早読み行政誌

ジビエと就労のマッチング(2014年3月3日〜7日号)

地方行政

【3月3日号】 月曜連載「2030年 次世代の地域づくりと官民連携」(4)は、今後の人口減少の加速で見込まれる都市の「集約化・高密度化」にスポットを当てる。大都市では、国際競争を勝ち抜くために、地方都市では、公的サービスを提供する費用を減らすために、それぞれ都市機能を一定エリア内に集約し、土地を高度利用する傾向が進んでいくと筆者はみる。拡張を前提としたこれまでの都市づくりでは、インフラ管理やサービス提供は、分野や用途ごとの「縦割り型」によって行われてきた。しかし、これからの集約型都市においては、コンパクトなエリアの中に、住宅や商業などの都市機能が集積され、企業や生活者の多様なニーズが混在することになる。このため筆者は、ハードを一体的に管理しつつ、複合的にサービスを提供できるような「分野横断型」に転換すべきだと強調する。都市の特性を見極め、官民が役割分担しながら、新しい発想で都市経営を進めていく必要がありそうだ。

 同じく月曜連載「地域防災最前線」(43)は、首都直下地震対策の5回目。中央防災会議による都心南部直下地震の被害想定では、電気関係の出火を防止するだけで、焼失棟数が43万棟から23万9000棟に約44%減少するとみている。出火防止対策の決め手といわれるのが、揺れを感知して自動的に電源を遮断する「感震ブレーカー」の設置だ。しかし、その存在はほとんど知られていないため、特に延焼の危険性が高い木造住宅密集市街地では、普及促進が急務だと筆者は訴える。筆者はまた、2020年東京五輪は、世界的イベントの機会を通して災害に強い都市改造を行う希少な機会だと強調している。

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内外教育

【3月4日号】 文部科学省がまとめた2013年度の全国公立学校教員の採用試験競争倍率は前年度と同じ5・8倍となり、倍率低下に歯止めがかかった。しかし、これには、小中学校の教員採用を再開した福島県で高倍率になったという特殊要因が影響している上、定年を迎える50代教員の一斉退職による教員不足は、もうしばらく続くとみられることから、競争倍率は今後も低下傾向が続くことが予想されるという。採用試験の競争倍率低下は、新採教員の質にも関係してくるため、都道府県教委などにとって、採用試験の受験者を今後どう確保するかが、これまで以上に課題となりそうだ。

【3月7日号】 専門家でつくる文部科学省の「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」が、小中高校の児童生徒らが自殺した際に行う背景調査の手法などを定めた「子供の自殺が起きたときの調査の指針」について、新たにすべての自殺を学校が主体となって調査することなどを盛り込んだ改定案の骨子をまとめた。改定指針は、4月上旬に正式決定される予定だが、本誌では、学校現場の関心が高い問題のため、一足先に固まった内容を紹介した。

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厚生福祉

【3月4日号】 特集「多様化する保育所と経営」55回目は、引き続き病児・病後児保育がテーマ。その実情や課題、NPO法人による新たな取り組みなどについて紹介する。利用者数が一定ではないため安定経営が難しい病児保育は、国・自治体の補助金に頼らざるを得ない面があるが、例に挙げた新たな仕組みは、「独立運営」の可能性をもたらすものとして今後の動向が注目される。「インタビュールーム」は、沖縄県・小浜島の診療所で働く若い医師、馬原史子さんを紹介する。20カ所の離島診療所を抱える沖縄県は、充実した研修制度で知られ、全国から集まってくる若手医師が離島医療を支えているという。その魅力と苦労を語ってもらった。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」3回目は、栃木県、浜松市、愛知県。

【3月7日号】 東日本大震災の発生後、避難所や仮設住宅で体調を崩すなどして死亡した「震災関連死」が、岩手、宮城、福島の3県で2900人を超えたという。特に、東京電力福島第1原発事故の影響で避難が続く福島で突出しており、地震や津波による直接死の人数を超えた。認定基準のあいまいさなど、課題も多い(特集「東日本大震災 震災関連死2900人超」)。「インタビュールーム」は、長野県の社会福祉法人「まるこ福祉会」理事長の柳沢正敏さんを紹介する。農作物を荒らすシカやイノシシなどの野生生物を狩猟し、ジビエ(野生鳥獣肉)料理として活用する動きに目を着け、知的障害者の共同作業所での商品化に取り組み、JR東日本系列の飲食店にシカ肉ハンバーグを納入するなど成果を上げている。野生生物対策とジビエ振興、障害者就労のマッチングが興味深い。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」4回目は、福島県、和歌山県、広島県。

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税務経理

【3月4日号】 2月末に税や経済の話題が多かったので、4本のニュース詳報が並んだ。TPP交渉の合意先送りに続き、政府のエネルギー計画案、消費税率引き上げをめぐる状況、そしてビットコイン問題。いずれも今後の動向に目が離せない。「私の苦心」は、堺市税政課を紹介。若手職員らの研修の機会を増やしたいが、人員が減っている現状では参加したくてもできないことが多い。適当な通信講座も見当たらない。「ならば自分たちで作るしかない」と、手作りの通信講座を実施しているという話。添削指導員の代名詞ともいえる「赤ペン先生」を自任する課長が、「税務のプロ」育成のために関係部局の協力も得ながら問題を作成したり解答にコメントしたりする姿には感心してしまう。

【3月7日号】 都道府県と政令市の14年度当初予算案が出そろったことを受け、税制・税務のページで概要を速報。特殊事情を抱えた山梨県を除く全自治体で、景気回復を反映して税収がプラスとなった。都道府県税収の平均伸び率は7.9%。今後もこの流れを持続できるかどうか。「私の苦心」は、千葉市税務部を紹介。徴収率向上に向けて取り組む中で、税務部内の連携を高めるために腐心している模様をリポートしている。偶然だが、千葉市も税に関する幅広い知識の習得を目的として、職員手作りの「税務マイスター試験」を12年度から実施しているそうで、前回の堺市と思いは同じのようだ。ベテランのノウハウを継承していくため、こうした手作り研修に取り組む自治体は少なくないのかもしれない。

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金融財政ビジネス

【3月6日号】 「アベノミクス『第3の矢』を考える」と題して、女性の活用ついての解説記事を載せた。同記事は「『アベノミクス』の下で順調に回復してきた日本経済に、最近変調の兆しもみられる。その基本的な要因として多くのエコノミストが指摘しているのは、アベノミクスの真価が問われる『第3の矢』(成長戦略)に対する政府の取り組み姿勢について、内外の投資家の信認が必ずしも得られていないということだ。しかし、第3の矢の主役は政府ではない。成長戦略は本来、民間部門から自律的に生起するもので、政府の役割はあくまで補助的なものにとどまるべきだ。日本経済の直面する状況を考えれば、成長戦略は必然的に痛みを伴う構造改革を含まざるを得ない。そして構造改革とは国民自身の意識改革である。2020年の東京五輪に向けてそうした意識改革を進めていくことが、日本再生の重要な柱になる。今回はその中で、女性の活用とダイバーシティ(多様性)社会への取り組みについて考えてみたい」と述べている。

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