田清司埼玉県知事がパネリストとして登壇。席上、各地で幸福づくりを進める上で、知事会が提唱する「日本海国土軸」が重要になるとの意見が示された。韓国の釜山港のハブ化などで現在、太平洋航路よりも日本海航路の船が多くなっているという。国内では太平洋側港湾の空洞化が始まり、日本の物流は日本海側港湾にじわりじわりと移っているとの見方もある。山田知事は「構造的な変化が起きている時、なぜそれに対応した新しい国土の再生デザインが出てこないのだろうか」と述べ、日本海沿岸地域での新たな国土軸整備の必要性を強調。今後も「日本海」をめぐる動向に、目を凝らす必要がありそうだ。
【2月25日号】 今国会の焦点の一つにもなっている教育委員会制度の改革に関する自民党案がまとまった。これまで通り教育委員会を教育行政の最終的な決定権限を持つ「執行機関」に位置付ける一方、新設する首長主宰の会議で教育行政の基本方針を決めるなど、首長の関与も強めているのが特徴。同党では、公明党との実務者協議を経て、今国会に地方教育行政法改正案の提出を目指すが、教育関係者の間からは、「拙速では」との懸念の声が上がっている。
【2月28日号】 全国高等学校教頭・副校長会(会長・玉井篤東京都立日本橋高校副校長)はこのほど、2013年度の研究集録をまとめた。各都道府県の教頭・副校長会から寄せられた前年度刊行物から、「管理運営」「高校教育」「生徒指導」の3部門で計12本の論文を選んで編集したもの。内容を3回にわたって紹介することにし、1回目は、岩手県高等学校副校長協議会の「各学校における多忙化等の状況」など、管理運営部門の2本を取り上げる。
【2月25日号】 褒められるとうれしい。人間として当然の感情である。それは認知症高齢者といえども同じだ。スリーA予防デイサービス折り梅所長の増田未知子氏は、認知症ケアにおいて「褒める」ことの重要性をつづっている(巻頭言「認知症ケアとして褒めること」)。有期雇用労働者が通算5年以上同じ職場で働いた場合、原則として本人の希望により無期雇用とする改正労働契約法が、昨年4月に施行された。いわゆる「5年ルール」だが、研究開発部門などで5年は短過ぎるといった声があり、大学教員や研究開発に携わる人は無期雇用への転換申し出期間を5年から10年に延長するとの特例が設けられ、4月に施行される。こうした内容について、特定社会保険労務士の本間邦弘氏が解説する(解説「労働契約法特例 『5年ルール』、研究開発などで10年に」)。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」1回目は、仙台市、千葉県、名古屋市。「インタビュールーム」は、全国で初めて「働く女性」の名称を冠した広島県働く女性・子育て支援部長の棚多里美さんを紹介する。
【2月28日号】 4月の消費税増税により、政府は5兆円の増収を見込む。しかし、子育て支援策の底上げといった社会保障の充実に充てられるのは、そのうち5000億円にとどまるという(特集「社会保障改革 14年度は5000億円止まり」)。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」2回目は、さいたま市、山梨県、滋賀県。高血圧治療薬ディオバンの臨床研究データ操作問題で、東京地検特捜部が製造販売元のノバルティス社や臨床研究を行った大学などを家宅捜索した。厚生労働省の調査で未解明に終わった部分にメスを入れられるのか、注目される(「ノバルティスを家宅捜索」)。2月前期の「社説拝見」は、年金、生活困窮者支援、労働者派遣制度見直し、診療報酬改定などをめぐる各紙の社説を紹介する。診療報酬改定では、「入院から地域医療へ」の狙いを理解・評価しつつも、診療報酬による誘導で思惑通りに医療機能の再編が進むのか、懸念を示す論調が目立つ。
【2月25日号】 「私の苦心」は、埼玉県の税務課を紹介。冒頭、2010年度の県税決算で納税率が全国最下位となったため、知事が「このままでは納税率が下がる一方ではないか」と檄(げき)を飛ばした場面は、努力がなかなか納税率に表れない多くの自治体の税務担当者にとって身につまされる場面だろう。「全国順位を30番台に引き上げる作戦を考え、2日以内に持ってきなさい」という知事の指示は説得力がある。これを受け税務課は、現行組織体制での取り組みでは限界があるとして判断。収入未済額の大きい市に職員を派遣して高額滞納案件の整理に当たることや、専門の個人県民税対策課の設置、ペイジー納付など納税環境の整備に取り組んだという。まだ順位成績には十分表れていないようだが、納税率の上昇ぶりには一定の成果が見られており、今後の推移に注目したくなる。
【2月28日号】 4月の消費税率8%への引き上げまで1カ月と迫り、価格転嫁に悩む中小企業や、経済産業省の下請け取引適正化に関する指針見直しなどの動きを「ニュース詳報」にまとめた。「私の苦心」には、栃木県税事務所長が登場。筆者の所長は、十数年ほど前に全国的に横行した輸入軽油や密造軽油による脱税に対し、「軽油Gメン」として摘発に取り組んだことを振り返っている。国税局査察部に指導を仰いだことや、検察・警察の協力も得て摘発に当たったことなど、興味深い。
【2月24日号】 「つまずくアジア・ピボット政策」と題して、米国のアジア戦略についての解説記事を載せた。同記事は「米国の有力シンクタンクである米外交問題評議会(CFR)のアジア専門家たちが昨年末に、『この1年でアジア・ピボット(アジア重視への政策調整)はどうしてしまったのか』と題した座談会を開いたことでも明らかなように、オバマ政権のアジア・ピボットは暗礁に乗り上げた感がある。しかし、中東や南アジア、旧東欧における外交安全保障問題に加え、内政では共和党との対立、貿易問題では民主党との政策の不一致、そして大統領への信頼の喪失といった厳しい環境下、オバマ政権が必死にアジアに向かう布石を打っていることは確かだ。日本がそれを支えるか、あるいは足を引っ張るかが、米国のアジア政策に大きなインパクトを与えることは間違いない」と述べている。
【2月27日号】 「正社員でも解雇できる米国の人事制度」と題して、米国の人事制度に関する解説記事を載せた。同記事は「日本では社会構造や人口構成の変化に伴い、あまりに硬直的な解雇規制や日本的雇用の中心とも言える年功序列・終身雇用が見直されようとしている。一方、米国には『エンプロイメント・アット・ウィル』という随意雇用原則があり、雇用する側もされる方もいつでも雇用を終了することができる。今後、国際競争がさらに厳しくなっていく中で、日本の人事制度も米国に近くなっていく可能性もある」と指摘した上で、米国の基本的な人事制度と日本で導入する場合の留意点について考察している。